表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/127

64話 七並べ

「「「ただいま!」」」

「「おかえり(おかえりなさい)」」


 一仕事終えたお子さんたちがぞろぞろとやってきた。そんなに広くもない部屋だから、さすがに習先輩達一家がほぼ勢ぞろいすると狭い。



「今日は来るのね」

「…ん。お仕事の報告とかあるから」

「なるほど」


 それは重要だね。テレビ中継みたいな形で見てはいたけど、途中からだった。それに、もともとは、ほぼ任せきるおつもりだったんだから、余計に。



「で、あれば僕は外に行っておいた方がいいです?」


 明らかに邪魔ですよね?



「いや、いいよ」

「というか、私がお邪魔しているだけで、ここはもともと習君たちの部屋です。それには及びませんよ。異空間を作ってそこでお話することにします」


 了解です。なら、のんびりしてます。



 何でもないようにお二人が魔法を使うと空間が裂けて、異空間への入り口が完成。その中にお子さん達もぞろぞろと入っていく。



 さて、僕は……どうしよ。修学旅行中に勉強する気もないしなぁ。携帯でなんか見とこうかな。動画を見ると通信制限が怖いから、ラノベでも探そうかな。



「終わりましたー」

「早いですね!?」


 まだそんなに時間も経っていませんよ!?



「お待たせしたくないので、こっちと異空間の中で時間変えましたから」


 そこまで心配りしていただかなくてもよかったのですが…。いないならいないで、のんびりするだけでしたし。勿論、いてくださる方が遊べて楽しいですが。



「では、今日は何をして遊びますか?」

「適当にグループ分けして、トランプでもしようかなって」

「僕は構いませんが、お子さんたちはそれでいいんです?」


 みんな、習先輩と清水先輩が大好きですよね? 一緒に居られる時間なのに、別々にしちゃっていいのです?



「…ん。平気」

「だねー。話す機会はちょくちょくちゃんとあるもんー!」

「ルナだけは、お父様とお母様と多く一緒に居られるように配分は致しますが」


 礼子(レイコ)ちゃんが補足すると、何故か瑠奈(ルナ)ちゃんが誇らしげに頷いた。



誇らしげにしてる理由が分かんないけど、みんな納得してるみたい。なら、いいや。



「どうやって分けるのです?」

「適当にくじ引き。忌憚なく話せるようにグループごとに異空間を用意して、隔離するよ」

「異空間作るのは良いですが、折角、集まってる感が薄れません?」


 なんとなくですが、大人数で同じゲームをいくつかのグループでやる時って、先に終わった人が別グループに顔出すのとかも、一つの楽しみみたいなとこあると思うんです。



「それはそう。でも、熱中してたら聞こえなかったりするでしょ?だから、相互に見えて、行き来できるようにはするよ」

「声はその異空間に入らないと聞こえないですし、許可がないと入れない。そんな仕様の予定です」


 なるほどです。割と分断強めな印象があるけど……、忌憚なくってのを重視されてるんだろう。多分。



「というわけで、早速、別れてやろう!」

「ですね。魔法使うと自動で分かれるので、よろしくです」

「「「はーい」」」


 了解です。お二人が手を繋がれて、魔法名を唱えられると一瞬で視界が切り替わった。



 ほんと、魔法ってすごい。滅茶苦茶だぁ…。この異空間は和風だ。泊っている部屋がベッドやソファがある洋風だから、新鮮味があ…るかと思ったけど、そんなないや。枕投げしたところ、和室だったし。



「カイさん?」

「え?あ、ごめん」


 何で、後ろ向きに、配置、してるん、ですか! 習先輩! 清水先輩! こっちが部屋だと思ったんですけど! 背中向けてた側が、部屋の中心じゃないですか!



「思いっきり外見えてんじゃん。そっち」

「だよね。明らかに部屋の大きさ的に、逆とわかりそうだけど」


 そりゃそうだけど、牙狼(ガロウ)幸樹(コウキ)! でもでも、普通、対面するように配置するもんじゃないの!? 



「「知らない」」


 そっかぁ。まぁ、そういうこともあるか。



「てか、習先輩以外の男勢が揃ってるのね。ここ」

「だな。なんか作為的なものを感じねぇこともないが…」

「そう?」


 ほんとに適当にやって、そうなっただけって可能性は十分にあると思うけど。お二人だし。



「いやいや、男だけだぞ?てことは、下世話な話をしろということじゃね?と思わんでもないんだよ」

「穿った見方な気がするけどなぁ。まぁ、それはいいや。とりあえず、トランプをシャッフルしとくね」


 何するにしてもシャッフルは無駄にならないし。うーん、異空間にある机の上にちょこんと鎮座していたトランプだから、明らかに魔法で作られてるんだけど…。これまで触ってきたどんなトランプより混ぜやすい。



「下世話な話をするなら、正直、僕はガロウ兄さんが一番、気になるけど。いつ告白するの?とか、見た目だけならレイコ姉さんより好みの人いないの?とか」

「おい、やめろ。コウキ。特に後者!んなもん、地雷確定じゃねぇか!したかねぇよ!」

「ごめん、牙狼。僕も気になる」


 普通に興味ある。てか、まだ告白してなかったの?



