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迷子の村人は方向音痴を駆使して家に帰りたい!  作者: 風来坊ムラサマ
このままでは帰れない
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ついに光を操れる日がやって来た!

キリエのこと、覚えてくれてましたか!!?

これからどんどん仲間が増えていくと思うのでどんな仲間が出来るか予想したりして楽しみにしておいて下さいね!

そして感想ありがとぅぅぅ!!感謝感激です!!

今回からレイに大幅強化入りまーす!!

なんか監獄編入ってからクンリが大変そう…



「…動きませんね」


「…もしかして死んだか?」


「まっさかー…」


黒桜に刺し抜かれたまま動かなくなったレイを心配そうに見つめる私とキリエ。

そして何故か看守達も警戒してか、距離を保ったまま動こうとしません。


「―――おいおい、まさかの助っ人に殺された訳じゃないだろうな?」


看守達を掻き分ける様にして白コートの男が飄々とした態度で現れました。

こいつが、レイを暴走させた張本人に違いないでしょうね。


「そんな怖い顔すんなって。ほら、俺が殺したんじゃないし」


「でもこんな惨劇を生み出したのはアナタでしょう?」


「んー、半分正解」


少しおどけて見せると白コートは私を指差します。


「でももう半分はお前のせいでもある」


「はぁ?そこでどうして私のせいになるんですか?」


「だって、そんなエロい体してるからついつい俺達も盛り上がっちゃった訳だし?」


そう言われて今自分がどんな状態であるか気が付きました。

妙に手首が痛いと思えばこの私を吊り下げている鎖のせいでしたか。

何か言い返してやろうと思った矢先、今まで黙っていたキリエが前に出ました。


「確かにエロいのは認めるが…これは君達に見せる為のモノではない」


マントを外し、私の体を隠す様に被せてくれるキリエに並ならぬ逞しさを感じました。

しかし、自分で言うのもなんですが、全裸マントは刺さる人には刺さるのではないでしょうか。

そんな風に私が考えているとはいざ知らず、キリエは一振りの剣を抜き、高く掲げました。


「彼を―――――勇者レイを魅せる為のモノだ!」


「ちちち、違いますぅ!!」


急に何を言っているんですかこの人は。

私の知っているキリエはここで「ビキニアーマーの為のモノだ!」と言う筈です。

決して、私の体は、レイに見せるものでは、ない……ハズ。

実際どうなんでしょう。レイは私の体に反応してくれているんでしょうか。


「って何考えてるんですか私っ…!と、とにかくそんなんじゃありませんよ!」


「なんだ?違ったか?」


「違わな…違います!!」


「ハハハ!まだまだ若いな!」


精神年齢ではアナタより遥かに生きているんですが!


「ちょっと待て。今、勇者って言ったか?この男がか?」


「そう言ったぞ。さては君は世間知らずだな?」


世間知らずと言いますか、一般的に現在の勇者はエレキと言う事になっています。

ましてやこんな監獄に籠っているのであれば知らなくて当然でしょうね。


「ハッ!ありえないって。こんな弱っちい奴が勇者なら俺だって勇者になれる自信が湧いてきちゃうね」


「口が過ぎるぞ白いの」


「シグレアンって呼んでくれよ。どいつもこいつも白いのだの白コートだの…ああ、いや。こんなのはどうだっていい。話を戻すが、口が過ぎるって言うならアイツのあのザマはなんだ?負けて、キレて暴れて、仲間にトドメ刺されちゃったんだぜ?」


「彼は死んだのではなく、次のステップへ進もうとしているだけだ」


「何を根拠にそんな事が言えるんだ?」


「見てみろ」


キリエに促されるまま、この場に居る皆の視線はレイへと向きました。

そこには、ドロドロに溶け始めた黒桜に呑み込まれていくレイの姿がありました。

一見やばそうなんですが、放っておいて大丈夫なんでしょうか?


