122話 センター試験1日目
2018年想定なのでセンター試験です(今は共通テスト)
時間割は調べていますが、次の共通テストも同じとは限らない……というか、違うはずです。私のを参考にせず、ちゃんと当該年の日程を調べてください。特に受験者の方や、親類などに受験者がいらっしゃる方。
今日は待ちに待ってないセンター試験当日。昨日のうちに色々確認して鞄に詰めたから、忘れ物はないはず。……ないよね?
再確認しとこう。まぁ、必要なのほぼ限られてるけど。受験票にー、受験上の注意にー、学生証にー、英語とか書いてない時計。後、筆記用具。鉛筆、鉛筆削りに消しゴム。
……後、シャーペンも持ってとこ。鉛筆でマークしろって言われてるけど、別にシャーペンで塗ってもいいでしょ。後はお金と飲み物とお弁当。これで完璧。一応、参考書も詰めてっと。詰め忘れはないね。よし!
制服で突撃するから英語書いてるとかもなし! OK! 時間はまだまだ余裕があるけど、さっさと会場に向かおうか。会場は迷う余地のない菊桜大学。っと、受験する建物どこだこれ。
んーー。あぁ。南かぁ! 出町柳駅から東に一直線に行くと今出川通があって、その北に理学・農学が集まってるとこがある。南に工学と文系が集まってるところがあって、さらにもう一本、南にある一条通を挟んだ所に総合人間学部がある。その位置にだ。…割と遠いな。さっさと出といて正解だったかも。
まぁ、さらに南に行かされる医学・薬学よりは近いけど。もはや出町柳よりも一駅南の神宮丸太町のが近い。
はい到着。自転車は所定の場所に止めて、二重ロック。あれ。まだ建物には入れないのね。まぁ、適当にぼさっと待っておこう。社会は地理選択だし、地理の勉強。統計……はあんまりにもドストレートなの出ないし、各地の名産とか確認しとこっか。いや、輸出入額くらいは見とくか……?
んー。しばらく勉強してたら寒くなってきた。自習室が空いてるらしいとはいえ、そこに行くのもちょっと不安だったからなぁ……。
「カイ。おはよう。めちゃ寒そうだけど、ずっとここに?」
「あ。習先輩に清水先輩。おはようございます。そうです。割と早めに来てここです」
手が少し震えてる自覚があるから、寒そうって思われたんだろうな。まぁ、寒いんだけど。
「私達、社会は一科目選択なので、二科目目の入室締め切り時間である10:15分までに会場に居ればいいのですよ?」
「わかってます。が、早く起きてしまいましたし、さっさと来ておこうの精神です」
「そ、そっか…。まぁ、建物開放されたし、入ろう。そんであったまりな」
そうします。でも、もう入れるんですね。まだ9:30とかなのに。
「社会二科目受験者と一科目受験者で部屋……というか建物が別れてるみたいだしね」
「まだ受けてるのに新受験者が!?とかはないですし、逆に私達はまだもう一個理科を受けるのに、帰るの!?とかもないです」
その辺は模試と一緒なんですね。さすがに。
受験票を係の人に見せて建物へ。さらに案内板を見て自分の部屋に。わぁ。習先輩達と同じ部屋だ。そんで、座席もめちゃ近い。てか、番号あってるよね? もう一回見直しとこ。いや、一回と言わずとも何回も見とこう。机のシールと受験票の番号一致ヨシ! 黒板に書いてる受験番号の列もちゃんとここだし、やっぱり番号は合ってる! ヨシ!
「近いね。俺ら」
「ですね」
習先輩達も割とすぐそば。他にも知り合いがこの部屋にいる。でも、法則が分からない。連続してるようで、してないし…。
「同じ高校の人は基本、同じ会場にはなるらしいね」
「よほどその会場が遠いという場合は別ですが。だから、同じ高校の人が同じ部屋って現象は起きやすいとは思いますよ。配置は分かりませんが、」
「多分、出願受理順。うちの高校だと、各クラスであいうえお順一括で出してる。だから、俺らが近くにいて、他の高校とかが先に受理されたとかでちょい崩れる。そんな感じなんじゃない?」
「なるほどです。となると、矢野先輩も同じ部屋ですかね?」
「だね。まだあいつ来てないけど、受験番号はこの部屋」
あ。そっか。部屋は受験番号でわかるのですね。
「じゅっけん。じゅっけん。じゅっけーん!」
めっちゃ元気な百引先輩入ってきたぁ。知らない人もいるのによくやるなぁ。
「まだまし。他でテストやってるかも?って声量を自重してる」
「してなきゃ、「共通テストを駆逐してやる……!ひとつ残らず!」とか叫びながら入ってきますよ」
「どんなメンタルしてんすか」
あの人。いや、だいたい知ってますけど。
「あんなメンタル」
習先輩が顎でクイッとした先には「勉強道具出そー」などと言いながら菊桜の赤本25ヵ年国数英理を出してる百引先輩の姿が! やってることヤバくて草も生えない。数理とか明日ですやん。絶対、要りませんやん。
「そも国語も持ってくるなら古文単語や漢文の文法とか見てる方が絶対有意義」
「英語も単語帳か文法書を見てた方がいいかと」
ですよね。何の役に立たせようと思って持ってきたんだ。赤本。
「そら周りを威圧する意図でしょ」
「羅草先輩……」
急に話に入って来て、何言ってんのって顔でんなこと言わないでください。わかってたなら止めたほうが良かったでしょうに。
「急に話に入らない方法ってなくない?んで、あの馬鹿を止めれるわけないじゃない。止めた上であれなのよ」
「止めなかったらあの人、何するつもりだったんですか」
「さぁ?青本持ってくるか、一産の赤本も持ってくるかじゃない?」
うわぁ。鞄耐久レースでもしてんですかね、あの人。
「てか、周りを威圧する意味ってあります?」
「皆無に決まってんでしょ。昨日、先生も言ってたじゃん」
ですよねー。
「センター試験の周りの人がライバルの可能性ってそんなないって言ってたしねぇ」
「志望校がどこであろうとごちゃ混ぜで受けさせられるわけですし。だからこそ、志望校同じであっても、だいたいの人は赤本見ても「あ。志望校が同じかもしれない」で終わりますし」
だいたいて。じゃあ、例外はどうなんですか。
「「筋トレしたいのかな。あの人」とか「自己顕示欲強い人」とか「威圧しようとしてて草」でしょ」
羅草さんが言ってくれてる内容的に同じ志望校の人に威圧できてなくない?
