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神の娘と人の皇太子  作者: 丸
7/8

天照大御神のお話。

お久しぶりです。

 応接の間の前に着くと朱理は3回戸を叩くと、

「朱理です。」

と名乗ると中から、

「入るのです。」

と聞こえたので朱理は戸を開き入室した。

 そして、天照大御神の前にある椅子の横に立つ。

「座っても良いですよ。」

と言われたので朱理は椅子に腰掛ける。

「で、天照大御神様、何の御用ですか?」

と訊ねた朱理に天照大御神は、にこにこと微笑みながら口を開いた。

「朱理、人間界の皇太子について知っていることを答えなさい。」

といきなり言われた朱理は戸惑いながら口を開いた。

「は、はい。人間界の皇太子様は、貴女様の血を引く人です。御年は20歳。そして、後宮での寵姫は一人もいなく、正妃も決まっていない。・・・としか分かりません。申し訳ございません。」

知っている情報と謝りを入れると天照大御神は、静かに微笑むと口を開いた。

「朱理、これからが本題です。」

「はい。なんでしょう。」

と聞く朱理に、天照大御神は、ゴホンと咳払いをして、

「朱理、貴女には皇太子の正妃となってもらいます。」

と言われた朱理は、何の冗談だと思い口を開いた。

「えっ?えーっと、皇太子様の正妃って、もちろん冗談ですよね?」

と聞いてきた朱理に天照大御神は、溜息をつくと、

「朱理、冗談では無いですよ。朱理は人間界の皇太子の元に嫁ぎ、正妃となってもらいます。」

と、優しい眼差しで宥めると、朱理は今すぐ寝所に戻って眠ってしたいたい衝動にかられてしまったが、その前に質問しょうとおずおずと手を挙げた。

「あのう、どうして私なのですか?」

 と訊ねた朱理に天照大御神は、申し訳なさそうに口を開いた。

「朱理、それには理由があるのです。1つ目は、貴女が妾のお気に入りの姫で、強い霊力を持つのでこの天界か人間界の正妃となってもらわなければならないことになったのですが、朱理は半分人間の血が流れている為に、人間界の正妃になった方が良いのではと決まってしまったのです。・・・で、もう一つの理由は、人間界の皇太子は、まだ恋をした事が無いのです。だから、妾のお気に入りの姫、弟子部門でぶっちぎりで一位である朱理、貴女に最初で最後の恋や愛を教えてあげて欲しいのです。」

と言われ朱理はいろいろとツッコミたいことがあったがそれを内心に留める。

 そして、朱理は考えた。

 確かに天照大御神様に気に入って頂いているのは大変光栄なことだと思いますし、嬉しいのですが、人間界の皇太子の正妃、しかも、まだ一度も恋をしたことのない私が恋や愛を教えるとは、かなり困難になると思われる話。

 そもそも、一度も会ったことが無い。

 ですが、人間界の正妃になると菓子を毎日食べることが出来ますね。

 それに、私は天照大御神様の期待を裏切りたくはありませんし、ここはお受けいたしましょう。

「分かりました。私、朱理は人間界の皇太子の正妃のお話、お受け致します。」

 と言うと、天照大御神はニコリと微笑むと口を開いた。

「頼みましたよ。・・・では、明日の巳の刻に王宮の近くの山、鳳龍山の滝の前に行くのです。明日はお見合いです。」

と言うと天照大御神は、立ち上がると応接の間から出て行かれた。




 


