レアな敵は勝てるからこそうれしいんだよ
楓姉の光魔法『ライト』により照らし出されたそこは壁面に補強材など人の手が加わっていそうもなく、強い衝撃で崩れてしまわないか心配になってしまう
山腹にぽっかりと空いた洞窟であるが、他のプレイヤーも来ているのなら崩れることはないと祈ろう
「ほぉ、こりゃ発掘場所がわんさかあんな」
「そうなの?私にはただの壁しか見えないからそれが『スキル』の力なのかな」
どうやら他の人にはただの壁らしいが俺には壁の所々が光って採掘場所を教えてくれている
だが、岩の塊も採掘個所として現れるあたりこの洞窟の入り口だとロクな物は採れそうにない
「少し奥行ってから採掘するか」
「えー、品質悪くてもいいから一回武器作ってから奥に行こうよー」
「試作品用にクズ鉄があってもいいが、スキルレベル低いし奥の方でポロポロ混じってくるだろうから奥行くぞ」
戦いという戦いが出来ないからか不貞腐れているのはわかるが、クズ鉄で打ったのじゃ状況かわらんだろ
むしろ店売りのよりも品質悪くて足手まといになると思うんだがなぁ
「そんなにむくれないの。きっとナツちゃんが無償で刀を打ってくれるわよ」
「まて、刀は材料の準備手間取るから作れないからな」
「ナツ姉、無償で作るのは否定しないんだな」
ユキよ、何を言っている、材料調達でこれから酷使するから装備費くらい大目に見てやるわ
まぁ練習とか試作品とかで材料はかなり使うからインベントリいっぱいになるまで集めるか
「、、、あ、これ悪巧みしてる顔だ」
「大変だけど、悪いようにはならないのだから諦めなさい」
人聞きの悪いことだが、それよりも向こうの岩の塊だ
間違ってなければこっちに向かって来てるように思うんだが
「なぁ、洞窟内の敵って岩の塊だったりするのか」
「お、ナツ姉にしては詳しいね。1.5m位の岩でできたゴーレムらしいよ」
「結構強そうだけどどうするんだ」
「…皆逃げるよ!はしって」
猪突猛進気味な妹でも逃げ出すとはあいつなかなかやるな
とりあえず一発撃ち込んでみたけど全く効いてなさそうだしな
砲撃音を聞いて楓姉達も走り出したし俺もとっとと逃げるかね
「入口付近じゃ滅多にいないレア敵なのに…これがユキパワーってやつかな」
「俺にそんな力はない」
「おいおい、ユキは十分不幸属性持ってるじゃないか」
「だとしたらそれはお前らのせいじゃー」
ユキが必死でポカポカと俺を叩いてくるがPT間ではダメージを与えられないから痛くもない
逆に温かい目でそんな弟を見てしまう
「そいや、楓姉、適当に突っ走ったけどマッピング大丈夫か?おれマップが機能しないんだけど」
「大丈夫よ、書き込みにそういう風なものがあったから、頭に道順は書き込んでいるわ」
「さすが楓姉。頭の出来が違うね」
「もう、ナツちゃんだってこれくらいできるじゃないの」
平気な顔をして否定しているが満更でもなさそうなところを見るにマッピングは楓姉に頼んで問題ないだろう
ゴーレムから逃げた拍子にそれなりに奥まで突っ走ったから良い深度になっているだろうからここから掘りながら奥に進んで行こうかね
「ってことで、ここから採掘しながらいくから他の事は頼んだ」
「ゴーレムが来なければ平気平気」
通路の幅的にトカゲも細々と動けないだろうから二人なら問題なく対処できるであろうと思っていたが、思い違いじゃないようだ
これで心おきなく採掘が出来るというものだ
「それじゃよろしくな」
ピッケルは残り3つだから、一つここの辺で使いつぶして出てくる物によって移動は考えるかね
にしてもこう壁を適当に壊して崩壊とかしないものなのかね
スキルの力と言われればそれまでだけど、後々考えなしのせいで崩壊しましたとかいやだから検証してみるかね
プレイヤー:ナツ
スキル: 11(SP5)
『気配19』『回避5』『素早さアップ16』「隠密3」『察知6』
『魔法:火21』『忍び足20』『目14』『足17』『魔力回復9』
『採掘7』
プレイヤー:ユキ
スキル:10
『痛み軽減』『反動軽減』『衝撃緩和』『盾』『ガード』
『守り』『防御アップ』『足』『察知』『受け流し』
プレイヤー:ハル
スキル:10
『剣』『二刀」『素早さアップ』『攻撃アップ』『抜刀』
『足』『ダッシュ』『スタミナアップ』『腕』『受け流し』
プレイヤー:カエデ
スキル:10
『槍』『盾』『腕』『守り』『魔力回復』
『魔法:光』『目』『受け流し』『魔力アップ』『攻撃アップ』