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迷子の村人は方向音痴を駆使して家に帰りたい!  作者: 風来坊ムラサマ
帰路から逸れて
36/50

懐かしの幼馴染が超越者になってました

またもやお待たせしました!

今回もあまり進展はないですがどうかお召し上がりください!!



お互い自己紹介を交えながら神黎山の山頂を目指すこと数時間。

リリネシアの案内もあって魔物と遭遇することなく順調に進み、あと半日もすれば頂上に着くと言う朗報を聞いて喜んでいた時だった。

背後―――それも少し離れたところから迫る音が気になり、振り返る。

目を凝らしてようやく確認出来たのは明らかに異様な馬っぽい生き物が馬車を引いて走っている姿だった。


「あの馬車どっかで見覚えあるなー…」


「あれは…空守の里によく来てた運び屋の馬車でしょうか?」


「ああ、それだな。俺もあれ乗った事ある」


「馬車じゃと?この過酷な山を馬車で登る命知らずがおるのか?」


「結構急な筈なのだが…」


各々が感想を述べているうちにいつの間に来たのか、俺達の前に急ブレーキで止まる赤い馬が引く馬車の姿。

その馬の手綱を握るのがやはり見覚えのある茶髪の青年。


「スエナさん!到着しましたよ!本当にここまででいいんですか?」


その青年の言葉を聞いた瞬間、俺以外の時が止まってしまった。

いや。そう錯覚する程に、俺の思考が追い付いていなかった。

スエナ。その名を聞けば思い浮かぶのは幼馴染の姿。

俺と同じ黒髪で、クンリ達に比べればスタイルは劣るが、それでもあどけない笑顔が素敵な彼女の姿だ。

心臓がドキドキして止まない。

開いた目が瞬きを許さない。

今にも駆け出して確認したい衝動があるのに足が動かない。

こんなところに彼女が来るわけないのに、どうしても期待してしまう自分がいる。

あの日、最後に見た勇者(セスタ)と交わっている姿がフラッシュバックするが、裏切られたとかそう言うのは無しで再会を喜びたいと強く想う。

そして、スエナと呼ばれた人物は姿を見せた。


「はい、大丈夫です。本当に助かりました!お陰で―――――」


「ス、エナ……?」


間違いなかった。髪の色は真っ白に変わってしまっているが、それでも見間違える筈もない―――――彼女(スエナ)だ。

一言で表せばさすらいの旅人を連想させる衣服に身を包んだスエナは同じく俺と目が合うと、まるで石になったかの様に固まってしまった。


「ぁ…………」


「知り合い、ですか?」


「…ああ。彼女は、俺の幼馴染のスエナ―――――」


「…ぅェレキィィィィィィィィッ!!!!」


ドンッ!と言う振動が足下を襲うと同時に、スエナが見た事がないくらい取り乱して俺目掛けて飛び掛かって来る。

エレキと言ったか?この俺が?どうして?

そんな思考はどうでもいい。今はスエナを落ち着かせなくては。


「どうしたんだよスエナ!?俺だ、幼馴染のレイだよ!」


「よくも、よくも!!お前のせいで、レイは、世界は!!おかしくなってしまったんだっ!!!!」


「ぐぅぅ…おおおっ!?なんつー、力だ…!!」


割れた空間から取り出された黒い大剣による振り下ろしを光の盾で間一髪受け止める。

しかし、華奢な体のどこからそんな力が出ているのか、今にも押し潰されてしまいそうだ。


「本当に、分からないのか…?生まれてからずっと、一緒だったじゃねえか…!」


「返して…!!レイを返して!!あの日常を、返してよ!!!!」


おかしい。会話が成り立たない。

まるで俺の声が聞こえていないみたいだ。

まさか本当に俺がエレキに見えていて、そう言う幻覚を見せられているのだとしたら?

幻覚を見せている幻術師か何かが近くに居る筈だ。

そう思って、目に入ったのは運び屋の青年だった。


「テメェ…か…?スエナに幻覚見せてんのは…?」


「えぇっ!?久し振りに再会したかと思えばとばっちりですか!?」


あの反応を見る限り違うらしい。

そう言う器ではなかったな。ごめんよ、名も知らぬ運び屋。


「くそっ!!だったらどうしてこんな…!」


「レイ!詳しくは知らぬがそやつが本当にお主の幼馴染なんじゃったら、マズイ事になっておる!ヴェクトリッヒ生まれで白い髪…スエナとやらは、超越者として覚醒しとるんじゃ!!」


「ナニィ!?そ、それを聞いて俺はどうしたらいいんじゃ!?」


とんでもない力に圧され、光の盾にも亀裂が入り始める。このままでは長くは持たないだろう。

随分見ない間にここまで強くなっていたのか、スエナは。


「真似するでない!い、いや!そんな事はよいのじゃ!思い出したんじゃが、父上は超越者についてこうも言っておった!」


『超越者に目醒めたての者は、勇者不在をキッカケに同じく目醒めた超越者の遺伝子によって弄ばれ、破滅の道を歩ませられる』


「そうじゃそうじゃ!こんな風に……って、父上ぇぇぇぇ!?」


『全く…あれ程勝手に会いに行くなと忠告しておいた筈なのだが?リリネシアよ』


「な、なははー…!これにはふかーい訳があってのぉ、ちちうえぇ…」


俺達の頭上を覆う影。

見上げれば青い鱗のドラゴン―――テンペストドラゴンが大いなる翼を広げて滞空していた。

でけぇ。

きつね

ねこ

こあら

らいおん

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― 新着の感想 ―
[良い点]  まさかの展開!  スエナがレイをエレキと認識している?  感動の再会どころかいきなりの斬りかかり。  どうなっちゃうんでしょう?  更新ありがとうございました。
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