古の物語と竜人族
出来れば日付が変わる前に投稿したかった…!
感想ありがとうございます!今日もやる気が燃えるぜ!
と言うわけでお待たせしました!どうぞお召し上がりください!
◇
「テンペストドラゴンの…娘って言ったか今!?」
「おふこーす」
黒い手袋を着けた手でサムズアップしてくる陽気なリリネシアに吃驚仰天な俺。
本当にあのテンペストドラゴンの娘なんだろうか。ドラゴンの娘と言う割にはドラゴン要素より人間要素の方が濃い気がするんだけど。
もしかしてドラゴンと人の子供…?
「確か、テンペストドラゴンは元々は別次元の存在で、昔何かの弾みでこの世界に現れたとかそう言う感じだった気が……そうそう、竜神族でしたっけ?人化の術が使えるとか…」
「お?中々博識じゃの、お主!その通りじゃ。父上は竜神族の長にしてこの世界唯一のドラゴンだったのじゃ」
「だった…?」
「今ではドラゴンなど珍しくもなかろ?探せばそこらに居る筈じゃ」
そんな物騒な世界だったのか、ここ。
でも確かに御伽噺でもドラゴンの存在は仄めかされていたし、案外身近なところに居たりするのかもしれない。
「私も何度か目にした事があるが…何故ドラゴンは増えたのだ?」
今まで沈黙に徹していたキリエが疑問を問う。
「お主達は超越者と言う者を知っておるかの?」
俺とキリエは首を横に振るう。クンリは何かしら思い当たる節がある様子だが、この場は何も言わずに口を噤んでいた。
その姿を一瞥したリリネシアは概ね知らないのだと判断し、続ける。
「…超越者とは、各時代において1人しか存在しない、反則の塊の様な存在なのじゃ。勇者が行動不能、もしくは存在を確認出来ないと世間に判断された場合のみに姿を現し、超常の力を振るうと言われとる…その力こそが―――――次元を超える力」
「次元を…超えるだって?」
「逆に別次元の存在をこちらに超えさせる事も出来る…この意味、分かるじゃろ?」
「…もしかして、その超越者とやらが別の竜神族を呼び出したってのか?」
「うむうむ!理解が早くて助かるわい!」
ドラゴンもとい竜神族がこの世界に複数存在している理由は分かった。
だが、何故その超越者は竜神族をこの世界に呼び出したのか。
当時の超越者は一体何をしようとしたのか。
新たな謎に頭を抱えようとした時、リリネシア先生による答え合わせ的なものが始まった。
「当時、多くの竜神族をこの世界に招いた超越者はそれはそれは悪い奴での。竜神族を使って、世界を征服せんとしたのじゃよ。当然、竜神族とは言え人と何ら変わらぬ心を持っておる…悪い竜神族と言うのも、少なからず存在しておった…」
「邪悪な者によって統率された悪しきドラゴン達による世界の崩壊…それが勇者誕生以前に起きた黒き歴史…」
補足する様に言ったクンリを見て深く頷くと、リリネシアは肯定の言葉を口にする。
「そうじゃ。幸い、その超越者と悪の竜神族は1人の男によって討たれたから良かったものの、超越者が消えて元の次元へと帰れんくなった竜神族はこの世界の各地へ散ってしまったとか」
「御伽噺の悪いドラゴンを討つ英雄の話はこれがモチーフだったのか…」
「ちなみにじゃが、竜神族に寿命はなく、古の時代から生きている者達がまだこの世界に残っておるかもしれぬ。命を断たれとらなければ、じゃがの」
勇者セスタの時代からテンペストドラゴンが生きているのは寿命がないからだったのか。
だが、聞く限りでは不死ではないらしい。病や何者かに殺される事でようやく死ぬと言う認識で大丈夫だろうか。
「それで?聞く限り、超越者は各々の時代に現れたんだろ?大丈夫だったのか?」
「その後は勇者の存在もあったからの。そもそもお主が生まれたヴェクトリッヒと言う村は超越者の血筋の者が暴走してしまわぬ様に管理する為に作られたのじゃと父上から聞かされた覚えがあるのじゃ」
「って事は俺の知ってる誰かが超越者って事か!?」
「うーむ?どうじゃろう?お主が勇者である以上、超越者は現れん筈じゃし、そもそも超越者の力を持つ者は白髪と聞くんじゃが、見覚えはないかの?」
「村の爺ちゃん婆ちゃんの白髪がそうじゃないってんなら居なかったな」
「ならば大丈夫じゃろう!取り越し苦労じゃな!」
少なくとも若い人に白髪は居なかった。
だがまあ、リリネシアの話の通りであれば、俺は一時的に世界とは切り離された場所に居た。
あの大穴での5年の間に、勇者の存在が認識されていなかったとしたら、もしかすると村の誰かが超越者として目覚めている可能性は無いとは言い切れない。
そもそも世間的には勇者は俺ではなくエレキと言う事になっているから勇者自体の存在は認識されているし、大丈夫だろう。
世界が、そう単純であるならばの話だが。
「ところでリリネシアさんはいつからこの世界に居るんですか?」
「ぬっふっふっ…何を隠そう、妾は父上がこの世界の人間の女性と愛し合った結果生まれた竜神族と人間のハーフ、謂わば竜人族なのじゃ!つまりこの世界出身!今年で231歳!まだまだ赤ん坊じゃ!ぴーすぴーーす!」
「ぅえええええええっ!?」
衝撃の事実。爆弾しか落とさないリリネシアに脅威を抱きながら、今日も俺は驚きを隠せないのだった。
鉛筆の芯を全ての関節から生やす事が出来る旧世代の人間。




