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迷子の村人は方向音痴を駆使して家に帰りたい!  作者: 風来坊ムラサマ
帰り道を求めて
9/50

衝撃の事実と聖女が聖女でなくなった理由

大変長らくお待たせ致しました!

体調崩して寝込んだり筆が進まなくてグダったり蜘蛛男に夢中になったりしてようやく最新話をお届けすることが出来ました!


「でもその前に1つだけ。何故アナタは聖女を辞めたんですか?」



ずっと抱いていた疑問だ。


クンリもまともな考え出来んじゃん!



「私は生まれ持っての露出狂だ。しかし、同時に聖女でもあった。聖女たる者過度な露出は許されない…勇者パーティーに加わっても尚私はその苦悩に苛まれ続けていた」



これは真面目な話な筈だ。


元聖女が平然と自分が露出狂であることを暴露しているのを見て少し不安になる。


ビキニアーマー着用の時点で不安しかないわけだけど。



「しかしそんなある日、勇者であるエレキの策略により私は純潔を失い、果てには聖女の証である治癒術も使えなくなってしまった。これが意味すること、即ち脱聖女!」



グッと握り拳を作ってガッツポーズを取る聖女に冷ややかな視線を。



「晴れて私は聖女ではなくなり、ただの露出狂として目醒めることが出来た。これだけはエレキに感謝しなくてはいけないな」



聖女より露出狂の方が勝るとは皮肉なものだ。



「しかしただの露出狂となった私は無力同然。魔物が闊歩する外に置いて行かれても困るからエレキの言いなりになって何度も肉体(からだ)を交えた」



つまりキリエは最初こそは不可抗力だったもののそこからは生きる為に自らの意思でエレキと行動を共にしていたのか。


聞いた感じではエレキに対する信仰やら執着はないらしい。


寧ろ疎ましく思っていたのではないのか。



「だがそんな忌々しい関係は5年前…勇者生誕の村と呼ばれたヴェクトリッヒでの一件以降、一変したんだ」


「勇者生誕の村…そんなのがあんのか」



世界は広いな。



「まだ寝惚けてるのか?ヴェクトリッヒは君が住んでいた村だぞ」


「はい?」



全世界が震撼する事実に思考が止まる。


それも当然で、俺は村の名前どころか村がどう言う立ち位置だったのかなんてことは20年の人生の中で1度も気にしたことがなかった。


勇者生誕の村、ヴェクトリッヒ。


言われてみれば村にはそれっぽい要素が散りばめられてた気がする。


俺の家の庭に生えていた馬鹿でかくやたらと丈夫な大木。


村の中央に無造作に突き刺さった神々しさすら感じる小さい頃に試したけど抜けなかった剣。


昔見た村長の家に飾られたまたまた神々しい鎧。


魔物が一切発生しない村含めた周辺地域。


夜になると村中を飛び回る謎の光。


何で今まで不思議に感じなかったのか。俺の目は節穴か。



「だから、君がいたむ」


「いやいやそれは分かったから!え?何?つまりエレキは同じ出身ってこと!?」


「それは違います」


「何でお前が知ってんだよ」


「女の勘ってやつですよ」



当てにならない勘を主張するクンリはさておき、この情報は大きい。


村の名前が分かったってことは後はそこを目指して行くだけと言うこと。


これでぐっと帰り道が縮まった気がする。



「とにかく!これで村の場所が」


「話を戻すけど…」



そう言えばまだ話終わってなかった。


ごめんな、ビキニアーマーの人。



「君がご存知の通り、エレキはヴェクトリッヒに訪れた。目的は勇者の剣と鎧を手にする為だ」



なるほど、勇者生誕の村と呼ばれる程だ。


あの剣と鎧は恐らく勇者専用だったんだろう。通りで抜けなかったわけだ。



「だが、奴は剣を抜くどころか鎧を身に着けることすら適わなかった」


「何で?」


「私にも分からない…ただ触れようとした途端、小さな光に触れるのを妨害されてたみたいだったな」



夜飛び回ってたあれか。もしかして悪戯好きな妖精だったのかな?


思えば毎晩寝てる俺の頭を小突いてたのはそいつだったのかもしれない。


スエナかと思って言い掛かって口喧嘩になったりもしたんだぞ、絶対に許さん!



「それで怒ったエレキは腹いせにとうとう村の女に手を出した。目を付けられたのが…」


「スエナか…」



まさかそんな事情があったとは。にわかにも勇者がそんなことするとは信じられないけど、事実は事実。


俺の記憶に新鮮に保存されている。


どっちにしてもスエナは俺より勇者を選んでたみたいだし、今更未練がましくとやかく言うつもりはない。



「翌日、スエナと言う女はもう1人、スエナと名乗る女に連れられて姿を消した。それ以降は行方知らず、と言ったところだな」


「は?拉致されたのか!?」


「その後すぐに発ったから分からないが、既に戻ってるかもしれないな」


「そうだといいけどよ… 」



心配だ。幾ら寝取られたとは言えど幼馴染は幼馴染だ。気にならないわけがない。



「まあ、そんなこんなで旅をしていた私は探索していた遺跡で勇者達とはぐれ、このビキニアーマーと出会った」


「ちょっとよく分かんねえな」


「恐らくその遺跡に何者かが遺したんだろうな。酷く古びてはいたが…私が触れた途端に光と共に生まれ変わったんだ。露出狂の私と見事マッチングしたに違いない」



誰かこいつの頭バラして見てあげて!やばいよ!!



「へえ、凄いですね」



隣で感心しているクンリに冷ややかな視線を注ぐ。類は友を呼ぶと言うが、まさにこのことだろう。


感性が理解出来ない…。



「そうだろう、凄いだろう!その後、私はビキニアーマーの導きにより無事に遺跡を脱したんだ。勇者達は私を見捨てて先に行ったか、まだ遺跡を彷徨っていたのかは分からないが、チャンスと見た私はビキニアーマーを駆使して安定した生活に戻ることが出来た」



どう駆使したらビキニアーマーが安定した生活に戻してくれるんだよ。教えてくれ。



「そして今に至る」


「なるほどな、事情は分かった。俺は急いでるから帰らせてもらうぜ」



もう嫌だ。こいつらと一緒にいると頭がおかしくなりそうだ。


俺は颯爽とこの場を去ろうと出口を目指す。



「クンリもビキニアーマーと上手くやるんだぞ!」



さり気にクンリとの別れも告げつつ、俺は宿から出ることに成功した。


外に出て色々と解放感を得たところで、俺の腹が鳴った。


そう言えばこの最近飯も食ってなかったな。


いつでも使えるようにと腰に提げてた巾着袋からお金を取り出して数える。


村に売ってた食料の値段からするに多分今持ってるお金で一食分くらいはどうにかなりそうだ。


そろそろお金を稼がないと村に辿り着くまでに野宿しなくちゃいけなくなる。


経験ゼロで手持ちが剣と巾着袋に入った多少の金だけでは正直サバイバル出来る自信がない。


お手軽に稼げる仕事を探すことも視野に入れていこう。


取り敢えずは飯だ。飯を食おう。

炊き込みご飯食べたい。

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