68話 夜遊びしたぜ
「……だれだおまえ」
「雷神にして武神、建御雷之男神ですが。お忘れになられましたか?」
「……冗談も通じねえのかよ。相変わらずのクソ真面目だよなあ?」
右腕一本で小太刀持って素振りを続けながら、俺は中庭に降りて来た、見慣れないごっつい全身神鉄鎧を身に付けた、今にも戦場に走って行きそうな物々しい出で立ちのタケミカヅチに声を掛けたところだった。
「素振りは今、何回目ですかな?」
「百回くらいか? 起きるのが遅かったからな、飯食った後で、四時間くらい掛けてのんびりやってる」
神鉄は神力、魔力を徹しやすい、って特徴があるのは知ってたが……、タケミカヅチが身に付けてる神鉄鎧は特にそうみたいで、身体を動かす度に、表面に静電気みたいな光の帯がふわっ、と走るのが見えてる。
「つーか、身体が鈍らないように軽く鍛えてくれ、とは言ったけどよ? そのナリじゃ、戦場に出るみたいだぜ?」
「このところ妻の夫君役の出で立ちが多く、正直に言えば辟易しておりましたからな」
その言葉は嘘じゃねえみたいで、タケミカヅチの口調は本気で疲れてるみたいだった。
まあなあ、不可抗力つっても、タケミカヅチの現状ってな、神器契約してるレムネアの契約主で。
それでいて、死にかけたレムネアの生命維持を補助してるうちにレムネアにタケミカヅチが持ってる神気が影響して妊娠したってことで、事実上の腹の子の実父だから、相互に結びついちまってるんだし。
レムネアの方はどうも妊娠した(から、月イチのアレが来ない)ってのは理解してても、どうもその先の知識があるのかどうか、様子を見てるとすっげえ怪しいんだが。
本来なら「必ず済ませなきゃいけない男女の儀式」をすっ飛ばしちまってるから、知識が進まねえのも分かるっちゃ分かるんだが……、キャベツ畑で子供は生まれる、とか勘違いしてたらどうしような?
で、まあ、そりゃ置いとくとしても、タケミカヅチがレムネアに合わせて人間社会で生活するなら、そら当然、レムネアの夫、って立場に落ち着くしかねえわな。
この世界じゃ俺に次いで二番目の神器契約者ってことで、いろいろと俺とは違う制約があるみたいなんだが……。
――シィが契約術式持って来なかったら死んでた、って言うし、そこんとこレムネアも詳しく話したがらねえんだけど、無茶を怒られるって解ってんだろうから、いっぺん詳しく聞き出さねえとな。
でもまあ、俺ほど五感が鋭敏なわけでもねえみたいだし、痛覚過敏で悩まされてる風でもねえし。
むしろ神器契約に付き物らしい状態固定で身体の弱さが克服されて、それと雷神の使徒になったから、精霊力も魔力も無双になってるっていうメリットが目立ってるから、おいおいでいいか、と思ってる。
それに、俺が寝てた一年の間に随分とタケミカヅチも夫役が板に付いたみたいで、シスの街の屋敷でレムネアを澄まし顔でエスコートして歩いてるコイツを初めて見たときゃ、随分と目を疑っちまったもんだけどな。
「長らく間が空いてしまいましたが、私が現世に在るのは虎徹様をお鍛えするためですし。――本来の命に従うならば、やはりこれくらいは装備せねば」
「良く言うぜ。神鉄鎧の上にごりっごりに強烈な防御魔力重ねやがって。小太刀しか持ってねえ俺の剣力じゃ傷ひとつ付けられねえよ」
