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迷子の村人は方向音痴を駆使して家に帰りたい!  作者: 風来坊ムラサマ
このままでは帰れない
32/50

光炸裂!地上を目指せ!

大変お待たせしました!感想もありがとうございます!

実はこれ、スマホから投稿しているんですけど先日通信制限が掛かっちゃって嘆いてました!(と言う名の言い訳)



「―――お前に選択肢をやる!」


「何…?」


訝しげにするシグレアンの前に立ち止まり、ビシッと指を差す。


「殴られるか蹴られるかの2択だ。さあ選べ!」


「…どっちも嫌だって言ったら?」


「そいつは残念…斬らせてもらうぜ」


「斬る?剣も持ってないのにか?ハハハッ!笑える冗談だな!」


随分と余裕を持っているシグレアンに多少警戒しつつも、俺は指を差した方の手を横へ向け、パーを作る。


「―――――来い、黒桜」


その言葉と共に、突然現れた黒桜を落とさない様に握り締める。

切っ先をシグレアンへ向けると、シグレアンは驚いた様子で目をギョッと見開いた。


「い、今どこから出した!?」


「どっからでもいいだろ?知っても意味無いんだからさ」


よく見ると、黒桜の形状が変化している。

以前は両刃剣だったが、今は刀と呼ばれる片刃の剣へとなってしまった。

しかし、こっちの方が俺の抜剣術もとい抜刀術には合っているのかもしれない。

黒龍が俺の戦闘スタイルに合わせてくれたんだろう。


「それより、準備はもう出来たのか?」


「準備だって?何の準備をするって言うのさ?」


「―――――斬られる準備だ。言った筈だぜ、斬らせてもらうってな」


「いつの間に…!?」


たったひと踏みでシグレアンの間合いに入った俺は勢いに任せて黒桜で斬り上げる。

それを後方へ飛び退く事でシグレアンは事なきを得たが、俺が黒桜を振るった事で生じた風に巻き上げられて逃げ場の無い空中へ舞う。


「黒桜剣流・(あお)の太刀«絶海剣(ぜっかいけん)»」


高く振り被った黒桜で縦に一閃。

次の瞬間、津波の如く斬撃が宙で身動きの出来ないシグレアンを切り刻む。

そして、ここで終わらせる俺ではない。


「«紅穿光刃(べにせんこうじん)»」


黒桜の切っ先に収束した光が紅く輝き、極太レーザーとなって放たれる。

空魔戦やユリウス戦の時にも見られたあの光だ。

今まで俺は怒りをトリガーに光を放出していたが、黒桜もしくは黒龍と融合した事でその光を無条件に扱える様になった。


「悪い、言葉を間違えたな。これじゃあ斬ったうちに入んないよな」


しかし、その言葉は届かない。

黒焦げになったシグレアンが白目を向いて意識を失い、地に落ちたからだ。


「死にました?」


「安心しろ、峰打ちだ!」


極太レーザーに峰打ちもクソもないと思うが、威力は最小まで抑えておいたから死んではいないと思う。

それにしても随分と手こずらされたもんだ。黒桜さえあればこんな奴苦戦しなかったのにな。

何はともあれ今の俺なら素手でも相当強い筈だ。自信を持とう。


「キリエの奴はどうしてるかな…っと、心配するまでもなかったか」


「遊びは終わりだ!«悪即(あくそく)斬天(ざんてん)翔破(しょうは)葬竜(そうりん)魔壊撃(まかいげき)»!!」


「ねーみんぐせんすぅやばりりぁああぁあああぁああああ!!?」


合計4本の剣による巧みな超高速剣技によりズタズタにされて倒れるセヌゥーラを見て不覚にも哀れみを感じてしまう。

それに俺も人の事言えないけど凄い技名だった。技自体も壮絶だったが。

2本しかない腕で4本の剣を素早く抜刀・斬撃・納刀を繰り返し敵を切り刻む…何故以前は聖女の職業をしていたのか不思議なくらいだ。


「ごちそうさまでした」


「…それ使い方あってる?」


少し悩んだがやっぱり間違った使い方だと思った俺は自信なさげにツッコミを入れる。


「うむ?おお、勇者レイ!既に勝敗は決していたか」


「その勇者レイってのは止めてくれ。レイでいいよ、普通に」


「そうか…ならレイ。(せわ)しくしてすまないがここを出よう。このままでは監獄長«墓朧弚(ぼるで) ギオン»が来てしまって少々厄介になる」


「それもそうだな。クンリ、操陣術カモン!」


「任されました」


指を鳴らすとクンリが敬礼をし、陣を生成して飛び乗る。続いてキリエも飛び乗り、俺も飛び乗る。

飛び乗り3人組レッツゴー!


