第5の試練・不触の透在棍士
本当はもっと早く続き上げたかったんですけどある資格取るための研修やら課題やらで遅くなってしまいました…。
多分今年いっぱいはこんな調子が続くと思うのでご勘弁を。
◇
大地を揺るがす振動。豪快に吹き飛ぶ木々。
そして逃げる俺と追跡者たる怪物。
こうなってしまったのは遡ること少し前。
ルナを倒して第5の試練に挑むべく導を辿って歩いていると急に地響きが起こり、同時に離れた場所から何かが急激に接近していることに気が付いた俺は撃退すべく戦闘態勢に移った。
しかし、木々を掻き分けて飛び出して来た巨大な怪物の迫力に負けて思わず逃げ出してしまい、今に至ると言う訳だ。
骸骨を思わせる不気味な頭部にブヨブヨの膨張した怪物を巨大たらしめる肉塊のような胴体。
その巨躯を支えているとは思えない程のか細い人のような手が6本、足のように生えていて前足に当たる部位にはギラリと光る長身の大鎌が存在し、俺の命を奪わんと振り回される。
尾のような部位の先端には虚ろな人の顔が付いており、何か訳の分からない言語をただただ不気味に吐き散らしている。
翼と呼んでいいものか、それらしきモノが背中から生えているがまともな外見ではなくほぼ腐り落ちていて、更には腐って千切れそうになってる部分を断面からウジャウジャと生える無数の触手が必死に翼を繋ぎ止めているらしいのが伺える。
控えめに言って怪物だろう、これは。
「まれととママれまれれれれれれトンマトンマトンまぁああぁあぁぁあせるぶぁあぁぁぁぁぁあアッッ!!!!」
「あぁ!?何だって!?せめて意思疎通出来ろ?お前!!」
咄嗟に逃げ出したものの止まるタイミングを完全に失ってしまった。
止まれば奴に捕まるし、隠れるにしても大鎌によって木が切り倒されていくからいずれ見つかってしまうだろう。
そもそもこいつは何なんだろう。魔物と言うにはあまりにもおぞまし過ぎるし、まだ魔物の方が可愛げがある。
魔物の分類ではなく新しい種族の怪物なのか?
「―――――困っているようだね?」
「えっ?」
一目散に森を抜けるべく走っていると、不意に目の前に現れた少年と接触―――せずにそのまますり抜けてしまう。
突然現れたから回避に間に合わず、完全にぶつかってしまったと思っていたから呆然とするしかない。
思わず足も止まり、振り返る。
そこには、怪物を撫でて手懐けている少年がいた。
「え、えぇっ!?色々意味分かんないんだが!?」
「それも仕方が無いよね。急に追い掛けられた挙句、僕をすり抜けちゃった訳だし」
「幽霊とかそう言うのか…?するとそいつはお化けペット…?」
「違う違う。僕はちゃんと実態を持つしこの子も歴とした英雄の1人だよ」
今度は愕然とした。
これが英雄だって?何でもアリなのか?と。
「こんな姿じゃビックリしちゃうよね。…ランリー、元に戻ってあげて」
「わ、わかカリわかわわカワるるるるわかわかりるリルリルれれれろろロロろろろロロロラリルワワるわるわかりるわかわかるリら…………分かった」
吃驚仰天した。
全身脱力して足を投げ出した状態になった俺は口をパクパクさせながら怪物?を指差す。
「お、おんな、女の子ぉ!?」
「ん?そうだよ、もしかして分からなかったかな?男性器がないから分かると思うんだけど」
「分かんねえよ!何が楽しくてあんな怪物の股間をマジマジと確認しなきゃなんないんだよ!?」
「…怪物……?かいぶ、つ……かいぶ…つ……かいぶつ………かい、ブ…カイブつァァァァァァァああッっ!!!!」
俺に怪物と呼ばれて反応したまだ幼さを残す獣耳を生やした女の子が首を傾げ、怪物と言う言葉を繰り返すや否や、大絶叫して再び怪物へと変貌してしまった。