「な、なんだよアレ?一体アイツに、何が起こってるんだ…!?」


「分からないか?彼はまた、成長しようとしているんだ。これが終われば、これまでとは比べ物にならないくらい強くなってしまうだろうな」


小声で「多分」と言ったのを私は聞き逃しません。

根拠の無い成長を見届けるのはこれ程までに怖いものなんですね。


「チッ…そうなると困っちまうな。今のうちに本当に殺ってしまうか」


「させるとでも?」


「ああ、出来るさ。これだけ人数が居りゃ、誰かがアイツを殺せる」


「ならば私が食い止めて見せよう。勇者の仲間として、ビキニアーマーの使徒として!」


「――――なら、私も手伝いましょう」


操陣術で鎖を断ち切り、解放された私は手首の安否を確認してからキリエの隣に立ち並びました。

レイは私を守ってくれた。ならば今度は私がレイを守る番です。

これだけの数を相手にするのだから、それ程長くは持たないでしょう。

だからそれまでにどうか間に合って下さい、レイ。


「さて、初コンビだが…勿論行けるな?」


「そちらこそ、足を引っ張らないで下さいよ?」


「その意気や良し!ではこうしよう。より多くの敵を倒した方がレイと添い寝出来ると言うのはどうかな?」


「勝ちました!」


「うーん。勝利宣言と来たか…これは流石に敵わないな」


お互い軽口を叩きつつ、レイの傍に歩み寄って防衛ラインを築きます。

勝つのは私です。勝ってレイと…むふふ。


「さて!いっちょやりますか!」


「悪いけど、彼には触れさせないぞ」


「相手はたった2人だ。別に女も殺してもいいが…男は最優先だ、いいな?」


看守達が闘志を奮い立たせ、得物を振り翳して私達を囲みました。


「処刑開始」


「«エクスプロード»」


シグレアンとやらの合図と共に大爆発を起こす魔法、エクスプロードを放ちました。先手必勝です。

看守達が吹き飛んで巻き上げられる光景を目に、次の魔法を発動させます。


「«アイスベルグ»」


氷山の様な氷が地面から突き上げ、又もや看守達を吹き飛ばし、続けて魔法を放ちます。


「«エンド・スターライト»」


まるで星の如く輝きは宙を埋め尽くし、連鎖爆発を引き起こします。

尚、看守達は吹き飛びます。

一方、キリエは二振りの剣を手に看守の群れへと突撃し、次々と看守達を斬り伏せていきました。

靡く銀の髪とまるで舞いの様な剣舞が合わさって美しく、思わず見惚れそうになるところでした。

そんな様子を見ていたシグレアンが溜め息を吐いて鈴を鳴らします。


「はぁ…こいつらだけは呼びたくなかったんだけど」


「呼んだかドン!」


「フゥーッ!!フゥーッ!!おでのごと、バカにするる奴ァ八つ裂きゃにシテクルルァーッ!!!!」


「この鉄壁の«モレア»までもお呼びとはよっぽどの戦いが待っているとみた」


「ころ、がる。ぼく、ころ、がるよ」


現れる4体のデカ男達。

2人はドンとセヌゥーラでしたか。残りの2人は知らない顔ですね。


「ドン・ドカオン、セヌゥーラ、モレア、ルグビントン…グレートジェイル四天王の力を見せてやれ」


グレートジェイル四天王。まさか魔王戦以外で四天王が出て来るとは思いもしませんでした。

ですが、真っ向勝負なら負ける気がしません。私の持てる全ての力で凌駕してみましょう。


「二手に別れるドン!ドンはあの剣士をやっつけるドン!セヌゥーラ、着いてくるドン!」


「おで、オデで、オデニ指図するナゥーるつァ」


「ならば私共はあの痴女を裁くとしよう」


「ころろ、ころが、るるるるこ!」


わざわざ二手に別れてくれるとは僥倖です。パパっと終わらせてやりましょう。

やはり、ここは先手必勝でしょうか。魔法を幾つか発動し、近付いてきたタイミングで仕掛けましょう。


「ごきけんよう、私はモレア――――」


「«グランドスピア»」


地面から突き出る鋭利な岩がモレアのお腹に目掛けて突き出しました。

しかし、その岩はモレアのお腹に当たると同時に砕け散ってしまいます。

鉄壁のモレアと言うだけあってその硬さは凄まじいですね。


「なら!«エクスプロード»!」


「何かしたかね」


先程の爆発魔法でモレアを爆撃するも、まさかの無傷。

ここまで効かないとは思いませんでした。


「まだこれからです!«インパルス」


「ころがりんころがりんりんこーろりんころりーん!!」


「キャッ!?」


モレアばかりに集中してしまってもう1人の存在を忘れていた私は突然転がってきた丸い体型の大男にのしかかられてしまいました。


「う、うぅっ…!おも、たい…うご、けない…です…っ!!」


「うぅむ?ころろ?ころが、り?ころが、ころりりが?」


「な、なん…です…?」


「どうやら、ルグビントンはその体が気に入ったみたいだ」


「ぇ…?」


「苗床として使ってもらえるぞ」


背筋がゾッとするのを感じました。

慌ててどかそうとしますが、相手はセヌゥーラに負けず劣らずの巨体。

華奢な私の力ではどうにも出来ません。


