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章 呪いを良くかけられる皇太子
章です。
よろしくお願いします。
ある満月の晩、一人の青年は物音が聞こえ眼を覚ました。
青年は、いつも通りまだ寝ているように見える様子を装いつつも、薄暗い闇の中を必死に眼を凝らしていると、一人の女官が入って来るのが見えた。
(こんな時刻に一体誰が・・・・。まさか、暗殺者かまた影の術士か?)
青年は女官に気付かれないように枕の下に手を差し入れ、そこにいつも隠している魔除けの短刀を掴むと魔除けの結界を張る。
女官はその結界に気付くと舌打ちをして、青年の方を向くと手を突き出して、
『まがものよ、まがものよ、この者の中に入り込み呪いを授けたまえ』
と呪詛を唱えると、赤色の光の粒と紫色の光の粒が現れた。
紫色の光の粒は、魔除けの結界によって弾かれていくが、赤色の粒の方は青年の中に入っていく。
「ゲホッ」
青年が咳込んでいる間に女官は寝所から出て行った。
その光景を最後にし、青年は寝台の上に倒れた。
短いですが、このベージは終ります。