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転生したら王になれって言われました  作者: 澪姉
第三章 動乱篇
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52話 村民を大虐殺してやったぜ

相当にぼかしてありますが、グロい描写があるので読む前に深呼吸しといて下さい。

「これは交渉の結果でこうなってるんだから。殺しちゃ、だめよ?」


 そんな風に、苦しげに傷だらけの表情を歪ませながら、荒い息の下で俺を見るなり言ってきたレイメリアだったが……、生憎、俺の理性はその瞬間にはもう吹っ飛んでた。


「死んでるのか?」


「気絶させてるだけ。流石に、『こんな姿を実の娘に見られるのはイヤ』だからね」


 群がる村の男達に組み敷かれた地面に寝かされて、全身を男たちそれぞれの両手で拘束されてるレイメリアの姿は本当にぼろぼろで、着用してた革鎧も乱暴に引き剥がされて、下着なんかも跡形もなく破り捨てられてて。


「なんだ、お前!? またよそ者か!」


「お前もこいつの仲間か!」


「それなら、あの子供の仲間なんだろう!」


「アァ。エルガーのことを言ってんだったら、それで当たりだ」


 レイメリアを拘束してコトに及んでるどうやら村の男衆の一部が、口々に俺に向かって詰問して来るが。


 もう、殺すことが確定してるコイツらに俺は適当に返事して、それでも周囲の状況を把握しようと務める。


「被害は?」


「レムネアたちが少し殴られた程度よ。――重ねて『命令』するわよ? 殺しちゃ、駄目」


「俺がそいつを聞き入れるわけ、ねえだろ?」


「あら、聞くわよ。私なら、後でこの男たちを幾らでも利用出来るもの。それに……、っ!!」


 苦痛が発生したのか、急に顔をしかめたレイメリアが、目に涙を溢れさせて、それでも苦しい息の下から、俺に向けた言葉を続ける。


「これは『こいつらが正気に戻ったら、いい取引の材料になる』ことよ? 私はハインの正妻、それを忘れないで? ――殺してしまったら、足取りが掴めなくなるし」


「……全員を生かしとく必要はねえ」


 考えてみたら、妙な状況だ。


 被害者のレイメリアはすんげえ落ち着いて完全に状況を把握した上で、助けにやって来た俺に『助けるな』っつってて。


 そんで、それを実施してる男たちは新しく現れた俺の方に向かって来て服掴んだり責めるように口々に大声で怒鳴りつけて来るけど……、『予想通り』、俺の行動を阻止するほどには強くねえ。


 確かに、状況は切迫してるが……、その被害を一身に受けてるレイメリアが一番冷静に状況を把握してる、ってとこで、その光景を目撃して完全に頭に血が昇ってた俺も、原因を把握出来た。


「――レムネアたちは目を覚まさないよな?」


「たぶん。薬で意識を奪ったし、嗅覚の鋭いアユカは当然、薬の類に抵抗力が極端にない虚弱体質のレムネアもしばらくは起きないわ」


 両手をバンザイするみたいに頭の上に座ってる村人の男に拘束されて、両足を広げた格好で別の男に抱えられてる状況で、涙まで流しながらも全然普通に会話出来てるレイメリアもどこかおかしい、っつか……、場馴れし過ぎてる印象はあったが。



 ぽんっ! ごんっ、ごとん、ごろごろ……ばしゃばしゃばしゃっ!


「な……、あ、え?」


「えっ? あっ、あれ、なんで? 首、ないぞ?」


 俺が側に寄っても一身不乱に腰を動かしてた男の首から噴出した鮮血が、滝のように周囲に降り注いで。


「……殺しちゃ駄目、って言ったのに」


「皆殺しにはしねえ。それで妥協しろ。……それに」


 俺の左肩から一息で引き抜いた神刀を、その勢いのまま斜めに振り下ろして、男の首を一撃で刎ねただけだ。


「こいつら、交渉事の相手になるかも怪しい。――『<魅了眼>の下僕』になっちまってる」


 首のない男は相変わらずレイメリアの下半身に取り付いた状態で身動きしなくなってて、俺はそれがとてつもなく不快で、横合いから無造作に腹の部分に渾身の蹴りを叩き込んだ。


 刹那、首のない男の死体の腹に俺のブーツのつま先がめり込んで……、その背中を突き破って、吹き飛んだ内臓や血肉が周囲の男たちの全身に勢い良くぶつかってく。


 けど。


「違和感はあったのよ。統一意志みたいに、私達を襲うことが確定事実みたいに一斉に群がって来たし」


「言ったろ? 『<魅了眼>の下僕』だって。かなりの回数、エルガーに<魅了眼>を食らった奴らだ」


 予想通り目の前で仲間の首が吹き飛ぶ、なんて異常事態を目の当たりにしながらも、レイメリアの両手を拘束することを止めてないもうひとりの男の首も、腰の後ろから抜いた小太刀でぶった切る。


 組み敷かれたままで、新しく吹き出し始めた鮮血をも更に浴びることになったレイメリアは既に顔も身体も血に濡れて真っ赤で、俺はその身体の上に、脱いだ陣羽織をとりあえず被せてやった。


「言動は割りとまともなのに、行動がめちゃくちゃ鈍くて、そんで、その力が手加減なさすぎだろ? こいつら、反応は普通だが、行動が制限されてるっつか強制されてんだよ、術の主に」


