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98話 AIは労働力足りうるか?

 労働力が足りない! その解決策はどうする? A~Dの中で好きなのを一つ選べ。A. AI, B. 移民, C. 諦める。 D. 他にあるのかわかんないけどその他。



 それが今、日本が直面している問題。で、Dは言ってはみたけど、じゃあ他に何があるの? ってレベル。検討に値しないから除外。で、先輩達が押しているのはA。少なくともB, Cよりはマシって判断されたってこと。あ。そうだ。その前に。



「今回、僕や小鳥が呼ばれたのって、ほんとに今、考えておられる方式で自動運転を実現させていいか。ってことでいいです?」

「大枠はそれでいいよ」


 大枠……ですか。まぁ、今はいいです。なら、労働力不足は自動運転からは少し、飛躍している気がするけど、労働力不足にもAIを投入されるおつもりなら、そこの飛躍は問題にならないか。大事なのはAIをどう運用するか?



「では、まずお聞きしたいのですけど、何故にB(移民),C(諦める)を却下されたんです?」

「B, Cってカイ、口に出してないけどね」

「ですね」

「ですです」


 え。…あ。ほんとだ。出してなかった。



「ま、気にせずに次に行こうか」

「Cに関しては簡単です。人間なので基本的に無理です」

「人間は何かを得た喜びより、失った悲しみの方が大きくできてるからね。切り捨てるなんて出来ないよ」

「もし切り捨てるとしたら過疎地域ですが…、不法侵入者の警備を考えると日本海側に人口を偏らせた方がいいんですよね」


 まぁ、太平洋側から不法入国しようとする人はいても少ないでしょうしね…。大陸に近い側で警備する方が早いですよね。あれ、でも、



「今の日本、障壁に覆われているので不法入国はまず無理では?」

「それはそう。だけど、障壁がないならそうでしょ?」

「その場合はそうかと」


 人がいないところにお金は来ない。だから、警備をねん出するために人を集めよう! って発想ですよね。脳筋極まってますね。



でもまぁ、日本の人口は太平洋側に集中してるから、そうでもしないと無理なんでしょうけど。さすがに東京愛知大阪は捨てれない。となると、切り捨てるなら東北の太平洋側茨城栃木千葉和歌山四国宮崎大分辺り? 絶対にうまくいかないわ。



 大都市圏以外捨てるよ! なんてしようものなら、障壁あればどうとでもなるけど、なくなったら日本海側ががばがばになる。犯罪者がめっちゃ入り込んできそう。



「移民はどうなんです?」

「言わなくても、カイもある程度、察してるでしょ?」

「ですね。少なくとも欧州諸国見ていて、入れようとは思えませんよね」


犯罪率上昇しちゃった! てへぺろ。ってのがやたらと報告されてますものね。しかも、そのせいで移民排斥が盛り上がって極右政党が支持を広げてるってのも。それでも、移民を入れ続けているのはマゾなのかと思わないでもないけど…。



「マゾて」

「少なくとも、マゾではないですね…。まぁ、彼らが西側諸国であの立地である以上、避けれないんですよ」


 そんなもんなのですか?



「その要素を抜き出されると、そんなものとしか言えないと思いますよ、カイさん」

「そうなの?小鳥?」


 尋ねると小鳥は軽く頷いて口を開いた。



「です。西側諸国であるということは、すなわち、人権先進国ということです。故に日本も含めた西側諸国は難民が来るからといって来る前にぶち殺すなんてできません」

「あぁ。言われてみれば、そらそうか」


 地中海を横断する不法移民船とかニュースになっているけれど、それを蒸発させて見なかったことにすることは出来ない。そんなことしたら世界からぶっ叩かれるから。



 そして、移民の流出地は欧州なら中東とアフリカ。アメリカなら中南米。陸続きで行けないこともない。そりゃ、確かに避けれませんか。防ぎたかったら国境に地雷原を作るとか爆撃定期とかしないと無理。



「一応、欧州はトルコが移民を行かせるか行かせないかを決めることは出来るっぽいけど」

「あくまで非正規に限られますしね…」


 じゃあ、自業自得じゃないですかーやだー。正規の移民はガンガン入れるんでしょう?



「それはそう」

「不法移民はそれなりにいますから…」


 元をただせば植民地主義の結果だったりしません? それ。



「まぁ、否定は出来ないかも」

「習兄。四季義姉。話が一段落したから聞きたいんだけど、そもそも何で移民って問題になってるの?」


 確かに。そこはかなり重要だよね。



「俺らの考えでは、だけど……。まずだいたいの場合、元からいる人と何もかもが違う」

「言語や習慣、宗教……ぱっと出るだけでこれだけあります。言語、習慣が違えば意思疎通は困難になりますし、宗教は過去の例を見ていれば」


 やばいとしか言えませんよね。僕らからすると宗教は実感しにくいけれど、宗教戦争の例がある。



「なんだったら、過去、異民族と異教徒は人間扱いしないことすらありましたからね」

「そーいえばそーでした」


 全員が全員、そうってわけじゃないけれど、欧州の歴史を見てりゃうん。としか言えない。



「で、元からいる人と何もかもが違うのに、それなりにまとまった数がいる」

「数がいると問題なんです?」

「問題ですね。日本史でも聞いたことあるでしょう?安土桃山らへんの日本人街とか。文化が違う移民はたいてい既存のコミュニティから排斥されて、もしくは安心感から一か所に集まります」

