仲間が必要だと思うんです
本当にこれは自分が描いているのか…!?
連日投稿など…!!洒落た真似を…!!
今回もご感想ありがとうございます!!
面白いかどうかは分からないですけど頑張って描いていくので完走するまで是非皆さんで応援してください!!
果てしなきゴールへ!!
◇
「女神を…辞めた…!?」
「はい。割と昔に」
思わぬ爆弾投下に思わず吹き飛ばされそうになる。女神を辞めるなんて事、果たして可能なんだろうか。
そもそも辞める理由が分からない。
「なんで!?」
「私としては辞めたくはなかったんですが…神の世界にはルールがあるんですよ。決して世界の流れに手を下してはいけないって言う面倒臭いルールが」
「もしかしてそれで女神を…?」
「苦渋の選択でした。私は女神である事にそれなりの誇りを持っていましたし、空之世にも友達が大勢居ました。それを全て切り捨てて、1人の人間としてハルストゲレムに降り立ち、誰も知り合いの居ない世界で生きていかなれけばいけないんです。でもエレキを放っておけばいずれは空之世にも彼の手が及び、もしかしたらそのまま支配されてしまうかもしれない。万が一そんな事があれば、それは私の責任であり、全世界の命運を賭けた選択を誤ったと言う事。そんなの、私は許せません。自身を許せず自分を憎み、自分を殺してしまうでしょう……だから、悩みに悩んだ末に私は神の身分や肉体を捨て、女神の役目は全て後任の神に託し、ハルストゲレムに転生しました」
ふと視線を隣へ向けると、神妙に話しているクンリのその瞳には、深い悲しみが映っていた。
どうにかしてやりたいけど、何をすればいいのか分からない。
そんなもどかしさに苛まれ、また抱き寄せるべきか頭を悩ませながら手をクンリの頭付近に彷徨わせ、最終的に俺は何もせず目を伏して黙りこくった。
そんな俺の返しを待たずして、自嘲気味に彼女は続ける。
「ふふっ…可笑しいですよね?自分が招いた惨事の為に、全てを失い、自慢だった神ボディも今ではこんな貧相なモノへと成り下がってしまって、こんな広い世界に、私は独りで…記憶も、失って……私は、私はただっ…彼を、救いたかっただけなのに…!どうして、なんでこんな事に、なっちゃったんですか……?どうして、私はまだ、誰も救えていないんですか……?ただ、ただ……救いたい一心で…でも、私、まだ何も出来てなくて……うっ、うぇ…ひぐっ……!」
溢れ出すクンリの本音。それを聞いた瞬間、気付けば俺は立っていた。
「……そんな事ねえよ」
「……ふぇ…?」
駄目だ。駄目なんだよ。こんな事言われちゃ、我慢出来ないだろ。
どうしてなんだ?どうして、お前がそんなに苦しまなくちゃいけないんだ?
どうして、涙を流さなくちゃいけないんだ?
「可笑しくもなんともねえし、何も出来てねえなんて事もねえ。だって、お前はよくやってるじゃねえか。すげえよ、たった1人でもここまで来て、エレキにだって届いた!」
「でもそれはっ、偶然で…!」
「偶然だろうがなんだろうが、お前は成し遂げたんだよ。1人でやれる事は全部、お前がやったんだよ」
「わた、しが…?」
「ああ。そんで、ここからだ。ここからは俺達でやるんだ。俺とクンリ…出来るならもっと仲間を集めよう。今度は皆で、出来なかった事をやろう。そしてエレキの野郎に言ってやるんだ。お前の思い通りにはさせないぞ!…ってな」
そうだ。1人で無理なら仲間を頼ればいい。
クンリに仲間が、友達が居ないって言うなら俺がなってやる。
クンリが助けて欲しいと願うなら何度でも助けてやる。
「それに、どんなに離れてしまったって心はいつも繋がってるんだ。あの世に居る皆も、この世界で世話になった皆とも」
これから先に出会うだろう仲間達も、皆お前の味方だ。
苦しみや痛み、哀しみに喜びも全部分かち合おう。
1人で背負うには、世界はあまりにも重たすぎる。
「お前はもう、独りじゃねえ―――俺が、俺達が居る。その事を忘れんな?」
「…っ!はい……はい!!」
パアッと笑顔になるクンリの顔を見て、ホッとする。
どうやら心に抱えた闇は払えたみたいだ。何気にクンリの笑顔を見るのも初めてだが…うん…いいな。
元が良いだけあって笑うともっと綺麗に見える。
「あー…あと自分の容姿が貧相だとか言ってたけど、その、俺は、好きだぞ?」
「………ふぇ!?ぇ…ぁぅ、その、え、ぇと…す、すき…?……ぁ、あぅ……」
擬音を付けるならボンッと鳴りそうな勢いで顔を耳まで紅く染めるクンリの反応に逆に戸惑ってしまう。
そんな反応されると俺まで恥ずかしくなってくるだろ。
「お、おい!?お前そんな初心な奴だったか!?」
「しょ、しょしょっ、しょうがないじゃないですかっ!?今アナタにそんな事言われたら、誰だってっ…!そ、それに、私だって恋とか、その、興味ぃ…ありますし……」
「何?最後よく聞き取れなかったんだけど」
「な、何でもないですっ!この話はもうおしまいっ!しゅーりょーです!」
「そ、そうか…そうだな、続けても変な空気になるだけだしな……うん」
「きょ、今日の事はもう忘れましょう…ほら、外ももう暗いですしっ…!」
「おう…」
気付けば外はもう真っ暗だ。クンリの言う通り、寝て頭をリセットさせよう。
俺は「もう遅いし先に寝るぞ」とだけ言い残して黒桜をその辺に置いて寝床へダイブした。
ところでクンリは何処で寝るんだ?