「……試してみますかな?」
「やらねえよ、疲れるんだからよ。今日は夜明け前までに『別の用事』もあるんだ、ちゃっちゃと進めてくれ」
「別の用事……? いや、私が詮索することではありませんな。では、一之太刀から」
言われた通り、腰の剣柄に片手を掛けたまま俺の正面に立ったタケミカヅチが言うもんで、俺は以前習った太刀筋を思い出しながら右腕を振り下ろす。
……けど。
「やはり、ぎこちないですなあ。本来、刀は左腕一本で振るものですし」
「右腕は添えてるだけなのがほんとだし、特に小太刀出来てからは二刀流が多かったからな。違和感ありまくりで困ってるよ」
お互いに困ったように苦笑浮かべて顔を見合わせつつ、俺はぎこちない太刀筋を繰り返した。
「しかし、利点もあります。小太刀は神刀より間合いが短いですが、その分、剣速が速く回転も素早い」
「前も聞いたっつの。力じゃなくて速さで押せ、っつーんだろ」
「その通り。まだ無駄な力が入っておりますな、肩、腰、足、腕に」
「――全身って言えよクソが」
お小言みたいな口調で鞘に収めたまんまの剣で素振り中の身体のあちこちを叩かれるのに悪態つきながら、俺は言われた通りに力の流れを制御して、とにかく最低限の力で振り下ろすことに集中する。
「相変わらず飲み込みが早い。もう、剣速に反映されましたぞ?」
「いい師匠のおかげだよ、ありがとよ」
「良い生徒に出会えた天の采配に感謝ですな」
言い合いながらも、確かに言われた通り、少しずつでも無駄な力が抜けてる素振りの剣速はどんどん速くなって、切っ先が残像しか見えないくらいの速さに達してる、んだが……。
「ふうっ! くっそ、限界だ」
体中の筋肉が悲鳴を上げてて、俺は最後の一撃分を振るうなり、その場に座り込んだ。
以前ならこの程度の素振りなら一週間だって連続で振り続けられたんだが……、今の俺は、体力や耐久力が落ちた、っつか、回復速度が極限まで落ちた、って状態になっちまってて。
「最初の負荷が大きすぎましたな。日毎続ければ、上達するごとに限界が遠のくでしょう」
「解ってる。無駄な力を極限まで省けば、以前と同じように振り続けられる、って話だよな」
「左様です。――こう言ってはなんですが、無限の体力回復速度を失ったことで、より強くなられておられる、と思います」
「アァ……、そうかもな。そこんとこは、俺も同じように、思ってる」
「それに、刀身の短い小太刀の間合いが短く回転が速い、ということは、次の攻撃に連続的に繋げられる、ということでもある。そこら辺も意識して、次回はやりましょうか」
たかだか素振り百回ちょいでぜえぜえ肩で息してへたり込んでる俺を、タケミカヅチがお姫様抱っこしてくれるもんで、俺はされるがままにタケミカヅチの首に右腕を回して答えた。
「つか、無限の回復速度がなくなったから分かるわ。俺、以前は何でも力任せの大雑把にやってたんだなって」
「武術は結果への最短距離を鍛えるものですから、どちらの方法であっても正しいのですよ」
「そりゃ、そうかもしれねえけど……、でも間違いなく、全身を細かく制御して使ってるのは今だぜ?」
「それも正しいのです。結果に辿り着くならば、過程はどうあっても構わないのですから」
