闇桜
眠たすぎて何描いたか分かりません!変なとこあったら教えてくださいね!
と言うわけでお待たせしました!!
そして感想ありがとうございます!!と言うかそろそろ感想返ししていきますね!毎度ありがとう!!
◇
グレイスに案内された場所は、先程まで居たグレイス達の家と思われる建築物の裏側に広がる広場だった。
今まで居た広場もそこそこ広かったが、ここのはグレイスがテンペストドラゴンに戻って暴れたとしても余裕がある広さだ。
取り敢えず近くにあったベンチにスエナを寝かせ、グレイスと下へ歩み寄る。
「ここは…」
「見ての通り、広場だ。これからここでお前を徹底的に鍛える」
「鍛えるって言ったって、何するんだ?ただアンタと戦えばいいのか?」
その返事の代わりに、グレイスは右手を横へ突き出す。
すると結界の様な透明の膜が展開され、広場を覆い尽くしてしまった。
「…天星術式«時陣»。結界の内側に存在する全ての時の流れを操る術式だ」
「何だそのチート」
「3日で鍛えると言ったな。実はあれは嘘なのだ」
どこかで聞いたフレーズだ。
しかし、嫌な予感がしてきたぞ。時を操るとか言ってるから、どうせ結界外で数時間経過したらこの結界内では1日経過しているとか言うに決まっている。
「結界外での1時間が結界内では10日になる様に時の流れを変えておいた」
「予想を追い抜いていきやがった!!」
1時間で10日。
24時間経てば240日。
ややこしいが、これを3日も繰り返すと言う事は、俺は720日間ここで修行しなけれぱいけない事になる。
「どうだ?やり甲斐があるだろう」
「あり過ぎだ…」
気が遠くなってきた。何はともあれ、やるしかない。
「これから約2年間。扱いてやるから覚悟しておけ」
「やるぜ…やってやる!!見てろよ、ギャフンと言わせてやるからな!!」
大した休憩もなく、修行が始まる。
―――そして、240日が経過した。
「ぎゃふん!!」
俺は、未だグレイスに勝てずにいた。
「な、何でだ…?何で1本も取れねえんだーー!!」
「子供みたいに騒ぐでない。言ったであろう、付け焼き刃のままでは勝てぬと」
「だからって勝てなさ過ぎだろ!俺はまだ、アンタに傷一つ付けてねえぞ!」
「ああ、全て避けられるからな」
当たり前と言わんばかりに言ってのけるグレイスにぐぅの音も出ない。
それは、俺の攻撃が当たる気配が全く無かったからだ。
俺の換装、勇気、剣術、光。どれを持ってしてもグレイスには効かなかった。
効かなかったと言うか、当たらなかった。
当たれば何かしらしてやれたかもしれないが、当たらないのであれば意味が無い。
「この240日間で貴様の実力は粗方把握した。そろそろ次のステップへ移るとしようか」
「次のステップ…?」
「残りの480日で貴様の付け焼き刃を単一の刃として打ち直してやろう」
「お、おお…!」
「だから―――今一度、貴様の力を見せてみろ」
「ぐぶぉっ!?」
目は離さなかった。なのに、見えなかった。
気付けば目の前に迫る拳に顔面を殴打されていた。
視界が白黒し、為す術なく俺は地面を転がる。
「が、ぁっ…!!とつ、ぜん…何しやがる…!?」
「言ったであろう…力を見せろと。いつまで惚けているつもりだ?今度は我も手は抜かんぞ」
なんて言う圧力だ。クンリにブチ切れていたエレキの比ではない。
這いつくばっている今の状況から立ち上がろうにも圧倒的強者の圧力に押し潰されて四肢に力が入らない。
(…勝てない)
ふと、そんな弱音を吐いてしまう。
セスタランドに行ってから今まで負けた事がなかった分、その反動は大きく俺の心を揺るがしていた。
つえー奴大会で初戦敗退した時もそうだが、俺は敗北を味わった経験が全くない。
だから、悔しかった。
今もそうだ。グレイスに勝てなくて、心底悔しい。