「はい、兄さん。というわけで民主主義の原則(多数決の暴力)に従って、ハキハキ喋って?」

「え、え。マジで?」

「うん。あ、何する?ちなみに僕はババ抜きかジジ抜きか七並べか、神経衰弱なら出来るよ」


 大富豪とかポーカーとかは知らない!



「なら、七並べで。机有りますし、活用しましょ」

「だね」


 なら、適当に配るねー。



「そら、牙狼。礼子ちゃんにはいつ告白するの」

「え。マジで聞くの?」

「うん、興味あるし。互いに好きあってるのはわかってるんでしょ?」


 恥ずかしそうにこくっと頷くガロウ。なら、進められるなら進めてもいい気がするけど。



「だが、生まれてからずっといたからなぁ……、告白するにしても、なんか今更感が」

「あぁ、機会を逸したってやつ?」

「そう、それ!」

「なるほど。あ、カード配り終わったから、確認よろしく。7があったら、抜いて置いて」


 僕のところに7は……2枚あるね。やった。結構、有利だね。ジョーカーも入ってるし。



「あ。ジョーカー入れてるけど、大丈夫?」

「はい。勿論」

「構わない」

「了解。ジョーカーの扱いを確認しとくけど、ジョーカーは他のカードと二枚セットで出してね。ジョーカーは他のカードの代替。出したらその人が持ってるその数字と交換して、代替元のカード持ってる人がジョーカーを持つ。つまり、今なら7が出てるから、6か8しか出せないけど、ジョーカーがあれば、ジョーカーに6か8を代替させて、5や9を出してもいい。ってこと。で、いい?」


 うん、頷いてくれた。この辺、ローカルルールとかあるかもだから、確認しとかないと後で、しんどいんだよね。



「後、1とK(13)は繋がってるって認識でいいか?」

「うん。1出てたら、12が出てなくても、13出していいよ」


 じゃないと、詰まりやすくなるからね! 特に、今は3人しかいないし。



「順番はカードが一番多い人から行こうか」

「じゃあ、俺か。その次は?」

「カイさんどうぞ」

「いやいや、後輩だし、コウキからでいいよ」

「僕、転生者なんですが…」


 それは前に聞かせてもらってる。でも、いいじゃん。



「了解です。なら、そうします」

「うん、そうして」


 さて、序盤も序盤だから、特にカードを止めるとかはいっか。けど、ジョーカーは僕持ちだし、クローバーの9と4っていうほどよく広い範囲のがある。ここを止めておけば、いいかな? クローバーの3はあるけど、4は止めといても、3もないからジョーカー出せないし、良い感じな気がする。



「それで、どうするのさ、ガロウ兄さん」

「え。さっきので許してくれないの?」

「「くれない」」

「だとしても、進める必要はあるでしょ?そも、父さん達を見てて、それはわかってるでしょ?」

「わかってる。わかってるが、やっぱこっ恥ずかしいんだよ!」


 だろうね。僕は今まで好きになった人はいないけど、思いを伝えるのはしんどいってよく聞くしね。…伝えられるのもしんどいって聞くけど。



 カードは順調に減ってる。けど、スペードの9が未だに出てこない。まだいいけど、どっちか止めてるね。



「まぁ、ここでごり押ししても仕方ないし、これ以上はつっつかないけど、その辺はいつかちゃんとしてあげてね?」

「ほぼ結婚まで確定してるのは、見てたら分かるけどさ」


 …何で目を丸くしてるのさ。



「いや、普通、そこまでわかってたら、他に好きだなーって人いるって聞くか?」

「「聞く」」

「マジかよ!」


 純粋に興味があるからね! 下世話な話って言いだしたのは牙狼だし、遠慮なく行くよ!



「昔の俺をどつきたい」

「どついてもどうにもならないよ?」

「し、どうにもしてあげないよ!」

「性格悪いな!」


 かな? 習先輩とかには出来ないけど、なんとなく、牙狼ならいいかなって感があるんだよね。……まぁ、習先輩に聞いたら純度100%ののろけが返ってくるんでしょうけど。「四季が好きだよ」って。