中庭の建物寄りにあった、どうやら昼間レムネアたちが使ってそのまんまの状態で放置されてたらしい茶会のテーブルと椅子まで連れてかれて、そこの椅子にそっと降ろされたんで。
俺は軽く礼を言って、夜の空気でよく冷えてるティーポットを傾けたら。……緑茶だった。
「へえ? この世界にも緑茶があるんだな?」
「ギルドマスター殿に少々無理をお願いしましてな。皇都の南、海を渡って大森林の国で採れる茶葉だそうです。――紅茶やハーブ茶も良いですが、長らく口にしませんと恋しくなりまして」
「同感だ。夏も近いけど、こりゃ熱い茶でも良かったかもな」
「――温め直しましょうか?」
「いや、また今度でいいわ。ヒトツメにも飲ませたのか、これ?」
ぱちぱちっ、と指の間で火花を散らしたタケミカヅチに答えておいて、俺はティーカップに入れた緑茶をずずっとすすりながら聞いてみた。
「無論です。普段は酒にしか興味のない奴も、これだけは別格のようで」
「あそこで飲んだら蒸発しちまいそうだけどな」
ヒトツメの住処の、地下の鍛冶工房は常時数百度以上の気温だからな。
タケミカヅチと顔を見合わせて、くすりと微笑み合って、俺はもう一度緑茶を口に含んだ。
「ヒトツメにも謝らなきゃだったな。アイツの方が先に起きたんだっけ?」
「ヒトツメはあれでも鍛冶の神、氷に閉じ込められても体内には常に炎が漲っておりますから、そもそも眠っておりませんでした。――自身の権能を阻害する氷の膜により、出られなくなっていただけで」
「それでもよ。……俺についてきたばっかりに、貧乏くじだったよなあ」
「いえ、奴は本来、冶金が本分。武力を扱うならば、次は私めをお呼び下さい」
そんな風に真剣な眼差しで言って来る、隣に控えてるタケミカヅチを見上げて。
「『メレンゲ』さんがその後どう成長したのかも見なきゃいけなかったんだったな。すっかり忘れてたぜ」
「いやっ、その話は、もう……。勘弁して下さい」
マジ顔から大照れに忙しく顔色を変えてるタケミカヅチが、ほんっとに人のいいおっさんにしか見えなくて笑っちまうんだけど。
――コイツ、マジ顔モードのときは一人で数千人の人間相手に『不敗』なんだよな。
さすが武神っつか、『絶対に人間を傷つけられない』って制限あるってのに、場数が違うっつか。
しかし、その愛弟子のはずの俺は、勇者とフヴィトルを相手にしただけで片腕はもがれるわ愛刀は盗られるわで、先が思いやられるぜ。
「ふう。さて……、そろそろ出かけるんだが」
「お供しましょうか?」
「アァ、いや、『神の血』使って移動すっから、――そうか。悪いけどタケミカヅチ、血を貰っていいか?」
「血を? 神の血は私にも流れてはおりますが……、言ってはなんですが、私は中位神、最上位神のシンディさまの血の力より劣りますぞ?」
怪訝そうに問い返したタケミカヅチに肩を竦めてみせて、俺はタケミカヅチの手を借りて立ち上がった。
「いや、解ってんだけどな。――次元超えて繋がってるシンディの血の力を使うと俺も同時に疲れっからよ、タケミカヅチの血を採って使えば、楽なんじゃねえのか、って思ってよ?」
なるほど、と得心した風にひとつ大きく頷いたタケミカヅチがいきなりその場で神鉄鎧パージして切腹しようとしたもんで、俺はそっちを止めるのに難儀しちまった。
そんなに、人間だったら死ぬレベルで大出血されたって飲みきれねえよ!