 その頃、青年は忌部低から王宮に帰っていた。

 そして、己の寝所に着くと乳兄弟の浩が来たので早速今日あった事を話した。

「浩、俺は天女に会った。」

 と言うと浩は、

「へえー。そんなに美しい人に会ったんですか?何処の妃ですか?」

と勝手に後宮の妃だと思いこんでいる浩に内心溜息をつきつつも訂正した。

「違う。俺が出会ったのは後宮の女では無い。・・・神の娘だ。」

 と言うと浩は、心底驚いたらしく目を丸くして

「えっ、神の娘を見つけたんですか?ど、どんな姿でした?」

と聞かれ、青年・柊は口を開いた。

「姿は人と対して変わらない。・・・顔以外は。」

と言うと浩は、

「そうですか。」

と呟いたので柊は頷いた。

「ああ。」

そう、彼女は人よりも美しかったし神気も持ち合わせていたので、何者かが気になって訊ねてみたのだが今となっては、かなり嫌な聞き方だったと思う。

 そして、そんなことをした男に抱きあげられて嫌だったのではないだろうか。

 抱きあげられて・・・。

 そう、自分は初めて女性を抱き上げたのだ。

 今までは、この顔と皇太子という身分のせいで自分自身を見てもらえず、皇太子妃という身分を欲しがる女達には、一切近づこうとも思わなかったのだが、彼女は、今まで見ていた女と違った。

 容姿は人よりも美しいのに呪いを解く霊力を持ち、しかも、彼女は今まで、身内以外の男に触れられたことがないらしく、彼女を抱きあげ移動している間、彼女は真っ赤な顔で身体をこわばらせていた。

 今度、忌部邸に行って彼女がいたら謝ろう。

 そして、仲良くなろう。

 そう思っていていると浩からの視線を感じたので浩を見ると、心底驚いているらしく目を丸くしていた。

 だが、今度は何で驚いているのかが分からない為、口を開いた。

「なんだ。」

 と、問いかけると、浩は、

「いえ、貴方様が微笑んでいたので。」

と言い出したので柊は、

「そうか。」

と呟く。

 それを見て浩は口にはださなかったが、何を考えて微笑んでいたのだろうか?

だが、きっと今日出会った神様の娘のことを考えていたのだろう。

 と、思った。

 すると、急に神気を感じ神気を辿ると、そこには天照大御神がおられた。

 なので、浩は柊に

「柊様、天照大御神が現れました。」

と、伝えると柊は神気を辿り天照大御神を見つける。

 天照大御神は微笑みながら立っていた。

「天照大御神、急に来られてどうされたんですか?」

と訊ねるといきなり衝撃的なことを口にした。

「柊、貴方の正妃を選んだのです。」

それを聞いて柊は固まった。

「は」

いきなり何を言っているのか。

 この神は御自分が何を言っているのかが分かっているのだろうか?

 そう思っていていると天照大御神はそれはもう嬉しそうに口を開いた。

「柊、貴方の正妃となる姫は朱理といって神と人の間に生まれ、強い神気と霊力を持つ姫で妾のお気に入りなのです。そして、必ず良い皇妃となる子なのです。」

と言われ、柊は、

「まさか、布刀玉命の娘の朱理姫のことですか?」

と聞くと、天照大御神は心底驚いたらしく目を見開いた。

「柊、どうして、朱理のことを知っているのです。・・・そうです。柊が知っている朱理のことで間違いありません。」

と言われたので柊は、

「それは、昨日呪いをかけられたので、呪いをときに忌部邸に行くと、偶然いらっしゃたので、呪いを解いて頂きました。」

と言うと、天照大御神は溜息を零した。

「全く、影には困ったものです。・・・今日、朱理に会ったのですね。その割には、あの子は、お菓子に釣られて決めてたわね。・・・まぁ、明日の巳の刻に王宮の近くの山、鳳龍山の滝の前に行くのです。そうすれば、朱理に会うことが出来ますよ。」

と言われたので、柊は、天照大御神にお礼を言った。

「ありがとうございます。」

すると、天照大御神は、

「良かったわ。・・・では、帰りますね。」

といって消えていった。

 すると、ずっと黙っていた浩が、口を開いた。

「柊様、その、朱理姫が今日お会いした神の娘ですか?」

と聞かれたので、柊は頷いた。

「ああ。朱理姫が正妃に選ばれて良かった。」

と言うと浩に、

「良かったですね。」

と言われたので柊は頷いた。


 

 

 


 

 


  


次はいつになるか分かりませんが、待っててくれたら嬉しいです。

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