こんなに力が余り余っているのに、力が及ばなかった。
やっぱり勝ちたいと思う。でも現実は到底勝てっこない。
そんなジレンマに苛まれながら、俺はグレイスを見上げる。
「っ…!!!!」
瞬間、俺は初めての恐怖を知った。
俺を見下ろすグレイスの目には、明確な殺意が宿っていた。
初めて向けられた殺意に、心臓がキュッとなる。
体は最早自分のものか分からなくなる程、硬直し、頭はボーッとする。
呼吸も荒くなり、焦点はやがて定まらなくなる。
怖い。怖い。怖い。
思考が止まる。
「こ、殺されっ…」
敗北を知った弾みでタガが外れ、止まらなくなった負の連鎖に飲まれ、俺の心は深い、深い暗闇に沈んでいく。
「レ、イ……?」
「ぇ……?」
その時だった。深い闇に光が射したのは。
背後からの声に、恐る恐る振り返ると結界の外にあるベンチで眠っていた筈のスエナが目覚め、結界越しに俺を心配そうに見ていた。
その姿に、俺は村を飛び出した時以来の涙を流した。溢れ出す大粒の涙が次々と頬を滴り、手元の黒桜にポツリと落ちては染み込んでいく。
「スエ、ナ……?俺が、分かる…のか……?」
「…うん、分かるよ。髪…赤く染めた?似合ってる、よ…?」
「スエナこそ…白い髪、似合ってるぞ…」
見つめ合った分だけ、永く忘れていた感情を、俺の堕ちた心を呼び覚ましてくれる。
負の感情と言うだけで消してしまっていたものがあった。
それは、胸が苦しくなる程の愛だ。
心を苦しめるからと、俺は黒桜に甘えてそれすらも忘れさせてもらっていた。
人を愛し、尊いと思えるからこそ、人は強くなれる。
村長が寝言で言っていた言葉がこんなところで活躍するとは思わなかったが、俺はその言葉に背中を押される様にして立ち上がり、黒桜を天高く掲げた。
「見ててくれ、スエナ。そこからじゃ退屈だとは思うけど、俺は強くなってみせるから」
「うん…分かった。見てるよ……だけど、その前にこれを受け取って」
スエナが前方の空間を砕き、穴を開けるとそこから剣が飛来し、俺の足下に突き刺さった。
それはどこかで見覚えのある剣だった。
…よく見れば剣の柄に誰かが座っているではないか。
「あ、やっと見えた?本当、面倒臭いよね、君」
「な、何をぅ…!」
突然失礼な事を言う手の平サイズの小さな女の子に少し青筋を浮かべる。
怒る時は怒るぞ。
「私はアリフェー。勇者のサポート妖精だよ。よろしく」
「あまりよろしくしたくはないけど、よろしく…って言うか何だよこれ?」
「これ?勇者の抜剣だけど」
「…あぁ!?言われてみればこれ村に刺さってたやつだ!!」
昔に抜こうとした事があった。抜けなかったけど。
それが今更俺に何の用と言うのか。
「そう。思い出した?じゃあ、抜いてみて」
「いや、俺抜けなかったし、そもそも今抜けてた奴が刺さったんだから簡単に抜けるくないか…?」
「いいからやるっ」
「分かった…あんま期待すんなよ?」
そうして、俺が剣に触れるや否や、剣はその場に居る者の視界を光で遮った。ついでに俺も光り輝く。
光に目が慣れ始めた頃、俺の体から色々なものが飛び出した。
赤、青、黄、茶、緑、紫、金、白。
それらは俺の力の塊だった。
「…あれ」
今まであった黒桜の感触が消えたから確認してみれば、そこには何も無く、代わりに黒の塊が同じ様に宙へ浮かび上がる。
そして、そのまま力の塊達は俺が握る勇者の抜剣へと飛び込んで消えていく。
刹那、再び勇者の抜剣が光り輝いた。
何度も光るな。目に優しくないって訴えられるぞ。
「―――――完成したよ」
「…っ!?これ、は……!!」
『おう!«闇桜»だ!よろしくな!』
「闇桜!!あんだけカラフルな色が飛び込んで結局黒かよ!!」
出来上がったものは、全ての力を統合して出来上がった闇桜なる黒桜より黒い漆黒のキメラ刀であった。
人生とはいつもいきなり超展開の連続よ




