五本場14
オーラスを前に、各人の点棒状況は以下の通り。
中野 二七六○○点
サラ 二六二○○点
板前 二五○○○点
七海 二一二○○点
暫定トップは中野だがラスの七海でも二万強持っているし、二○○○オールで逆転である。ドラが一枚でもあればテンパイ即リーツモ狙い戦法が効くし、安い手でも和了れば連荘だ。
はっきり言って配牌頼みである。打点よりも早さで闘う配牌が欲しい。
東四局オーラス、ドラ②。親は七海。
この回の明暗を握る、七海のその配牌は以下の通り。
一二二三八④⑤⑦88東南西發
何とも微妙な配牌である。ドラは絡まないし、役牌も鳴けない。せいぜいピンフだが、それもツモ次第である。
(せめてダブ東が重なれば……とにかく、和了りを目指すしかない)
入ったのは重い手であるが、配牌で落胆してもいられない。七海は八を切った。
配牌は重かったがツモは好調で、九巡目にテンパイした。
一二二三四④⑤⑥⑦88南南 8
④か⑦切りでペン三待ちのテンパイである。しかしどう見てもリーヅモ以外に役は見当たらない。とりあえずリーチを掛け裏ドラ期待という手もあるにはあるが、まず出和了りは出来ないだろうし、自分で一枚使っているためツモりにくい事山の如しである。
(リーチを掛けて相手を降ろす方法もあるけど……和了り目の薄い手でリー棒を出すのはあまり得策とは言えない……それよりも)
七海はテンパイを取らず、二を切った。
(8が暗刻だからピンフは無理にしても……)
七海は次巡、ドラの②をツモった。
(来た……!ドラがあれば嵌張でも構わない)
七海は一を切ってリーチを掛けた。
「リーチ!」
七海の下家の中野は七海の捨て牌を眺めていたが、小さく微笑むと、やがて手出しで現物を切った。
二巡後、七海は無事に③をツモった。
「ツモ!裏はありません。ドラ一で二○○○オールです」
自分のペースを取り戻せた七海は、無事に逆転勝利を収める事が出来た。
三回戦、起家は板前。
(クソッ、女が調子づいて来やがった?そうはさせるか)
サラリーマンは表情を変える事なく、そんな事を心中にしていた。
三回戦東一局、ドラ⑤。親は板前。
西家スタートの七海の配牌は以下の形。
四五七七九④⑥12459發
(手が復活してる……さっきの和了りのお陰です!)
ペースを取り戻した七海は手が付いて来ている。七海は初っぱなに3を引き、躊躇なく9を切り出した。
(女の手が動いてるな……高い手が入ったか)
サラリーマンは中野が切った南をポンし、中を切った。サラリーマンは北家なのでオタ風である。
(またペースを崩してやる)
南を喰って捨てた牌は二である。
(対々か後付け?だとしたらまだ役牌があるかも……)
五巡目、七海の手牌は以下の形。
四五七七②④⑥12345發 ⑦
(發を切って受けを広げたいけれど……)
サラリーマンの中切りを見るとどうにも白か發が対子臭い。七海は仕方なく②を切った。




