まさかの裏切りに逢ったけど負ける気はない
お待たせしました!コメントいつもありがとうございます!!
そして、修行編始まって早々ですがもう時期修行編終わります!
どうか生暖かい目で見守って下さいね!!
◇
「……まさか、こうも早く目的を達するとはな」
闇桜で何度か空を試し斬り、やけに手に馴染むし使い勝手の良過ぎる刀だと感心していると今まで蚊帳の外だったグレイスがそう口にする。
しかし、様子がおかしい。口角を吊り上げ、俺を凝視したまま瞬き一つしないグレイスは明らかに異質だ。
そもそもそう言うキャラではなかった筈だ。付き合いが短いから分からないけど。
「どうした?俺の成長が思ったより早くてビックリしたか?」
実際に成長したのは武器だけな気がするが、そこは置いといて俺は飄々な態度を取ってみせる。
「違うな…」
「っ!!気を付けて、レイ!その人―――きゃっ!?」
何かに気付いたのか突然慌てた様子で結果内に入ってこようとしたスエナが謎の力に弾かれて尻もちを突く。
「スエナ!大丈夫か!?」
「―――――貴様の中にあった余計な力が無くなった事でエレキ様降臨の時が満ちたのだ」
「テメェ!!」
スエナに気を取られているうちにグレイスが背後まで迫り、何処からともなく出現して振るわれる黒い剣に対して俺も無我夢中で闇桜を振るう。
鈍い金属音が響き、俺の闇桜とグレイスの持つ黒い剣が鍔迫り合いを起こす。
「どう言うつもりだ…!テメェは味方じゃなかったのか!?」
「最初から味方と名乗ったつもりはないが?我は元よりエレキ様の配下よ」
黒い剣を弾き返し、距離を取る。
あの剣からは得体の知れない力を感じる。
まるで闇そのものの様な力を。
「最終目標は勇者セスタの肉体だが…今は貴様程度が丁度良いとの事。喜べ、貴様は見事エレキ様の器に選ばれたのだ」
両手を仰々しく広げ、とてもグレイスとは思えない程の厭らしい笑みを浮かべて聞き捨てならない言葉を告げるグレイス疑惑の男。
「ハッ!俺がエレキの器だと?馬鹿馬鹿しいぜ、絶対にくれてやるもんか」
そう啖呵をきったのも束の間、ふと俺の体が微動だにしない事に気付いた。
金縛りにも似た感覚だ。何とか動こうと藻掻くが、やはり結果は変わらない。
「あ、れ…?何だ…?体が、動かない…」
『ようやく魂の定着化が始まりおったか。グレイスよ、ご苦労であった』
「エレキ様…勿体無きお言葉です」
目の前の空間が歪んだかと思えばそれは人の形を取り、やがてエレキとなる。
エレキは前と変わらない黒く束ねた髪を靡かせ、しばらく半透明の自身の体を見た後にようやく俺へ顔を向けた。
『レイ。あの時は少々貴様を見くびっておったわ。今にしてみれば、滅びゆくこの体に比べると貴様の体は実に良い』
「何貰える体で話してんだよ。この体はやらねえぞ。体、だけにな!」
「えぇ…しょうもな…」
絶望の表情を浮かべて俺を見上げるアリフェーはこの際置いといて、これ以上好き勝手にされる訳にはいかない。
徐々にエレキの侵食が進み、既に体の操作権は俺とエレキで五分五分と言ったところだ。
一つの体を2人同時に動かそうとしているのだから、そりゃ動かない訳だ。
「そろそろ出ていけよ、魔王!!」
『抵抗しても無駄だ。既に儂の魂の8割が貴様を支配している。もう少し、もう少しでこの現世に再臨する事が出来るのだ…だから、貴様は邪魔をするな!!大人しく、儂に肉体を寄越せ!!勇者ァァァァァァ!!』
「絶ッ対に!!イ・ヤ・だぁぁぁぁぁ!!」
維持と意地の魂のぶつかり合い。
既にエレキの姿は無く、恐らく全てが俺の中へ入ってしまったんだろう。
こうなってしまったら俺はもう体の制御権の奪い合いで勝つしか生き残る術はない。
覚悟を決めろ。一世一代の根比べだ。
奪われれば死。死守に成功すれば生存。
(勝つのは―――――)
「『俺だ!!!!』」
「うぅぅぅゥゥォオオオオオオッ!!負けねえぇぇぇぇぇぇっ!!!!」
『ぐぬおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!無駄なッ足掻きをォォォォォッ!!!!』
俺の中にあった力が全て闇桜に移ってしまった分、前みたいな無尽蔵な力を発揮出来ずに苦戦し、制御権の6割をエレキに奪われてしまう。
そんな最中、俺の握る闇桜に必死で縋り付くアリフェーの姿があった。
「―――――今!!」
ついに力負けして一気に制御権を奪われ始めた時だった。
アリフェーの手が輝き、まるで魚を釣り上げる様に闇桜から何かを引っ張り上げると、同時に6つの光が飛び出した。
光達は飛び出すと間もなく俺の体に入り込み、あれ程苦戦したエレキの魂を俺から難なく引き剥がし、やがて形を成して俺の前に現れる。
「あ、アンタらは…!!」
『よお、大分苦戦してるみたいだな?』
『あとは任せてよ、レイ』
『つえー奴―――しかも魔王と戦えるっつーんで、協力してやんヨ!』
『魔王…雪辱を晴らす機会がこうも訪れようとは…!』
『魂には魂を…ってね。行くよ、ライリー』
『うん。楽しみ』
そのシルエットは間違いなく、かつての敵であり最大の味方、七英雄であった。
約一名足りていないが、そこを指摘するのは無粋と言うものだろう。
何はともあれ、魔王を倒す為に英雄達が再び立ち上がったのだ。
俺は鳥肌を立てて感動するしかなかった。
後書きで何も書くことないからって適当に書くのやめてもらっていいですか??