――――☆――――☆――――☆――――☆――――☆――――
「あーあ、やっぱ、あの獣人奴隷、ヤッちまうべきだったんだよ」
……聞き覚えのある声が、暗がりを超えた向こうの明かりの場所から聞こえて来る。
「なんだよお前、ああいうのが好みなのか? 豚や山羊に突っ込むようなもんだぜ、俺はおっ勃たねえなあ」
「ばっかやろ、首から上なんざ飾りだよ、見てねえのか? あの両手で余るサイズのでっかい乳をよ??」
「お前、ほんっとに乳フェチだよな? 確かに胸は大きかったが、ありゃ犬面族亜種の混血だ、乳も毛むくじゃらだぜ、きっと?」
「そこがいいんじゃねえかよ? 犬っころ程度なら何やったって自由だろ?」
「はっ、なるほどな! 頭いいなお前、次に会ったら適当に理由つけてあの獣人奴隷、連行するか? 確か、貴族御用達の高級宿に入ったはずだぜ」
胸くそ悪い兵隊どもの会話を聴きながら、俺は『奴らには見えない姿のまま』、ぱちぱちと音を立てて燃え盛る、中央の薪の周辺をくるりと回って周囲を闇に包む。
「――オマエらが次に会う機会なんか、来ねえけどな」
「誰だ!?」
一声掛けただけですぐに戦闘態勢を取れるのは、腐っても兵士ってとこか。
だが、……遅い、遅すぎる。
「なんっだ、からだ、しびれる……、毒か!?」
「ご明察。なかなかいい反応だな」
男どもが次々に剣や盾を手に持ちながらもその場で崩れ落ちたり立ち上がれなかったり、って惨状になってるのが狙い通りすぎて面白くなっちまって、俺は『吸血鬼の固有能力の霧化』を解いて。
周囲を囲むように分散させてた霧状の微粒子化してた自分をかき集めて、元の肉体を出現させた。
「ついでだ、<生命力吸収>もやっとくか。これやると吸った相手の寿命が減るんだが……、オマエらなら、消えても誰も気にしないだろ」
肉体を出現させた俺は、全身を黒ずくめの布でぎっちぎちに締めて目だけ出してる姿で、腰の後ろに一文字の小太刀一本装備してるだけの――、シィに言わせりゃ、『忍者』って格好でな。
「くっ、くそ、敵襲、敵襲だ! 敵襲ー!!」
「ツレねえこと言うなよ、今から忘れられない快楽を与えてやるってのによ?」
俺が奥に歩み寄りながら、手近に倒れてる兵隊たちから適当に身体の一部に触れるなり、みんな、びくん! って全身を痙攣させちまって。
絶頂に至ったみたいにだらしなくよだれ垂らして悶絶するのを見て怯えたらしい兵士たちが仲間を呼ぶように叫ぶけど、そりゃ無理な話だ。
「無駄な力使うなよ? 周囲一帯、円状に<沈黙>の膜で遮断してある、二重窓の原理だ。外に声は届かねえよ」
「二? 二重窓??」
説明してはみたが、案の定、兵士は意味が解らずに半分麻痺した身体で俺から少しでも遠ざかろうとして地面で後退りするばかりだった。
帝国は割りと北方国土で寒い地方が多いんだが、二重窓や二重壁とか断熱構造は一般的じゃねえんだよな。
金にゃ困ってねえんだし、前から考えてた水道も含めて、サーティエに頼んでる魔力実験の一環で――。
「断熱家屋や魔法の空調設備なんかも作成を試してもいいかもなあ? 一般人として、オマエ、どう思う?」
「たっ、助けてくれ! 命は、命だけは! 金ならほら、全部やるよ!」
「いや、金より欲しいもんがあってな。まあ、そりゃ、勝手に貰うんだけど」
一人だけわざと麻痺の掛かりを浅くしたってのに、命乞いするばっかに終始して戦わねえのがマジで笑える。
そいつに歩み寄る間にも、俺は他の兵隊たちからの<生命力吸収>を終わらせてて……、兵隊たちから奪った生命力は俺の血に織り込まれて、魔力ゼロの俺の中で、血流術の源として貯蔵出来る。
「俺の血を単独で使ったらすぐに疲れ果てちまうからな? オマエらみたいな、消えても誰も探さねえし悲しまねえ下衆が増えるってな、俺にも大助かりなんだわ」
「まっ、待て、待ってくれ!! ほら、金だ、金貨だ! 銀貨も、銅貨だってある、いや、水晶だって持ってる!! 全部やるから!」