腰辺りまで長く伸びた艶やかな甘栗色の髪が頭の肉ごと抜け落ち、若々しい全身の皮がドロリと溶けて内側から何かが突き破って飛び出そうとモゾモゾ蠢き、みるみる肥大化していく様は正しくこの世の終わりを彷彿させる。
何コレ怖い。
「あーあ、ランリーは女の子だし傷付きやすいから言葉選びは慎重にしないと。自分の心を守ろうと思考を放棄したビーストへと変身してしまうんだ」
少年はビーストとやらに成り果ててしまった女の子の上への軽く飛び乗ると、俺を見下ろして続けた。
「―――故に呪生の狂魔獣«ライリアル・リマナヘルト»。七英雄の1人であり、生まれた頃より獣に成り変わる呪いの体質だった哀れな女の子…そして、僕の妹だ」
「…なるほどな。呪生、か…悪いこと言っちゃったな」
俺はワシワシと頭を掻き、顔をパンと力強く叩く。
確かに呪われた人生かもしれないし、可哀想な女の子かもしれない。
だけど、七英雄だと言うならば話は別だ。
俺は戦い、勝たなければいけない。
真実を知るには、彼らの記憶が必要だからだ。
それを分からない七英雄ではあるまい。
「今の話を聞くに、ビースト形態の君には伝わらないだろうから…戦いが終わってから謝らせてもらうとするぜ」
「賢明な判断だ。そして、ありがとう…彼女を受け入れようとしてくれて。これなら僕も清々とした気持ちで戦えるよ」
少年は感謝を告げると、何処からともなく棒―――棍を取り出して洗練された動作で振るい、戦闘態勢に入った。
「名を聞いても?」
「勿論いいとも。僕の名前は«クレジア・リマナヘルト»。存在しながらも触れることが出来ない事から不触の透在棍士って呼ばれてたね。勿論この体質も呪生さ」
「触れられないってのは困ったな。何とか頑張って勝たねえと!」
「へぇ、触れられないって分かってても戦うんだ?」
「当たり前だろ?俺には目的があるんだ。それまでは戦い続けるって決めた―――換装・賢者!」
万物を見透し、操るルナの力を身に纏い、短剣サイズまで縮んだ黒桜を逆手に構えてライリアルとクレジアに指差して叫ぶ。
「さあ、かかって来な、七英雄!纏めて相手してやるぜ!!」
「今度の勇者は威勢がいいね、言われずともそのつもりさ!行くよ、ライリー!」
「わがっバーーーーーーーーーー〜ァあっ!!!!」
ライリアルがその巨躯からは考えられない速さで突っ込んでくるのを視た俺は敢えて紙一重で回避し、地面を操作してライリアルを宙へと突き上げる。
ルナの換装の力は本家同様、地と触れ合う万物の操作、そして任意で僅かだが未来を視れる能力だ。
背に浮く輪っかが光を放ち、再び俺に未来を視せる。
突き上げられたライリアルの影から飛び出すクレジアの姿だ。
(視えたところでどうする!?触れられないのならどうする事も出来ないぞ!)
「反応した…?だけど!」
「ぐうぉっ!?」
クレジアの姿を捉え、防御の構えを取ったものの呆気なく破れ、棍による打撃を顔面に受けて吹き飛ばされてしまう。
しかもただ棍で殴られたのでない。交差している腕をすり抜けて俺の胴体に直撃させられた。
「よ、容赦ねえ…!」
「言ってる場合かな?」
「あぞブォおおおオおおぉおゥおゥおゥおおぉぉウッ!!」
不意に辺りを影が覆ったので見上げれば、そこには大胆に飛び上がったライリアルが降下して来ていた。
そう言えば自分でライリアルを突き上げたんだった。
「うわあああああああぁぶぇッ!?」
轟音。
大きな振動が地を揺らし、大きな体が俺を押し潰す。
苦しいが死んでしまうと言う程の苦しさでもなく、包み込まれるような物凄い肉厚で何処を触っても柔らかく、弾力がある。
プニプニしていてそれはまるで胸のような……胸?
