黒き龍との契約
前回は申し訳ありませんでした!
お詫びに今回はいつもより体感短めです!!(詫び…?)
あといつも感想ありがとうございます!!
もっと間違いの指摘とか、気になる設定とかあればぜひ一言残していって下さい!答えられる範囲であれば答えますし、僕自身忘れてる設定かもしれないのでこの先話作っていくのに参考になりますので!!
どうかよろしくおね……――――――――
◇
火が灯る。
しかしそれはただの火にあらず。
漆黒の火である。
「…ォォ」
「ん?何か言ったか?」
「―――――オオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」
空間が歪む程の咆哮。
体を押さえつけていた看守達は壁まで吹き飛ばされ、めり込んで動かなくなる。
「なっ…どこからそんな力が!?」
「ゥグアアアアアアアアアアアッ!!」
「ぐぅっ!?」
まるで獣の様に駆け、指先に力を込めてシグレアンを切り裂かんとする。
それを紙一重で避けたシグレアンは距離を取って看守達の影に身を潜めた。
我を忘れて漆黒の炎を身に纏い戦う姿はさながら怪物と言ったところか。
いや、そもそもこれを炎と呼んでいいのだろうか。
これは負の感情そのものだ。普段黒桜によって緩和もしくは吸収されている自身を滅ぼしかねない程の負の感情が今、目に見えるレベルで噴き出しているのだ。
「ぅん…?」
大気を揺るがす咆哮。蹴散らされる看守達の悲鳴。床や壁が砕ける音。
こんな喧騒の中、寝ていられる程暢気な者はいないだろう。
流石のクンリもようやく目を覚まし、目の前の惨事に顔を青くする。
「な、何が起こって…」
クンリが思い返すのはレバーを下ろした直後に現れた看守達に不意を突かれてしまった事。
そこにセヌゥーラも合流してしまい苦戦を強いられた挙句、看守に起こされたドンの更なる不意打ちによりとうとう敗北してしまった事。
そして、目覚めると怒り狂う見知った人物が大暴れしている現状。
「あれはレイ…?なんて、禍々しい…炎…?」
「ヨクモ…ヨクモォォォォォォオ!!!!」
「レイ!レイ…!どうしてしまったんですか!?これは、一体!?…聞こえて、ないんですか…?」
「ッラァァァァァァッ!!!!」
次々と看守達を薙ぎ倒すその姿に、クンリは涙を流す。
このままその状態で戦い続けてはいけない。
その力に飲み込まれては、もう元に戻れなくなる。
何より、アナタらしくない…クンリの想いは目まぐるしく回り続け、ようやく出た言葉が。
「――――――もう、止めて…レイ!!!!」
「…ア?」
そんなクンリの声が俺に届くと同時に、何処からともなく飛んで来た漆黒の刀身が俺の胸を刺し貫いた。
「―――――良かった、間に合ったみたいだ」
はためくマント。
「あ、アナタは…!!」
「やあ、久し振り。ふむ、実に2ヶ月振りくらいかな?」
黄金色に輝くビキニアーマー。
「急に居なくなるからビックリしたぞ。元気にしてたか?」
その人は正しく。
「ビキニアーマーの使徒・キリエ!!」
「うん、我らがビキニアーマーの使徒«聖女 キリエ»参上だ!」
まさかそう言う名前だとは思わなかったが、ここに来てまさかの助っ人が現れた。
元聖女だと言うのに白銀の剣を4本も腰に携えている。
剣士だったとは…。
「どうしてここが!?」
「なに、私の使命は平和を守る事。勇者に加勢するのは必然だと思うが?」
「そ、それもそうですが…じゃなくて!どうしてレイに剣を…!」
「よく見てみろ。私が刺したのはレイの黒桜…だったか?あれだ」
「本当…ですね」
「ここに来る途中で見つけてな。あの剣が言葉を口にしてレイにぶっ刺せと言うからそれに従ったんだ」
「大丈夫なんですか?」
「知らん」
俺をそっちのけに進んでいく話を耳にしながら、俺は頭に響く声に意識を向ける。
『―――聞こえるか』
聞こえるけど…アンタ誰だ?
『我は黒龍…黒桜の化身と言えば分かり易いか?』
そんなの居たのか…初めて知ったぞ。
『今までは貴様の力に順応する事に重きを置いていたからな。貴様が馬鹿みたいに力を身に付けるから相当苦労したぞ…』
何か、悪いな。どうしても強くならなきゃいけなくてさ。
『分かっている。我を誰だと思っている?』
俺の片割れ、だよな。
『分かっているなら良い…しかし、今度は随分と濃い負を抱えたものだな、レイよ』
ああ…そうみたいだ。我を忘れててもずっと、あの日のスエナの姿がフラッシュバックしてたんだ。多分、さっきのクンリの姿と重なっちまったんだな。
『…貴様のその絶望は消えた訳ではないのだ。我の制御が無ければ今の様な事が再び起きてしまう』
怒り…憎悪…こう言う負の感情は全部、俺の身体には悪影響って事だよな。
『うむ―――――だから、これより完全融合の儀を行うぞ』
完全融合…?
『簡単に言えば我との最終契約だ。レイよ。あの日、貴様の全てが始まった世界の中枢での事を覚えているか?』
世界の中枢…?あの大穴の事か?
『うむ』
なんか、色んな知識が流れ込んで来たよな。
『これより、その知識の全てと、今まで封じていた貴様の本来の力全てを解放する』
そうしたらどうなるんだ?
『チートと言うやつだ』
そりゃいい。そろそろジリ貧な戦いには飽き飽きしてたんだ。
『では暫し眠れ。次に目覚める時―――――』
―――俺達は1つになる。
焼きそばパンの焼きそばの代わりに挟まるきゅうりくん




