四本場31
東二局、ドラ①。親は沙夜。
八巡目、沙夜の手格好は以下の形。
二三四②③⑥⑦⑧23456 7
手は好いのだがツモが微妙にズレている。索子が重なればメンタンピンだったのだが、先に三面張が埋まってしまい、テンパイに取るのであれば単騎待ちになってしまう。
沙夜は一瞬③に手を伸ばしたが、息を少しだけ吸い込むと、落ち着き払って胸を反らした。
(ここでテンパイに取ったら平和も三色も無くなる……)
沙夜は少しだけ考え、そのまま7をツモ切った。
次巡沙夜は6をツモった。
「リーチ」
高め安めはあるが、メンタンピン三色のテンパイである。安めでもドラだし、五八○○以上は確定のリーチである。
「ノッてるなセンパイ」
中野は言いながら現物を切って来る。満貫を和了った後の親リーとくればおいそれとは打ち込めまい。皆やはり固く守って来る。
「あ……ツモ」
沙夜は①をツモり、手を倒した。
「裏ナシ……二六○○オール」
高めは逃してしまったが単騎待ちでリーチを掛けるよりは遥かに理にかなっていたはずだ。何が何でもテンパイに取る必要はない。一旦後退するという判断が必要な時もあるのだ。
「うーん沙夜ちゃん絶好調だねぇ」
木村は頭をかきながら点棒を差し出した。先ほど逆転負けを喫した為か悔しいらしい。
東二局一本場、ドラ中。親は続けて沙夜。
木村の打ち筋を見ていると、どうにも鳴きが苦手と思われた。恐らくは役をすべては知らず、とりあえずリーチさえ掛けておけば間違いは無いと考えているのであろう。
奥方は一回戦で見せた純チャンを蹴っての赤ドラを使った和了りを見ると、恐らくは木村より雀力は上だと思われる。
加えて元々あまり動きのない中野が同席である為、沙夜が鳴かなければ極々静かな卓である。
「ん、ツモった」
七巡目、不意に中野が手を倒した。
六七八八八③⑤⑧⑧⑧123 ④
「五○○・一○○○の一本場と、一枚オール……だな」
役自体はツモのみである。両面になるまでリーチは待っていたが、先にツモってしまったパターンであろう。親は流れてしまったが、点差には余裕があるし、沙夜は点棒とチップを差し出して牌を流した。