「せクはわラララらラララァあーーーーーッ!!!!」
胸でした。
「ぐぉおおおおおおおおおっ!??」
確かにセクハラと叫んだライリアルは俺を解放したかと思いきや細長い両手?で俺を掴み、引きちぎらんと力を篭め始めた。
本気でやばい状況に陥った。
細長いが巨大な体を支えているだけあって力は過去一で強いかもしれない。
お腹の辺りの筋肉繊維がブチブチ言い始めたところで死の危険を察知した俺は咄嗟に換装・槍騎士に切り替え、全身を1度水のように変化させる事で脱出に成功した。
「怒らせるとやばいなこれは…!」
「ドコオオオォ!!ドコドコドコぉぉおおおおんッ!!!!」
「怒った時の俺もこんな感じなのか…?」
だとしたらもっと自重した方がいいな。俺はそう切に思うね。
「惚けてる場合かい?今までと違って今回は2人いるんだよ?」
「あーー!!はいはい!分かってたよ、そろそろ不意打ち来るかなーとか思ってたよ!!」
嘘だ。忘れていた。ライリアルのインパクトが大き過ぎて完全に。
しかし、クレジアの姿を捉えたとしても触れられなければ話にならない。対策を練られればいいのだが、じっくりと観察はしていられない。
触れる事さえ出来れば速さ、練度からしてクレジアの攻撃は今の俺でも何とか凌げるだろうが、それに至るまでにはライリアルの妨害も視野に入れなければいけない。
逆に実体のあるライリアルから落とそうにもクレジアの妨害が。
どの方法を取ろうが俺が不利な事に違いはないと言う訳だ。
これが複数対一の戦い。何時ものゴリ押しでは勝てないと悟らされた。
「でもあんまり頭良くないからなー…」
「そこだ!」
ボヤいている俺に向けて頭上から放たれるクレジアの振り下ろし。換装を賢者に切り替え、少し先の未来を視る。
「………なるほどな!」
未来で視たのはクレジアの攻撃に合わせて黒桜を棍に宛てがう俺の姿。
だが案の定、棍は黒桜をすり抜けて俺に当たる瞬間に実体化を果たしている。
これが指す意味は即ち、クレジア自身も実体を持たなければ相手に攻撃を加える事が出来ないと言う事。
更に言えば相手を攻撃する瞬間だけは、反撃の機会が出来ると言う事―――――!
「換装・拳獣!!」
クレジアの棍が黒桜を透過した直後に換装を切り替える。
チャンスはこの一瞬のみ。失敗してしまえば恐らく、クレジアは警戒してしてしまって二度とチャンスは訪れなくなる。
一撃に全てを篭めて、俺は全身を駆け巡る電力を左の拳に集中させる。
篭手と化した黒桜が赤い雷を帯び、これで完全に準備が整った。
あとは、放つだけ。
「っ…!?まさか!!」
「ああ…そのカラクリ、見破らせてもらった…!!」
「透過を…!くっ、間に合わない…!!」
「遅いぜ、何もかもな――――聖月流無手爆拳法・其ノ肆«爆雷崩顎屍之滅骸閃天砲塵»!!!!」
もし剣を失った時の為に用意周到なガキの俺が考えた、覚えてた事自体が奇跡のクソ長ダサネーミング格闘術が耳を劈く雷鳴と共に解き放たれた。
ボディーブロー直撃コースだったクレジアの腹部を貫くように、そして天へと還る雷が雲を払い、光が指す。
「―――――まさか、初撃で見破った上に、一撃とは、ね…」
「まさか、ルナとライオットの力があってこそさ。もしアンタらが最初に出て来てたら多分勝てなかったぜ」
「そう、言ってもらえると…嬉しいな。それじゃあ、ランリーの事もよろしく、頼んだ…よ」
「ああ、任せてくれ」
光の粒となって消えていくクレジアが力となって俺に継承される。
それと同時に、いつもの記憶が流れ込んで来た。
起源英雄であるルナの力のお陰か、その記憶はまたいつもとは違って視えた。