「集まると局所的にマジョリティになる。マジョリティになると社会に溶け込もうとしなくなる」

「郷に入っては郷に従えをしなくなるんですよ。それが観光地化すればまだいいんでしょうけど、たいていの場合、するわけもなく」


 結果、現地人との摩擦が起きると。摩擦が起きるとそれがきっかけに対立が生じて、排斥になる。



「そそ。結局のところ、何が問題って溶け込もうとしないところなんだろうね」

「溶け込もうとする努力を援助することは最低限必要でしょう。それをしないのは、よその国に母国を作るつもりですか?って聞かないといけなくなります」


 なるほど。それを聞いていると無理な気がしますね…。



「絶対無理だろうけど、あえて聞いていい?なじまないのが問題なら、強制的にばらけさせたら?」

「それはそれで今度は受け入れにくいんですよね。特に日本は」

「外国の人が住むのは基本、賃貸になる。けど、日本人の犯罪率よりも外国人の犯罪率の方が高いってイメージがあるし、文化が違うから既に住んでいる住民と摩擦が発生する可能性もある」

「そして、確実に起きるとは限らなくとも、「そんな危険がある」と考え、受け入れてくれる賃貸はそう多くないですよ」


 あー。そっか。どうやっても詰んでる。犯罪率系のイメージは改善すればいいんだろうけど…。ガチの犯罪じゃなくてもやべー客とか、ネットに情報転がってますしねぇ…。日本人もやべーのいるけど。



「魔法を使うのは論外だもんね」

「流石にね。来てくれる時に「思想統制も含めて、馴染んでもらいます」とか書いてりゃワンチャンだけど」

「「ないです(ないよ)」」

「だよねー」


 冗談だったらしい。よかったよかった。西側なんだからぶっ叩かれますよ。そんなことしたら。



「後は、賃金の問題ですね。基本的に移民元の国より移民先の方が物価高いので賃金がいいです。よって、移住者は低賃金でも働いてくれるので、元の国の人の仕事がなくなる」

「あー。よく聞きますね」


 日本ではそんなに聞かないけど…。ドイツとかであるって聞いたことがあるような。



「で、働けない!ってなった人が移民に恨みを持つと」

「終わってますね」


 これだから人間は。……一体、何目線の突っ込みなんだって疑問はゴミ箱にぶん投げる。



「そして、さらに悪いことに働きに来てくれている人がずーーーっと働き続けてくれるなんて土台無理な話なわけです」

「で、働くのをやめた人が元の国に帰るか?と言われればそんなこともなく」

「結果として、犯罪に手を染めざるを得ないから、犯罪率が上昇すると」

「何故か生きるための窃盗、強盗だけじゃなくて、性犯罪率も上がるらしいけど」


 人間は愚か定期。まぁ、いわゆる「無敵の人」問題ですね。失うものが何もないからもう何も怖くないっていう。



「俺らが導入を進めたベーシックインカムは無敵の人対策だね」

「犯罪行為のせいで賠償が必要となれば、そこから引っこ抜きますし」

「ねぇ、習兄。四季義姉。それ、生存権との関係はどうするの?牢屋送りなら兎も角、執行猶予中は生きれないよね?何しろ、生活保護は消し飛ばしたし」


 確かに。生活保護は生存権を担保するために必要なもののはず。それの代わりのベーシックインカムから引っこ抜かれると、生きれないのでは…?



「働けないなら兎も角、働けるなら自業自得だでしょ」

「ですね。自分で稼げばいいんです」

「習兄。四季義姉。でも、働きたくないでござる!って人は絶対に出るんじゃない?その場合、強制執行するしかないけど……。生存権の担保で殴られると絶対に負けるよ?しかも、生存権って確か、国際条約で保障されてたはず」


 憲法よりも上のが国際条約。それで決まっているならどうしようもないのでは。



「そうでもないと思うよ。…いや、これはあくまで慣例だから許されてるのかもだけど、」

「死刑とか思いっきり生存権に反してますよ。まぁ、私や習君は冤罪でないのなら、死刑は賛成ですし、はよ殺せという割と急進派ですけど」


 確かに。言われれば。死刑は生存権と矛盾するんですね。



「だから、内政干渉で突っぱねれると思うよ」

「犯罪者に甘くて被害者に辛いのは駄目だと思うんですよ。被害者がどうしようもない糞な案件……栃木実父殺し事件みたいなのだと情状酌量は必要でしょうが」

「そうでもないなら、何でまともに生きてた人がクズのせいで苦しまないといけないのか。わかんないからねぇ」


 それは同意します。が、行きつく先は司法制度の崩壊では?