「わね。同じ志望校の人でも「あの人賢そう!?」って思う人がゼロとは言わないけども、単純な確率の問題ね。同じ学校なら普通に志望校知ってるから、改めて言われなくても知ってるもの」
ですよね。マジであの人、筋トレしたいだけ?
「いや、周りの人に圧かけて悦に浸りたいだけよ。あれ。言っちゃアレだけど、菊桜は最上位の大学。それを見て「うわ。賢そう!」ってなっちゃう人は出るわ。そんな人に対する威圧ね」
「性格悪くないですか」
そも、そのためだけに持ってくる意味も分からん!
「あーでも、ワンチャン周りの子が全部賢そう……!って思ってる人が正気に戻るかもしれないわ」
「戻らないと思うよ」
「ですね」
「あー。聞こえなーい。そも、センター試験は周りの人がライバルな可能性は低いんだから、あんま気にしない方がいいって先生がおっしゃってたでしょ!それで|FA《Final answer》!ライバルいたとしても、合格者がすんごい少ない場所でもないなら、その子を潰す必要ないんだし!」
ですね。…マジで何したいんだ。あの人。持ってきた赤本をダンベル代わりにして筋トレしてるくない? しかも何で片手に持てるの? って量を持ってる。勉強をしなさい。
「他人のフリしたいけど、あいつ、制服着てんのよねぇ」
「僕らも制服ですしねぇ」
「うわ。あいつの同じ高校かー」って他の高校の人から思われますよね。まぁ、んなの気にしてる場合じゃないですけど。僕は。
「勉強してれば気にならなくなるので!」
「それもそう。ツッコまずに勉強しよ」
「ですねー」
「わね。なんか不満そうな顔してる気がせんでもないけど、気にしたら負けよ」
というわけでとっとこ勉強。ひたすら最後の確認をして、入室締め切り時間より15分前にはトイレに行っといて、いざ本番。
配りそびれとかが無いようにかテスト用紙の配布が早いから割と暇。来たばかりだからか、受験票の顔写真の周りにシール張っといてって言われても、んなのすぐ終わるし。袋とじを破るのもすぐ終わるし。指示に従って、受験番号書いて、解答科目にマークまでしたらすることがもうない。注意事項を読んどけって言われてもこれくらいだとすぐ読めるし。
独特な時間を頭の中で軽く復習してると、開始の合図。さて、まずはちゃんと地理Bを探さなきゃ。「地理」だけを見て解くと酷いことになる。「地理」あった! 地理Bよし! さー! 解くぞ!
無事終了。マークがズレてることもないし、ちゃんと問題に解答もメモした。これで日曜日にテスト終わってから自己採点できる。何問か微妙なのあったなぁ。どうせ半分くらい間違えてるんだろうな。でも、あの問題は正解できてるね。世界史の方に世界地図書いてくれてたし。赤道の位置関係とかをしっかり把握出来たら間違えない問題だったもん。
「カイ。お昼ごはんは一緒に食べる?それとも、他のクラスの子とかと食べる?」
「ちな、あたしは聞かれてないけどアキのとこ行きまーす」
行ってらっしゃいですー。
「僕は習先輩達と食べます。他のクラスに友達いますが、そいつらは部屋違いますし、「テストの出来どうだった?」の流れから採点みたいな雰囲気になって「ミスったぁ!」ってなりそうですし」
ミスったぁ! って言ったって、テストはもう終わっちゃってますからね。難しいですが気にせずに次に……ってのを考えると、どう考えてもそんな話にならなそうな皆さんと一緒のが楽です。
「そう言われるとあえて「どうだった?」って聞きたくなるけど……。さすがに聞かないよ」
「聞かれる前に私の出来を勝手に言っときますと、私は大丈夫です。習君もですよね?」
「うん。タクも一緒だよね?」
「もち」
聞かないのに言うんかーいってツッコミ待ちですか? まぁ、聞きたい気持ちがあったのは否定しませんけども。ちゃんとできてらっしゃるんだろうって確信ありましたが!