◆
僕が本格的に人から触れられなくなったのは5歳の時だ。
それまでは稀に物を透過してしまう程度のものだったけど、歳を重ねるにつれて悪化していったんだ。
両親は確かに存在しているのに触れられないこんな僕を気味悪がり、感情が揺れる度に怪物に変異してしまう妹同様、何処かの山奥に追放してしまった。
まだ7歳の頃だった。
まだ1人で生きていくには幼過ぎる僕達はお互いの持つ忌々しい体質を利用して細々と生き延びる選択を取り、いつかこの呪いから解き放たれる為に世界各地を旅して回った。
魔物に襲われる事も多くあったが、ライリーの変異する力によって幾度も救われてきた。
僕は、誰にも触れられないし、触れる事も出来ない無力な男だった。
それはある日の出来事。
頼みの綱であったライリーが高熱に倒れ、そこを魔物に付け狙われたんだ。
意識のない間は変異する事が出来ない無防備なランリーを守ろうとするも、僕の体質が邪魔をする。
誰からも触れられない事は少し寂しいけど身を守るには最適だ。
だけど誰にも触れる事が出来ないのは、誰かを守る事が出来ないと言う事だ。
それはとても無力で、とても寂しくて、とても悔しかった。
この気持ちがキッカケだったのか、この日、僕は自らの体質を自在に操れる様になった。
近くに落ちていた木の棒を掴み、まだ安定しない透過の能力を駆使して傷だらけの体たらくではあったけど何とか勝利を収めた。
その後は生きる為にお互いの戦闘スタイルを磨き、僕は棍を、ライリーは大鎌を扱った戦闘技術を極めた。
そして14歳になった僕達のところへ1人の男が訪れた。
名をセスタ。噂で聞いた事があった。
確か、初代勇者の名前だった筈だ。
セスタは世界を制し、神となる為に自分に協力してくれないかと話を持ち掛けてきた。協力してくれるなら君たちの生活を保障しよう、と。
選択の余地はなかった。強いだけでは今の時代は生きてはいけないし、そもそも勇者と手を組めば魔物に襲われる心配はなくなる。
そして、少しだけ興味があったんだ。神を目指す男の行く末が。
勇者の従者と言う立場を利用すべく、仲間になった兄妹を連れてセスタが最初に訪れたのはセスタランド。なんでも外の世界と隔絶された空間にあるらしい。
そこには既に5人の猛者が集っていた。
業血の剣獅子«ユリウス・ハルクレド»。
絶海の槍騎士«アリアナ・マルクバルド»。
雷鉄の拳獣«ライオット・アグバスカ»。
地凪の賢者«ルナ・アイルスバーン»。
記憶を持たない少女――――不明因子と呼ばれた«杉野クンリ»。
この5人と、僕とライリーを含めて七神将と言うらしい。
七神将となった僕達の役割は各自与えられたエリアの管理とセスタに近寄る虫の排除。
虫の排除と言ってもこのセスタランドに入り込んで来る者がまずいないし、入って来たとしてもセスタランドに蔓延る魔物達によって先に殺されてしまうから実質エリアの管理だけで済んだ。
他の皆は1人ずつ各エリアの管理を任されたけど、僕とライリーだけは兄妹だからか2人で1つのエリアを管理する形になった。
それからは時折クンリがセスタに頼まれて連れて来る勇者の修行だったりと面倒臭い事をさせられたが、生きる為に足掻く必要がない生活はそう、平和そのものだった。
それだけで、僕は満足だった。
そう言えば修行を経てセスタのところへ行った勇者のその後を見た者は誰一人いなかったとか。どうでもいいけどね。
―――2年の年月を経て、僕が16歳になったある日のこと。
突如、単身セスタランドに乗り込んで来た若者がいた。