ていうか、それ以外の解答が返ってきたら、清水先輩がその場に居合わせたら死ぬ。そんな確信がある。



「じゃあ、俺の解答もわかってんじゃねぇか!レイコ以外に考えられねぇよ!」

「ほんとに?レイコ姉さんって、母さんに比べれば胸ないよ?」

「胸だけ見てるのか?こわ…」

「何そのテンション…。例えばに決まってるでしょ、例えばに。僕を胸しか見ない人みたいに言うのは止めて?」


 両方大やけどしてるじゃん。む、そろそろクローバーの9きっとこ。



「カイ先輩も大けがさせたい…!」

「え。犯罪予告?」

「違うに決まってんだろ!?」


 めっちゃわたわたする牙狼。素直だなぁ……。



「わざと!?」

「そりゃね」


 今の流れでワザとじゃなかったらそれもう、ド天然だよ。間違いなく。



「カイ先輩は気になる人とかいないのか?」

「いないねー」


 先輩方は先輩方だから、一緒に居て楽しいとか、そういう好きはあるけど、一緒になりたいとかはないし。そもそも、同級生の女の子とはあんま喋ってないし…。



「意外」

「でもないでしょ。好奇心があれば突っ込むけど、なかったら突っ込めないし。そも、あっても、異性のところには行きにくいよ。心情的に」


 ここでぐいぐい行けるようなら、間違いなく陽キャ。もしくはひたすらに空気が読めないやばい奴。



「でも、姉ちゃんたちには突っ込んでるよな?あ、こっちは先輩の同級生の方な」

「それはなんかいいかなって。喋りかけてくださってるから、知らない人って方が少ないもん」


 知らない先輩には話しかけにくいけど……。



「じゃあ、姉さんたちは?」

愛理(アイリ)ちゃん達?愛理ちゃん達は愛理ちゃん達って枠なんだよね」


 愛理ちゃんは明らかに習先輩と清水先輩が好きなの見えてるから、微笑ましいなーって感じ。



華蓮(カレン)ちゃんはハイエルフだからか、喋り方があんなんなのに、どこか超然としてて、そんな気持ちはない。



礼子ちゃんは固定カプで論外。瑠奈ちゃんは言動が幼いから、そういう枠に入らない。



瑞樹(ミズキ)ちゃんは瑞樹ちゃんとしか言えない。分裂して活動してるのが、なんかもう、何とも言えないんだよね。



「なるほど。じゃあ、小鳥姉は?」

「小鳥?小鳥は……」


 そういう枠とかはないね。てことは、小鳥は恋愛対象になりうる……のか?



「どうなんだろ?」

「いや、表情読んでいる前提で聞いてこられても」

「知らないとしか、答えようがないかな」


 だよねー。どうなんだろ。ま、いっか。よし、クローバーの4も出しとこ。あ。ジョーカーより先に出しちゃった。……まだ何とかなる!



「そういう幸樹はどうなの?」

「姉さんたちは姉さんですから、恋愛感情は当然ないですね。小鳥姉さんも僕とミズキはガチで血縁あるので、恋愛対象にはなりませんし…」


 だよねー。あ、スペードの9まだ出てないし、いい加減、ジョーカーきっとこ。



「うっげ、ジョーカー!」

「そろそろ切らないとマズいからね」


 牙狼が持ってたのね。…途中からそんな気はしてたけど。幸樹だと、ジョーカーのこと考えてそろそろ切ってそうだし。



「なら、他の子とかは?」

「うーん、普通に好きになるとは思う。でも、今はいないかなぁ。正味、顔だけで見てると姉さん達に勝てない」


 それはそう。綺麗も可愛いも揃ってるから、ほんと、見てるだけでほえーってなるよね。



「なってる?」

「言葉足りてなかった。最初だけね?今は見かけたら普通に話しかけてくれるから、「ほえー」ってなる余地があんまりない。し、人柄知ってるからねぇ。なんていうか…、僕より若いのに頑張ってるなぁって、ほんわかする」

「ルナとコウキ、ミズキは実年齢でみると、余裕で年上だけどな!」


 知ってる。でも、瑠奈ちゃんはほんわかする筆頭でしょうが。瑞樹ちゃんに関しては黙秘したい。



「黙秘ってことは、それ、僕も含まれるんだけど……?」

「幸樹はあんまり接する機会がないからね…。礼子ちゃんや牙狼、瑠奈ちゃんもだけどさ」

「それは確かにそう。アイリ姉さんやらカレン姉さんやらミズキが、フットワーク軽すぎるんだよ」


 ねー。魔法が便利すぎるんだよね。一人でどこでも行ける愛理ちゃん華蓮ちゃんに、もはやどこにもいる可能性のある瑞樹ちゃん。



うげっ、ジョーカー帰ってきたし。都合よく出せるから、さっさと処分処分。



これでちょうど、僕の手札はもう一列に二枚しか空きがない手札になったから、ジョーカー負けはないね。



「てことは、カイさんまともな恋愛できない……?」

「かもしれない。まぁ、別にいいよ。最悪、遺産は全部、華蓮ちゃんにぶん投げるから」


 雀の涙みたいなものだろうけど、国に取られるよりはいいでしょ。知らんけど。



「あ。なぁ、この盤面って、俺の負け?」

「ん?」


 …あぁ、確かに。そうかもね。既に一列埋まってて、残る三列は空きが二枚だけ。ここでジョーカーはもう出せない。



「ジョーカーあれば負けだね」

「ですね」

「がぁぁ!」


 となると…、僕と幸樹の残るカードは二枚。でも、順番的に次は幸樹。



「だから、自動的に幸樹が一番で、僕が二番。牙狼が三番だね」

「ですね。もう一回やります?」

「うん。やろっか」


 一回で解散はもったいないしね。

 お読みいただきありがとうございます。

 誤字や脱字その他諸々、何かありましたらお知らせいただけますと嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