喋りながらご飯を食べて、いい感じのところで打ち切る。かるーく外で風を浴びて気分を切り替えたらまた直前勉強。なんかまた百引先輩と有宮先輩がはしゃいでるっぽいけど、気にしない。赤本でタワー作るなし。
遠くまで行ってないから、余裕で帰還。受験票も持って行っておいて良かったね。無かったら建物から離れられなかった。
お。百引先輩帰ってきた。…なんかまた赤本両手に持ってるけど。騒いでないけど手を上下に上げ下げしながら移動してるの、軽いテロでしょ。騒いでるわけじゃないから追放されるわけでもないのはバグでは?
どーしようもできないし。いっか! 国語はマークするところをミスらないようにするだけ。評論小説古文漢文で大問に分かれてるわけでもなし。いつもどおり先頭から解いてこうか。時間は足りるし、変に古文からやったりしてマークミスったらやべーことになるし。
英語の筆記まで終わって、最後のリスニング。筆記とリスニングの間に休み時間があるの、ちょっとだけ違和感。リスニングの対策なんざ何しろって。
「雑談しようぜ!」
「うわ出た」
「出たって何よ」
「鏡見て?」
何で今も赤本トレーニングしてんですか。てか、今の今まで話しかけてこなかったのに。何で今更話しかけてくるんです?
「トレーニングはネタ。ほら、見て。この赤本、振ると音がするんだ!」
「お、おう」
なんかすんげー鈍重な音が鳴っていますね。何入ってるのやら。
「この赤本にだけ、ダンベルが入っている!」
「馬鹿ですか?」
開いて見せてくださった本……ではないな。中央がすっぽりくりぬかれた本っぽい何かの中にダンベルが! 可哀想な本。
「ちなみに30kあるよ!」
「ほんと馬鹿なんですか」
「でぇじょうぶだ。一個しかないよ!」
そーゆー問題じゃないんですよねぇ。左右のバランスが……ってのも突っ込まないほうがいいか。
「で、百引さんは何しに来たの」
「愛ちゃんならすぐそこにいますけど」
「ちっちっち。私が常に愛ちゃん達と一緒にいると思ったら大間違いよ!たまには他の人と構いたくもなるわ!今日はもう勉強するような教科は終わったし、割り込んでもいいかなって。リスニングで勉強する気はないでしょう?」
「確かにないですけど。奇行やりまくった人に来られましても」
困る。周りからの目が。
「はっ。周りからの目なんざ気にする必要はないわ!私は私!」
「そういう話でもないんですがね」
ヘイト集まるっつってんですが。
「気にしたら負け。私の行動で動揺するならその程度ってことよ!」
その動揺って、奇行すぎてってのが強そう。「うわ、あの人、賢い!?」とか思う人いないんじゃないかなぁ。
「試験監督の人になんか言われなかったのです?」
「言われんわね。気分転換(?)にトレーニングしてるだけだし」
「どの面フレンズ」
「この面」
知ってた。まぁ、なんかツッコんでたらいい感じに力が抜けて来たような。まさかこれが狙い……!? なわけないか。
「ちょっとトイレ行ってきますね」
「お。もうそんな時間?じゃあ、私も。混んでも困るし。四季ちゃんや愛ちゃんも行くかい?」
超ドストレートに誘いますやん…。ぼかさなくていいんですかね。まぁいいや。僕はてってこトイレに行きましょ。まだすいてるところで用を足してさっさと席へ。水分補給して、携帯の電源を再度確認して、ヨシ!
しばらくしたら、着席終了時間が来て、音源の配布。動作確認やら、なんやらを済ませたら待機。この部屋は幸いなことに風邪気味の人はいないし、なんか騒ぐ人もいまのところいない。再テストとかならなさそうでよきよき。
開始の合図で再生開始。さぁ! やるぞ!
ふぅ。終わった。ちょくちょく心配なところはあるけれども……。まぁ、8割は確実。首の皮は繋がったかな。
「お疲れ」
「はい。お疲れ様です。今日はもうとっとと帰ってのんびりする予定ですが…。習先輩達はどうされますか?」
「俺らは子供たちが来てるから、子供たちと帰るよ」
「来ますか?」
「いえ。お誘いいただいて嬉しいですが、今日は疲れてしまったので」
珍しく帰ります! というわけで、さよならです! また明日のテストで会いましょう! 忘れ物がないかだけもう一回確認。よし、OK!
さー帰るぞ! 自己採点は鋼の意思でせずに、明日を迎えるぞい! あ、でも、つかれたとはいえ、ちょっと心配だから有機だけ確認しとこうかな。
お読みいただきありがとうございます
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