秘密を解き明かせ!第1回世界異界化計画説明会!
感想ありがとうーーーーございます!!
感謝してもしきれないので代わりに小躍りで感謝の意を示します!!
あ・り・が・と・ウーーーー☆マンボウ!!!!!!
◇
―――光が収まると、そこは見知らぬ高級感丸出しの一室だった。
「………何処なんだよここ」
「さあ?確かに宿に戻って来た筈なんですけどね」
隣にいたクンリも首を傾げているところを見ると本当に知らないところらしい。
それにしてもなんて見慣れない光景なんだ。棚やタンス、ベッドまで全部この世界の物とは思えない。
「ですけどこれだけは言えますね。いよいよ、異界化は近い」
「異界化?」
「はい。良い機会なので説明会を開くとしましょうか」
クンリはそう言うと近くにあったソファーに腰掛け、艶かしい足を組んで俺にも座る様に顎でくいっとジェスチャーをした。
顎で人を使うタイプのビキニアーマー女への腹いせに俺は何も言わずにクンリの上に重たい腰を降ろす。
「えっ、重たいんですが?あと痛いです。足組んだ人の上に座った事もしくは座られた事あります?普通に痛いですよ??ちょっと、聞いてますか?もしもーし??」
「さ、説明してくれ」
「せめて、足を戻させてください……こほん!では、第1回世界異界化計画の説明会を始めまーす」
「ワーーパチパチパチー!」
こうして始まったクンリの膝の上で行われる第1回世界異界化計画とやらの説明会。
異界の認識が異世界で合ってるなら多少の知識はある。とは言っても七英雄の記憶で得たものだけだが。
とにかく、文字通りこの世界とは異なる別世界の事だと認識しておけばいいだろう。
「さて、何から話しますか……そうですね、まずは私の自己紹介からさせて下さい」
「自己紹介?お前は杉野クンリだろ?」
「そうですが、それは仮の名前です。私の本当の名前は«クンシエル・リマルディオスタルクラド»―――――この世界の創造主である女神です」
「はー!嘘乙!お前が女神?だったらこの世の女は皆女神だね!」
「おっと?そんな事言っていいんですかねぇ…?」
「うわっぷ、やめっ!やめりょ…ぶひゃひゃっ!!くすっ、くすぐんじゃねえっ!!わ、分かった!!分かったから!!真面目に聞くからぁ!!」
「分かればよし!」
どうせ後ろではしてやったりとしたり顔浮かべてるんだろうな。
くすぐり地獄から解放された俺はそのまま場所を移してクンリの隣に座る。
もうくすぐりはゴメンだ。
「で?その女神がなんだってこんな所にいるんだよ?」
「これはまあ自業自得と言いますか…自分が不甲斐ないばかりに起きてしまった惨事への処理の為と言いますか……エレク・トロルは知ってますね?」
「おう、知ってるよ。七英雄から得た記憶の中で見た事だけだけどな」
魔王エレク・トロル、通常エレキ。 勇者セスタの宿敵にして初代魔王。
七英雄もとい七神将を創設し、セスタランドなる場所を生み出した男だ。
「彼は元々はこの世界の人間ではありませんでした」
「って言うと…エレク・トロルも七英雄達と同じで異世界から来たって事か」
「はい。それも地球と呼ばれる文明の発達した世界から、転生と言う形で」
「てんせい…?」
「所謂生まれ変わったと言うやつです。元の名前は上成 仁。なんの力も持たない普通の人でした」
そんな奴が生まれ変わっただけで魔王にのし上がり、ここまで強大な力を得たと言うのか。末恐ろしい話だ。
「そんな彼はある日不慮の事故で亡くなってしまい、空之世の決まり事により慈愛の心の元、転生の機会を与えました」
「なんか難しい話だな」
「空之世については考えなくても大丈夫です。大事なのは転生の際に与える決まりになっている特典を彼に与えてしまった事です」
「チート…?うらやっ…聞くからに嫌な響きだな」
ネタンデナイヨ、ホントダヨ。
羨ましいとかそんな事、全然考えてない。
俺もチートで楽したいとか全然考えてない。
だからそんな目で俺を見ないでくれ!
「えっと、そのチートを与えた事が今の状況を生み出した事に繋がるってのか?」
「そうです。特典とは、所謂その人物が強く望んだ力なんですよ。この意味が分かりますか?」
「つまりそのジンって奴は自分が最強になる様に望んだ…?」
「全然違います」
「ショック!!」
ここで間違えるのは正直ダサいと思う。
あとショックって叫んでショック受ける奴も超ダサいと思う。
「上成 仁が最初に望んだ力…それは、世界を思うままに生きる事でした」
「世界を…思うままに……っ!?まさか!?」
「身に覚えがある筈です。突然変わってしまった世界の常識…ある筈のない物が当たり前の様に存在してしまう、そんな体験が」
言語の変化に明らかにこの世界の物ではないこたつや手榴弾等の道具。
通貨の変化に、そして今いるこの空間。
窓から見える景色なんてまるで俺がいた世界とは別物だ。
「今いるこの空間…これも正しくその影響です。転生した当時はまだ小さかった力が今ではここまで強大なものへと成長し、世界を思うままに生きる力から世界に干渉してしまう程の力、世界を思うままにする力へとなってしまったんです。特典とは、強く望んだ力が備わるだけでなくその後の使用者次第でどこまでも強力に、理不尽に進化していくものなんですよ」
そこでようやく息継ぎをすると、クンリは目を伏して続けた。
「私は、彼を…彼の本質を見抜けませんでした。見抜かなければいけなかったのに…世界を観測し、守らなくてはいけないのに、こんな事になってしまって……」
これは、こればかりはクンリの本音だと俺でも分かった。
だって彼女は震え、涙を流しているから。
悔しさからなのか怒りからなのかは分からないが、確かにクンリは泣いていた。
それを見た俺は一丁前に慰めようとしたんだろう。気付けば黙ってクンリの頭に手を回し、抱き寄せていた。
「…案外、優しいんですね」
「…馬鹿野郎。女が泣いてんだ、ほっとけないだろ」
「あっ……ふふっ」
「何笑ってんだよ」
「笑ってませんよーだ。あ、あと女の子に野郎って言うのはNGですよ」
「うっ、うるせえ!」
元のクンリに戻ったみたいだ。一言余計だけど。
俺は抱き寄せていた手を離し、少し照れ臭いのでそっぽを向いて頬を掻く。
なんてベタな。
「…で?続きあるんだろ?」
「おや、こんなか弱い子がさっきまで泣いていたのに待ってくれないんですか?」
「待たねー」
「オヨヨー…なんてお酷い人なんでしょう」
「いいから続き!」
茶番が止まらない。こいつが居るといつもそうだ。
どんな時でも賑やかで、そんでもって何故か頼りになる。
会ってまだ長くもない筈だが、何故か長年共にして来た相棒かの様な、そんな感覚に陥る。
クンリ…やっぱり謎だらけで不思議な女だ。
…ちなみに抱き寄せた時に、ふわっとクンリの髪から甘く、とても良い香りがした。
ビキニアーマー姿に見慣れて感覚が麻痺していたんだろう。忘れかけていたが、こう見えてクンリはそこら中探し回ってもほぼほぼ見つからないであろうレベルの美少女だった。
今しがた接触してた際に密着状態だったのもあって、クンリの女の子特有の柔らかさも知った。やわらかかった。
しかし、ビキニアーマーは硬かった。
ティクビの捻り焼き。