「要らねえって、そんなはした金? これ、見えるか? 白金貨だ。これ一枚で、オマエの全財産の百倍以上だ」
ぴんっ、とその白金貨を男の方に指で弾き飛ばしておいて、男が宙を舞うその白金貨に意識と視線を移してるスキに、音も立てずに俺は男の背後に回って、後ろから男の背中に抱きつく。
「ひっ!? おっ、女かお前! 指名手配中の『左腕のない美少女』って、もしかして」
「顔も見えねえのにどうやって美少女だなんて判断してんだ? まあ、目はかなりいい方だが」
言いながら、男に接触してる右手の手のひらから少しずつ血の毒素を送り込んで、全身麻痺に導く。
――使い方が肝心なんだが、コイツは局部麻酔の要領で、意識を保ったまんまで身体だけを麻痺させることが出来んだよな。
「つーか、ガリガリ不細工の俺を美少女だなんて言ってる辺り、そりゃ一生見つからねえぜきっと」
「……!!? ?! !!!!」
「アァ、心配すんな。昼間の礼だ。――アユカの身体に傷入れたの、オマエだろ? 声ですぐに解った」
完全に全身が麻痺した男がだくだくに涙を流しながら、唯一自由に動かせる眼球をいっぱいに見開いてぎょろぎょろと周囲を見回して、全身から臭い汗を発散させてる。
「他の奴は<魅了眼>で支配するが……、オマエだけは別格だ。でも、ただ殺すのも勿体ねえからよ? 一滴も残さず吸い取ってやる。嬉しいだろ? 俺の中でずっと生きられるんだ、喜べよ」
「!!!! ?!?!?! !?!?」
「まァ、そんなに喜ばれると俺の方も照れちまうぜ。『じゃあな』」
耳元に吐息を吹きかけるように優しく言い置いて、俺は、口元の黒布を引き下ろして、後ろから男の首筋にがぶりと牙を突き立てながら、右手を男の心臓の上に置いて。
「!!!!!!!!!!!!!………………」
どくん、どくん、……とくん、とくん……、とく、とく……、とっ……、とっ……。………………。
男の鼓動が徐々に弱まるのと比例して、俺の中に、男の血の力が満ちて行く。
「噛み付いて飲むのと接触で皮膚ごしに吸い取るのとじゃ、どっちも力の増える量に大差ねえな。これなら、噛みつかなくても吸い取るだけは出来そうだ。――いい実験台だったぜ、ありがとよ」
完全に干からびた物言わぬ死体に変わった男に優しく声を掛けて、しわくちゃで死んでる男の額をぽんっ、と軽く叩いたら、その場で首が折れて落ちた。
けど、男の身体からは血の一滴も出血しなかった。当然だ、全部俺が吸い取ったんだから。
「どうも、物理的に吸い取り切れねえ血は<異次元収納>の方に移動してるみたいだな。こりゃいい収穫だった、血の魔力貯めるのに活用出来そうだぜ」
言いながらもう一度口元を黒布で覆って、周囲にもう一度<魅了眼>の魔眼で走査してやって……、視線が合った他の男達が、次々に起き上がる。
「――骨の一片も残さず食い尽くしとけ、俺らの宿には近づくな。少しはマトモに民衆のために働け、『命令』は以上だ」
「「「――『ご主人様』の意のままに」」」
夢うつつの状態で歌うように答えた兵隊たちが、俺の命令に従って、しわくちゃの男の死体に群がって乱雑な『食事』を始めるのを眺めといて……。
ものの数十分で着用してた鎧だけを残して死体が消えるのを確認して、俺はもう一度、全身を霧に変えてその場から消え失せた。
そういや、吸血鬼の固有能力をレムネアが羨ましがってたっけ。
こんな、残虐な殺人に特化した各能力を欲しがるなんて、おめでたいもいいとこだな。
こんな醜い吸血鬼の本能全開な姿はあいつらには見せられねえから、シィが居ない夜にしか出現させられねえが……、一応変装の一環で『夜闇に紛れる忍者』にしてみたけど、シィには一発でバレるんだろな。
サムライが居るならニンジャだって居ないと、なあ?
まぁ、適当にそんなことを考えながら、俺は霧状態のままで寝室の窓の隙間から屋内に侵入して、ベッドに横たわった姿勢で再度実体化したんだけど。
……この姿が後で意外な奴にバレるとは、思わなかったぜ。