「いや、こんな…ぐぅっ…!こんな、人に……うぐぐぐぅっ…!」


「ころ」


「ぅ、へ…?なに、こ、れ…?」


不意に、お腹に何か硬い物がめり込みました。苦しいくらいに鳩尾辺りを押し上げてきて、思わず呻き声が漏れてしまう程です。


「始まったな、求愛行動が」


「…まさか、これは」


「そのまさかだ」


「いや、いやぁ…!!」


思わぬピンチに力の限り抵抗しますが、やはりビクとも動きません。

助けて、そう願った瞬間でした。

光が、この空間を照らしました。





目が覚める。

何も見えない程の暗い空間で、俺は1人浮いていた。

何処かで見た事があるような…そうだ。あの大穴の時と同じなんだ。

不意に、光が灯った。


「俺が光ってるのか…?」


『否。貴様の魂が光っているのだ』


「その声、黒龍か?」


『うむ。一つとなった今、我は貴様とどの様な状態でも会話が可能となった』


「消える訳じゃないんだな…良かった」


『我はこれからも貴様の中に居る。力を貸して欲しければいつでも我を呼ふがいい』


「そうさせてもらうよ。…で、俺はこれからどうすればいいんだ?」


『思うままに力を解放しろ。今の貴様は蛹同然。まずはこの殻を破るのだ』


「分かった」


言われたまま、俺は力を解放する。

それは勇気や換装を使う時の様な感覚で行い、何処かで、何かがパキッと割れる音がした。


「もっとだ」


胸に手を当て、己の光を解き放つ。

その光はみるみる暗闇を埋め尽くし、ありとあらゆる闇を照らし続ける。

これが、本来の俺の力。光を操る力だ。

手を翳し、力任せに凪ぐ。すると空間はあっと言う間に瓦解し、ようやく外の世界に出られた。


「クンリは何処だ?」


まず最初に俺はクンリを探した…が、あまりにも暗いので、光の球を頭上に飛ばして発光させる。

至る所に戦いの痕跡が見られ、最初に俺の目に入ったのはセヌゥーラとドンを相手に防戦一方になっているビキニアーマーの使徒・キリエだった。

なんでここに居るんだ、と思いつつ俺は拳・大程の光を生み出し、取り敢えずドン目掛けて放った。

誰も捉え切れなかっただろうその光は、ドンを一撃で昏倒させる。

これは対象の何かを奪う光。名付けて«テルクアレイ»だ。

名前の由来はテイクアウェイから文字った、以上!

セヌゥーラくらいなら何とか倒せるだろう。キリエが苦戦していたのは刃を通さないドンの贅肉に対してだったみたいだし。

それにしてもクンリは一体何処に居るんだ。見渡しても見つからない。


「ぁぐっ!」


「―――――そこか」


僅かにだが、クンリの呻き声が聞こえた。

視線を走らせ、その位置を探る―――居た。

丸い奴に押し潰されている。


「退けよ、ピンポン玉が」


「ごぼぉっ!?!?」


発見と同時に丸い奴を蹴り飛ばし、天井を突き抜けていく様を背に俺は仰向けに倒れるクンリを抱き起こした。


「大丈夫か、クンリ」


「な、なんとか…うぅ、グスッ…も、もう少しで危ないところでした…!」


「そんな格好してるからだぞ。裸マントなんて…ありがたき幸せ」


「…レイ、なんか変態になりました?」


「失礼な。そう言う余裕が出来ただけだよ」


テルクアレイを生成し、背後に迫る頑丈そうな巨漢に飛ばしつつ俺はクンリを立ち上がらせる。


「何はともあれ、無事で良かった」


「それは私の台詞ですよ」


「え?いやいや、俺の台詞だろ。もう少しでお前、強姦されるところだったんだぞ」


「それなら今もされかけてましたが」


「は?やっぱさっきのピンポン玉消しとくべきだったか…?」


「急に過激派になりましたね…」


ふふん、今の俺は強気だぜ。

力に溺れるとは正にこの事だろう。今なら何でも出来そうな気がする。


「つーかなんでビキニアーマー狂が居るんだ?」


「ビキニアーマー狂…ああ、キリエですか。勇者の助けになるとか何とかで駆け付けてくれたんですよ。アナタに黒桜を届けたのも彼女ですよ」


「そうだったのか!だったらちゃんとビキニ…キリエに礼言わないとな」


「そうですね。ですがその前に!」


「ああ…シグレアンの野郎をぶっ飛ばしてここを脱出する」


俺は探すまでもなく、わざわざ見える位置まで移動して来てくれたシグレアンを横目に、そう宣言した。

既にシグレアンに対する負の感情はないが、それでもこいつがした事は許されない。

懲らしめなくては気が済まないので、取り敢えずボコボコにする事にした俺はゆっくり、シグレアンへと歩みを進めるのであった。

スリッパスキッパスソッパヌリッバヌワッパヌソワッソ

この中にニュートンが居ます。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  裸マント…… ときめきトゥナイト…… いかん、何かを思い出しそうになりました。  更新ありがとうございます。  パワーアップ楽しみにしています!
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