「術者が近くに居ないのに?」


「薬物中毒みたいなもんで、術を掛けるときに言われた内容がずっと脳内で反響してて、強力な暗示になるんだ。――そんな使い方まで知ってるとは、思ってなかった」


 さっきまでの全力の怒りは急速に萎んで、俺は、どこか夢うつつな表情で俺のことをなじるように責め立てて来てる村人の男たちを、哀れんじまってた。


「術を解く方法はないの?」


「――ない。っつか、制御不能、なんだ」


 もう一度<魅了眼>で支配すれば、支配してる間だけは正常に戻ったみたいになるが……。


 暗示が抜けるわけじゃねえし、そのうち常時支配を続けないと会話も出来なくなっちまうし、その間隔はどんどん短くなって、ある一定の時期から死ぬより辛い禁断症状が出て来る。


 ……だから、俺は前世で、あいつらを、仲間たち全員を殺すことでしか救えなくて――。


《あたしは救われたよ、コテ兄?》


『……ああ、知ってる。でも、兄ちゃんちょっと忙しいから、今はちょっと黙っててくれ。――また、後でな?』


《はあい! たくさんお話してね♪》


 唐突に『俺の脳内に直接響いた、懐かしい声』に同じように思考で答えておいて、俺は周囲を見回して、深く、深くため息をついて。


「レイメリア。なんか思惑があったみたいだが……、俺はこいつらを、殺し尽くす」


「解ったわ。コテツの方が、症状を良く知ってるみたいだし。――殺さないと、救えないのね?」


「……ああ。他に方法を知らない」


「症状の軽い人間を生け捕りに出来る? 最後には殺していいから。情報が不足し過ぎてる、被害に遭った地域は広いんだから、毎度皆殺し対処は出来ないわ」


 察するに、レイメリアが求めてるのは『情報』だ。


 一応は元傭兵で現密偵、レムネアだって――、俺たちしかまだ居ないとは言っても、迷宮を攻略してる現役の冒険者で戦闘力はあるのに、こんな状況に追い込まれちまった強さの秘密を知りたいんだろうが。


「簡単に言えば、下僕で使徒になったから、催眠状態で身体の限界まで力を使えちまうんだ」


「限界の力……、火事場の馬鹿力、みたいなもの?」


「そんなもんだな」


 こんな状況で裸のレイメリアがぶるぶる震えながらも、状況にそぐわない、らしくない質問を続けてるのは、どうやら娘達の無事を守れた安心感なのか、それとも喋ってないと心の平静を保てないからなのか。


 でも、俺の方も、喋ってることでだんだん最初の怒りやエルガーの暴挙への動揺が薄れて来て、少しだけ冷静さを取り戻すことが出来た。


「ほら……、こんな風に、関節技で関節を固めたら、普通の男なら激痛で泣き喚くか、腕を引き剥がそうとして頑張ったりするもんだが」


 俺に向かって拘束を試みてしがみついて来る周囲の男たちの一人を、小屋に向かう途中の道でインダルトにやったみたいに、立ち関節で腕を極めて見せるが。


 ――そいつは、インダルトみたいに多少は痛がる声を上げたものの、インダルトみたいに拘束を外そうなんて頑張ったりせずに、そのまま俺へ掴みかかろうとする行動を継続して……。


 ぼきん!!


「……な? 状況把握がすげえ遅くて、そんで、本能の欲求のタガが外れてちまってる。『人間の形をした喋る魔物』なんだよ、もう」


「そう、なのね……。症状の軽い人や、まだ術に掛かってない人が居たら、助けなきゃ?」


 なんで自分の腕が折れ曲がって骨が突き出してるのかを理解出来ない風に、折れた自分の腕をじっ、と見つめてるその男の首を一撃で刎ねて、俺は少しだけ眉根を寄せて。


「助ける? 縁もゆかりもない奴らだぜ?」


「どんな形でもいいのよ。恩を売るか弱みを掴めば、盗賊ギルドがこの地方に進出する足掛かりになるし……、ただ殲滅したのでは、『私の苦労が丸損』よ?」


 ようやく落ち着いて来たのか、身体の震えをたぶん気合で止めて、散らばってた自分の革鎧を素肌の上から再着用し始めたレイメリアの言葉に、俺は肩を竦めてみせて。


「……<血癒(ブラッドヒール)>」


 女の身体になって、解ったこと。準備が出来てないのに無理やりされたら、女の身体は傷つくんだよな。


 俺に気づかれないようにか、座ったままで着けにくそうに革鎧の下履きを穿こうとしてるレイメリアに、俺は周囲で血溜まりを作ってる男たちの血を踏み締めた状態で、《血流術》を使って全身を癒やしてやる。


「なに、これ? 水魔法の<治癒(ネスタ)>とは違う術式ね?」


「俺らの独自術式(オリジナル・スペル)だ。《血流術》って呼んでる。魔力を含んだ血の力を使う術式で、俺とシンディにしか使えない」


「血の、魔力? そりゃ、人間なら誰でも魔力は持ってるでしょうけど……」


「言ったろ? 俺らにしか使えない。血液から魔力を取り出す、なんて技法、普通の人間にゃ、無理だからな」


 呑気に会話しながら、その間にも俺は周囲に群がってた男たちの首を刎ね続けて、レイメリアの全身が治癒する頃には周囲に動く人間は居なくなってた。


「ありがとう。先に、どこでもいいから、この子たちの安全を確保してから捜索に戻りたいわ」


「戻れるわけねえだろ。――しばらく、男に触れねえだろ?」


「……詳しいわね? そうよ、身体が勝手に反応して震えて来ちゃうわ。――生き残りの情報を集めるのは今後の安全確保と対策のためにも必須よ、頼める?」


 俺自身の知識じゃなくて、『俺の脳内に来てる妹の知識』だが……、俺は強く頷いて、とりあえず手近な空き家にレイメリアと気絶したままのアユカにレムネアを移動して、固く施錠した上で。




 ――色んな悲しみや哀れみを胸に抱きながら、俺は村民たちの大虐殺を開始した。



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