「ですね。その可能性はあります。それゆえ、私刑は許されません」

「だから、法にのっとるのは大事。法にのっとって、執行されていない賠償部分を強引に何とかする。それがベーシックインカムから引っこ抜きの神髄」

「てか、話それてます。それてます。自動運転の話から労働力、移民と飛んだばかりに法の話にまで流れてます」


 確かに。戻しましょか。



「で、労働力不足問題は絶対に避けられない。その解決策として移民も諦めるも選ばないというなら、AIしかないわけで」

「AIの利点はまぁ、私達が魔法を使うことにあまり躊躇しなくて済むことですね」


 だから皆さんが生きている間は少なくとも心配なし! そういうことですよね。



「そうそう。移民も、来る人来る人かたっぱしから魔法をかけていいならどうとでもなるけど」

「世界中にかけないといけないのでめんどくさいですし、そこまでするならもはや私達が世界征服したようなものなんですよね」

「別に日本だけで問題ないのでは?」


 何故に世界にかけないといけないんです?



「カイさん。日本だけにすると日本に来ると「何故か帰化意思が爆増する」ことになって、他国から見たとき、明らかな異常が起きますよ?」

「把握。そりゃ、駄目だね」


 それを誤魔化すために世界に魔法をえいやーっとかけないといけないと。終わってますね…。



「でも、世界を支配しない理由にはなりませんよね?」

「やだよ。俺らかアイリ達が死ぬか、異世界に帰ったら崩壊確定する世界帝国なんて」

「崩壊しないようにガッチガチに縛ることもできますが、そこまで行くと私達の精神が持たないと思います。全部が全部、思い通りに動く人間しかいない世界なんて、人形遊びでもないとありえませんよ」


 なるほど。そりゃ、嫌ですよね…。



「ですが、その主張をするなら、AIにも同じことが言えるのでは?」


 全人類を人形にしない世界帝国を作ると、習先輩達がなくなると崩壊する。という言説は、習先輩達が死ぬと魔法を使えなくなるからAIが不具合起きたときにやばくなる。と言い換えれますよね?



「人間はどう動くかわかんないけど、AIだし」

「AIは賢く見えますが、ある意味で馬鹿なんですよ。やれって言ったことしかできませんからね」

「そうですか?最近、開発されつつあるAIとかはそこから逸脱しつつあるような気がしますが」


 ゲームのCPUとか、そのゲームでしか活躍出来ないにせよ、普通に強いのとかいますし。生成系AIとか言われるようなのも出てくるのでは?



「そうだけど、AIは入力がないと出力は出ないよ」

「その点、人間よりは安心です」

「ですが、彩って豊穣寺(ほうじょうじ)先輩の人格を元にしてるんですよね?他にも皆さんを元にした彩がいるんでしょう?」


 人格を元にしたAIなら、この場面ならもとになった人はこう動くだろう。そう判断して動くのでは?



「それは彩限定ですから」

「であるなら、自動運転に積むAIも同じ……ではないですね」


 自動運転AIの任務は車の運転。そこから逸脱する任務はしないていうか、出来ないはず。それなら、まぁ……、いいんじゃないですかね?



「いや、カイさん。それでも諸手を上げて賛成は出来ないでしょ。習兄。四季義姉。ハッキング対策は?」

「完全とは言えないけど、それなりにはあるよ。彩ほどのセキリュティはさすがに無理」

「ですが、自動運転AIの制御はその車の中完全らでしか出来ないようには設定しています」


 なら大丈夫か。



「いや、カイさん。判断が早すぎます」


 呆れたような小鳥の目が突き刺さる。何を言いたいかはわかるよ? 多分、こういうことでしょ?



「万一、AIが暴走したらどうする?ってことでしょ?その時、外部から止めれなくてどうするの?って。まぁ、不便なことあるかもだけど……、自動運転だよ?車の中にエラー吐いたとき用の強制停止ボタンくらいあるでしょ。それすら押せない状況で暴走中……ってのはまぁ、ないでしょ」


 ゼロとは言わないけれども。そうなったってことは、AIが暴走して、搭乗員が全員意識を失っていて、かつ、搭乗員の安否確認システムも死んでるとかいう状況。多分、雷に打たれるより確率は低い。



 それを恐れて外部から遠隔操作されて勝手に誘導ミサイル(物理)にされる可能性を作るよりはそっちのがいいでしょ。



 そう考えると……、まぁ、自動運転のAIに人格みたいなのを付与するってのはまぁ、悪くはなさそう。自動運転AI目線で考えるとヤバいけど。自動運転のためだけに生まれて、しくじったら全責任を負って死ぬっていう。



「わたし、その点も少し怖くはある。AIが反抗する可能性が高まりそうで。でも、自動運転って絡みで言うと、命の選択問題はどうするの?彩に丸投げって言っても、そこはわたし達……というか習兄や四季義姉達が、決めることになるでしょ?」

「いや、そういうことにする気はないかな」

「ですね。その辺りは、使う側に決めてもらおうかなと」


 え? なんかすっごいヤバい言葉が飛び出した気がする。

 お読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字そのほか色々、もし何かございましたらお知らせいただけると嬉しいです。

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