表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迷子の村人は方向音痴を駆使して家に帰りたい!  作者: 風来坊ムラサマ
得た力の代償=帰り道
5/50

鳥は楽勝だったけど元勇者の仲間はなかなか手強かったって言う

5日過ぎる度に1日中チキンナゲットになってしまう奇病を患ってしまって困っています。ちょっとでもいいのでこの作品を支援していただければもしかしたら治るかもしれないと医者を名乗る者に言われました。お願いします、ご助力を…!


ついに俺の怒りが爆発する。


元々クンリとの奮闘で限界値まで達していたものが今目の前にいる化け物鳥3匹のせいでオーバーヒートしてしまったのだ。



「ナマイキナニンゲンメ」


「マズハキサマカラ」


「コロシテヤロウ、コロシテヤロウ!」



臨戦態勢に入る3匹の化け物鳥に向かって腰に提げた鞘から黒桜を抜剣する。


村付近が平和過ぎて魔物と戦ったことなど1度もないが、こう見えて俺は密かに体を鍛えたり剣と言う名の木の棒を振るったりしていずれ魔物に襲われた時の為に鍛錬を積んできた。


さらに黒桜を手にしてからどうも身体の調子がいい。


やばいと言うテンペストドラゴン相手にも無傷で寧ろ殴ってみたりもしてるし以前(ごねんまえ)より格段と強くなってる筈だ。


今こそこれまで積み上げてきた力を発揮する時!



「だからやかましいつってんだろ!!」



いきなり(ついば)んできた化け物鳥Aから距離を取って黒桜を構える。



「まずは、テメエからだ!」



黒桜を両手で掴み、腰を深く落とす。


そして狙いを化け物鳥Aに定め、低い体勢を保ったまま駆ける。



「村で磨き上げたこの剣技…」



自分でも驚く程の速さで化け物鳥Aの懐に潜り込めた俺はその勢いのまま黒桜の刃を化け物鳥Aの腹部へ宛てがう。



「味わうがいい!!」



そしてそのまま前方に飛び上がりつつ化け物鳥Aを斬り裂いた。


ちなみにこの技は俺が村で覚えたと言うか編み出したオリジナル剣技の1つだ。


ひたすら木に向かって木の枝を振るっていたのが懐かしい。


てか今切っ先から赤い光放たなかった?気のせい?


まだ空に飛び上がったままの俺は着地するまでに体の向きを化け物鳥共に変えておく。



「ナンダト、ナンダト!」


「ヨクモヤッタナ!ヨクモヤッタナ!」


「それやめろって言ってんだよオラァ!!」


「ギャー!!」



Aをやられて騒ぐ化け物鳥Bに怒りの刺突を放ち絶命させる。


残るは1体のみ。



「ニ、二ゲロ!二ゲロー!!」



飛び立つ化け物鳥Cには剣先を向けて叫ぶ。



「散々騒いだ挙句に逃げられるとでも…思ってんのかぁぁぁ!!」



勢いのまま剣先から赤い光を伸ばして化け物鳥Cを穿つ。


完全に勢いだけだったんだけど本当に光線を撃ててしまった。


唖然と剣先を見つめていると手も口を出さずにいたクンリが拍手を送ってきた。



「空魔であるコカトリスメンを瞬殺……中々の腕前ですね」


「コカトリスメンって何だよ…」


「だがコカトリスメンは空魔の中でも最弱……」


「うわ、なんか来た!」



よく見たら里の入り口でクンリを紹介してくれた男だ。


お前そんなキャラだった?



「どうやらクンリには会えたみたいだな。どうだ、面倒臭いだろ」


「相当な!」



そうか、やっと理解した。


あの時この男が表情を曇らせたのはクンリに会うことに対して気の毒に感じていたからだ。


確かにクンリと会うことは気軽には進められない。俺だって同じ顔すると思う。


会えば分かるとはそう言うことだったのか。



「それはそうと、関係ないお前を空魔との戦いに巻き込んで悪かったな。詫びと言ってはなんだが先日耳にした勇者の情報を教えるよ」


「マジで!?」


「マジだ。勇者の情報と言っても正確には勇者じゃなくて勇者の仲間、だけどな」



それは助かる。凄く助かる。クンリみたいな奴でなければもっと助かる。



「聞かせてくれ」


「ああ。実は近々あのマレボスの城下町に勇者の仲間の聖女で名高いキリエ様が来訪するらしいんだ」



聖女キリエ。


名前は初めて知ったけど俺の記憶通りならばその女は勇者と一緒にいたやや露出の多い法衣に身を包んだ女だ。


村の誰かが聖女様とか呼んでいた気がする。


スタイルは良かったかな?



「そのマレボスの城下町ってのはどこなんだ?」


「雪国でしかも三大国の1つだぞ?知らないのか?」


「田舎育ちなもんで地理には疎くてな!」


「それなら仕方ないな。マレボスの領土にはあそこの山を越えるか山に沿って迂回していくかすれば着く。ただ最近はマレボス側の山の麓にはテンペストドラゴンって言う化け物が棲み付いててとてもじゃないが行けたもんじゃない。命が欲しかったら迂回して行くルートをオススメするぜ。丁度運び屋も里に来てることだしさ」



ここでさっきテンペストドラゴンと会って来たことを伝えたら運び屋の青年みたいに驚かれるんだろう。変に騒がれても困るし黙って行こう。


またテンペストドラゴンとも会えるかもしれないし、山越えルートで行こう。


そうすれば乗り物ゲットでラッキーだ。



「サンキューな。お陰で希望が見えてきた」


「なんだなんだ?聖女に求婚でもするのか?」


「そんなんじゃねーよ。ただ聞きたいことがあるだけさ。じゃあな、機会があればまた会おうぜ!」


「ああ、またな!」



そう言って俺はそそくさと急斜面な山を降るとか言うか滑って降りて里をおさらばする。


クンリに別れは告げてないがまあ別にいいだろう。


もう2度と会うことはないしな!



「いやー、しかし良かったですね。勇者の仲間の情報が掴めて」


「おう、そうだ……なぁっ!?」



ナチュラルに話し掛けて来たから同じくナチュラルに返したが、これは魔王の呪いよりとんでもない事態が発生している。


隣に、平然と、クンリが並んでいる!



「なんで着いてきてんだよ!?」


「だって、当然でしょう?私は勇者エレキに文句が言いたい、アナタは勇者に何かしらの用がある。ほら、利害の一致です」


「利害の一致って…俺はお前といたくないんだけど」


「何故!」


「面倒臭いからだよ!」


「臭いですか?さっきシャワーを浴びたばかりなんですけど」


「ほら面倒臭い!あー!面倒臭い!!」



わざとなのか天然なのか。


もうこうなればどうにでもなれ精神だ。


俺は深く溜息を吐いて前を向く。



「もう勝手にしろ…俺は疲れたぜ…」


「では今日から私達は旅友(たびとも)ですね」


「…突っ込まねーぞ」



拝啓、村の皆。俺は元気…じゃないです。


まだまだ村に帰るには時間が掛かりそうだけど健気に頑張っていくつもりなのでどうか応援してて下さい。


後、面倒臭い奴が着いてきています。


どっかでくたばるよう心の底から祈ってこれから見守っていて下さい。

魔王滅龍破!!!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