One story 【Ⅱ】
それから6年経った。ワンを魔王と仰ぐ魔族が増え地盤が固まり魔王になった頃、まだまだ復興が必要な魔界に不思議な屋台が出没すると家臣から報告があった。命じ、その料理を取り寄せ毒味を済ませた後に食す。それは懐かしい、奈落で味わったアノ味だった。至急、その屋台の店主を呼び寄せた。【ラッキーセブン】と書かれた旗を挿した屋台を引いてきた。
「問おう、店主。この料理を何処で学んだ?」
「はい、この料理は私の恩人から学びました」
「…すまないが、人払いを」
「で、ですが…」
「構わん」
人が出ていき、ワンと店主だけになった。
「まずは礼を言う。この味で私は忘れた日はない事をより鮮明に思い出せた」
「ありがとうございます」
「Rakutarou…を知っているか?」
「はて?何のことでしょう?楽しそうな名前ですね?」
「スープ料理はないのか?」
「…少々、お待ちを」
店主は屋台に隠してた筒を開け、器に少量よそった。
「このスープは…」
「えぇ、あのスープです」
ワンとセブンは話し合った。セブンは屋台を元手に食育革命を起こし、裏で食を牛耳り母を救い出す話をした。これにワンは全面協力を約束した。聞くとセブンも王族の血を引くもの。ワンはいずれ王族を追放する予定だったので、その後に国を納める立場にセブンを国王に据えたいと話した。恨むのは利益を先走り、攻撃を仕掛けた王族だけだからそれが済めば人間の国を納めるのはやはり人間がいいと考えたからだ。
「でしたら僕と、ワンさんは兄弟ですね」
「他にもお前にとって姉もいるぞ?人間界では頼ってみろ」
ワンは書状を書き連ねセブンに渡した。
「名はトゥーだ。今は貴族だがこれを見せれば取り合ってくれるだろう」
その後のセブンはトゥーの協力もあり力を付けてきた。一方でワンは、ようやく自分の姉妹を取り返す算段がついた。本来なら自分が動きたいが、まだ国が危うい状態だからそうもいかない。作戦無事を祈り1ヶ月後。遂に姉妹を救い出せた。
「あ、カ、カテーテル?」
「カテーテル兄様?」
「お、おおおお!!懐かしい我が姉よ!妹よ!よくぞ、よく生きていてくれた!」
10年以上前に見た姉妹がそこにいた。散々、酷い目に遭わされた形跡があったが生きていた。治療を施し無事回復した。
「よく無事だった…」
「スリーという、稀に王城に来ていたマジシャンがコッソリですが怪我に効くポーションを頂いたのです」
「スリー…か」
ワンはスリーの事を調べさせた。すると、世界各国を周りマジックを披露する有名なマジシャンと言うことがわかった。と言う事は世界情勢に詳しいかもしれない。早速、出演依頼を取り付けるとすぐに来てくれた。
「紳士、淑女の皆様!今宵はお招きいただきありがとうございます。まず一言。私のマジックが魔法と言う方がいますがそれは違います。証拠に魔法封じの手枷を付けて挑みましょう!」
スリーのマジックはどれも素晴らしかった。ギロチンを使ったマジックも大変受けていた。
「どうですかな?魔王様。私のマジックは」
「あぁ、大変に素晴らしいものだった。君には恩がある、人間界で我が姉妹を助けてくれたそうだね?ありがとう」
「淑女に気に掛けるのは紳士の務めですので」
「そこでなんだが…」
ワンはスリーに、人間界の王族追放の協力を求めた。元々、スリーは裏では『スマイリー3rd』と名乗る怪盗活動をしていたため、餡子が食う程の噂がある王族に一泡吹かせようと企んでいた。セブンという自分の弟分のことも聞くと俄然、協力する気になった。ワンとスリーはお互いに握手した。
ごめんなさい、遅くなりましたm(_ _)m
骨盤骨折なのですが、まさかのまだ付かないという謎のアクシデントに見舞われていますσ(^_^;)
一応、Oneの最終話も書き終えそうなので近々投稿します。