「ほ、本当に忘れる気なんですね……バカ」
「今馬鹿って言ったか?」
「い、言ってません!私ももうすぐ寝るのでアナタは先に寝てて下さい!」
確かに馬鹿って聞こえたんだけどな。気の所為ならそれでいいか。
罵詈雑言は気の所為である方がいい。
そんな事を考えながら、思ったより疲れてたらしい俺は夢の中へ導かれる様にして眠るのだった。
そして翌日。宙から攻めてきた宇宙人にやきそばかオムレツかの究極の選択を迫られる夢を見て、起床。
俺はやきそば派だ。もしもう片方がオムライスであれば勝負は熾烈を極めていたかもしれない。
「ふぁーあ…もう朝か」
「おや、お早いお目覚めですね。紅茶はいかがです?」
窓から差し込む眩い陽の光から背ける様に声がした方を見ると、そこには清々しい顔でティーカップに注がれた紅茶を優雅に嗜むクンリが足を組んでソファーに座っていた。
恥ずかしげもなく、全裸で。
「なんで全裸!?」
「朝起きたら脱げてました」
「何故!?」
クンリの全裸は既に嫌という程目撃している俺だが、流石に昨日の今日とあっては流石に意識せざるを得ない。
念の為、クンリからも顔を背け、視線は自然とベッドへ。
掛け布団から何かはみ出している。恐る恐る手を伸ばし、引っ張り出すと、それは。
「…ビキニアーマー(上)」
まさかと思い、掛け布団を捲り上げるとそこには脱ぎ散らかされたクンリのビキニアーマー(下)や下着がこんにちはしていた。
何故!?
「おまっ、なんでこんなところに!?」
「し、仕方ないじゃないですか。思えばここにはベッドが1つだけですし、そもそも添い寝した仲じゃないですか?いいい、今更何か文句でも―――――」
取り乱し始めるクンリの言葉を遮る様に部屋の扉が開く。
それはこの宿と言うかホテルの制服に身を包んだ女性で―――――。
「おかしいわね。この部屋、誰も泊まってないのに声が―――――き、きゃああああああ!!変態が2人も!!不法侵入しているわぁぁぁぁぁぁ!!」
「し、しまった!!そう言えば俺達金払ってねえぞ!!」
「後は頼みました」
いつの間にかビキニアーマーと下着を装備したクンリが窓を開けて外へ乗り出し、振り返って俺に親指をグッと立てる。
「じゃねえええええ!!俺も金持ってねえから!!」
窓から飛び降りるクンリに続き、黒桜を拾い上げた俺も窓から飛び出す。
やっと帰って来れたと思えばこのザマだ。忙しいったらありゃしない。
「コラァァァァァァ!!お金払いなさぁぁぁぁぁぁい!!」
「すみませぇぇぇぇん!!いつか払いますぅぅぅぅ!!」
でも、こんな忙しさなら全然良い。これからはもっと忙しくなる筈だから。
仲間を集めて、打倒エレキ。世界を救う為に、勇者としての責務を果たす。
それまでは村へ帰るのは後回しだ。
村か…スエナ、元気してるかな。
ホテルと言う高所から落下する最中、着地の事も考えずに俺は幼馴染みの事を考えながら、クンリの後を追う様に地面に激突して気を失った。
…空との相性は駄目なんだって。
足の小指を執拗にねぶってくる小癪な子供をロケットで打ち上げる世界大戦勃発寸前の世界で一生を終えたいと本当に思うのならばその意気や良し気に入ったお前も泥団子のサラサラの部分にしてくれる