赤髪紫眼の青年だ。真紅の剣を携え、自分を勇者セスタだと名乗る青年は襲い来る魔物達をその剣で切り裂き、七神将総出で相手をしても歯が立たない化け物のような強さの持ち主だった。
青年は僕達七神将一人一人に語り掛け、僕達の主がどう言う存在なのかを訴え、もう味方をするのは止めろと言った。
特にルナに対しては目を覚ませだと何だのと喚いていた気がする。
そもそも僕は根っこからセスタの味方をしている訳ではなかったから、もう頃合かと思って青年の言う通りにしようとした。
他の七神将の皆も聞いた話では、ルナを除いて行き場を失った者達の集まりだったらしく、その勇者の訴えに少し考えはしたものの、大人しく従おうとした――――が、セスタがそれを許さなかった。
セスタは僕達の前に姿を現すと、七神将全員に手を翳し、何かよく分からない術を発動して皆の記憶を書き換えてしまった。
それが、七神将―――七英雄の誕生だ。
偽りの記憶を植え付けられた七英雄は、勇者を名乗る青年を魔王だと強制的に認識させられ、彼に刃を振るった。
しかし、彼は抵抗せず七英雄の攻撃をその身で受け止めた。
僕は勇者だから、人を傷付ける事は出来ない―――――そう言って彼は血を流し倒れていった。
セスタはその倒れた青年に僕達にした様に記憶改竄の術を掛け、そのままセスタランドから追い出してしまった。
それ以来、勇者セスタを名乗る青年は来なくなり、少しして再びクンリが勇者捜索に駆り出され、このセスタランドに平和が訪れた。
とは言っても僕の意識は殆ど無かったに等しいけどね。
そうして5年が経過し、クンリが君が連れて戻ってきて今に至る。
まさか、僕達を倒すだなんて思ってもいなかったけどね。
もしかすると君なら、あの青年が成し遂げられなかった事をこなしてしまうかもしれない。
ああ、もうちょっと話していたかったけど、僕はもう、疲れてしまったから眠るとするよ。
短い人生だったけど、まあまあ楽しかったかな。
ありがとう。くどい様だけど、ランリーの事もよろしく頼むよ。
◇
絶句した。
ただただ、絶句した。
「勇者セスタ……まさか、アンタがそうだったのか…」
色々な事に驚かされたが、何より驚いたのは勇者セスタの事だ。
ずっと見覚えがあると引っ掛かっていたが、今記憶の中の勇者エレキとセスタランドに単身乗り込んだ勇者セスタを比べてみると、完全に一致しているのだ。
赤髪紫眼の青年。確かにあの日、村に訪れたのは彼だった。
だがあの時点では勇者エレキだと名乗っていたらしいし、それは恐らくセスタに記憶を弄られたのが原因だと考えてもいいだろう。
そして、エレキとはエレク・トロルを文字った名前。エレク・トロルとは七英雄の記憶にあった魔人―――魔王の名前だ。
この事からセスタ改め魔王エレク・トロルはセスタランドで倒れたセスタの記憶を改竄し、勇者エレキと名乗らせ野に放った。
これで晴れてエレク・トロルはセスタの名を名乗る事が出来ると言う訳だ。
でも何故セスタの名を名乗る必要があるのだろうか?
どうして倒れたセスタにトドメを刺さなかったのか?
謎はまだ多いが、そもそもこれは推測であり確定した訳ではない。
取り敢えず深く考えるのは目の前のライリアルを倒してからにしよう。
「クレジアの記憶を見たら君と戦う気なんてのはほぼほぼ削がれちまったんだけど…」
黒桜の切っ先をライリアルへと向け、早速クレジアの力を解放する。
換装・透在棍士。
「どうやら七英雄を解放するには先に行かねえとダメらしいんでな」
セスタ(仮)が何かを企んでいる以上、なるべく早くこの戦いに終止符を打たねばならない。
棍へと変化を遂げた黒桜を手に、俺はライリアルへと駆けた。
なすびのお尻