「丁度レイが撃った光のお陰で地上までひとっ飛び出来ますよ」


「おっ!マジだ!通りで明るい訳だ!」


「では行こう」


ぐんぐんと上昇するこの飛行を可能とした陣、名付けて«飛行陣»はよく見ると白い陣だ。

確か白い陣には加速の効果があった筈。

物は試しと言うし、陣に軽く触れてみるとあらま不思議。陣の上昇する速度が段違いに跳ね上がった。

加速するこの陣を«加速陣»と名付けよう。加速陣と飛行陣を合わせて«加速飛行陣»。

うーん、このネーミングセンス。抜群だな。


「な、何をしたんだレイ!?」


「もっと速くならないかなって…ちょ、ちょっと速くなり過ぎたか?」


「性懲りも無く陣に触れて…また落ちても知りませんよ?」


「別に何ともないんだからいいじゃねえか。それよりホラ!地上の光が見えてきたぞ!」


大きく開いた穴から地上への脱出を果たすと、光とは無縁の場所にいた俺達の視界を光が遮る。

くぅ〜!シャバの空気は最高だぜ!


「眩しい…!けどやっぱ外の空気は良いな!」


「そうですね。…それにしても、何で私達は投獄されてたんですかね?」


「―――それは貴様達が高級ホテルに勝手に寝泊まりしていた挙句金すら払わず逃げ出したからぶぇあっ!!?」


「今誰か居ました?」


「さ、さあな?」


危ない危ない。突然フルアーマーの雷神が如くおっさんが飛び掛かって来たから殴り倒してしまった。

風格や殴り心地からして今のは多分監獄長だろう。察するに俺達が脱獄するであろう事を見越して地上で待ち伏せしていたか。

俺がパワーアップしてなければ痛い所を突けただろうに。

ご愁傷様です。


「…そう言えばキリエはどうして駆け付けてくれたんだ?」


「あ、それは私も気になってました。平和の為だとか言ってましたけど、それだけじゃないですよね?」


「うむ。さっきは説明してる暇が無かったから話さなかったが…実はつえー奴大会に参加したあの日、私は惜しくも準決勝で敗退してしまってな。悔しながらも己の無力さ故と悟った私はエレボスから見える吹雪く山々に籠り、修行を始めたんだ。そこで、彼に会った」


「彼、ですか?」


「そう、あの天変地異さえ起こすと言い伝えのあるテンペストドラゴンだ」


ビキニアーマーとか言い出さないでよかった。少し心構えしていたから何故か裏切られた様な気分だけど。

それより、テンペストドラゴンか。懐かしいな。


「確か…天と地を統べる星龍、だっけか」


「ほう、そこまで知っているのか」


「俺が村を飛び出して最初にあった奴だしな」


「どんな破天荒な旅立ちなんですか…」


思えばよくあそこまで辿り着けたもんだ。方向音痴が幸いしたのか、お陰で黒桜とも出会えた。

テンペストドラゴンの背にも乗らせてもらったし、空守の里でクンリとも出会えた。

山を越えた先ではキリエに助けられたりもしたし、エレキから七英雄まで、多くの人とも出会い、成長して来た。

一村人だった俺が、勇者となり今では打倒魔王を掲げている。

…感慨深いものがあるな。


「…話は続くのだが、その出会いが今から3日前の話になる。テンペストドラゴンは、真の勇者がレイである事、そして魔王の復活が近い事を私に伝えると、神黎山(しんれいざん)の頂きにて待つと言い残して飛び立ってしまった。それから私は君達を探して元宿屋に辿り着いたところで地面で置き去りになった黒桜を拾い、今に至ると言う訳だ」


「そうだったのか…ところで神黎山って何処だ?」


「流石チリニウトイ・ザ・ナンバーワンなだけありますね。神黎山はあれ―――――雲を突き抜けた山の事です」


「血反吐が出る高さだなおい」


クンリが指差した先にある本当に雲を突き抜けた山、神黎山。

遠くから見ても分かるその巨大な姿に、俺はとてつもなく嘆いた。

次に向かうべき場所は概ね決まった。

だけど行きたくない。山登りはしんどいし迷いそうだし嫌だ。

今から勇者辞退してもいいかな?


「勿論、行きますよね?」


「当然だろう。レイは勇者だからな」


期待の眼差しと言う名の圧力に気圧され、俺は縮こまって一言。


「はぃ…」


そう、か細く鳴くのだ。

最近RAVEを読んでたら懐かしくなって、フェアリーテイルを再度観始めたんですよ。そしたらエルザが出て来て、戦って、鎧と剣を切り替えて…そこでふと(何も考えずにレイの換装描いてたけどこれって割とガッツリとエルザの換装のパクリなのでは…?)ってなりました。

これはセーフか?アウトか?ヨヨイのヨイ。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  更新お待ちしてました。  テンペストドラゴンって、最初の頃のエピソードですよね。ちゃんと後から出てくれて、何となくうれしいです。  換装もちろんセーフですよ。普遍的な展開です。おもしろ…
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