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一本場8

 中野は技ありで逆転勝利を納めた。半荘精算らしく、各々に現金を卓上に差し出した。

「ごめんマスター、ラス半で」

 七三頭サラリーマン風がラス半宣言した。その席が空くということになり、おのずと七海がその席に着くということになるだろう。

「お嬢ちゃん打つかい?」

「……打ちます」

 一見無駄が多いように見える中野の打ち筋だったが、結果的には逆転した。七海にとって中野の打ち筋は邪道であり、それを思い知らせようといきり立っているのである。

 部に勧誘するかどうかはともかく、個人的な感情がどうしても中野の打ち筋を否定するのである。七海はサラリーマンが抜けた席へと着いた。

「じゃ、ゲーム代よろしくね」

 そう、雀荘ではゲーム代が徴収される。支払い方法は店によって異なる。普段打つときにゲーム代など払う習慣のない七海は、他のメンツが三百円ずつ出しているのを見て、慌てて自分も支払った。


 さてメンツを変えての再開である。七海は中野の対面である。前回和了った人が仮親となるため、中野がサイを振った。出目は八、七海の下家が起親である。

 さて勇んで参加したは好いものの、普段の麻雀とは違いルールに違いがある。部では三〇〇〇〇点持ちの三〇〇〇〇返しであるが、ここは二五〇〇〇点持ちの三〇〇〇〇返しである。プラス御祝儀ルール、更に1-2のウマがある。

 仮にマイナス20というスコアで終了した場合を考えると、ウマを加算してマイナス40、それで四千円、さらに御祝儀が五百円ほどは動くと見て好いだろう。多めに見積もれば半荘一回で五千円は動く可能性がある。

 そんな風に考えて、初めて七海はふと不安がよぎった。

(いえ……要は負けないように打てば好いだけ。気負いする必要はない)

 東一局、ドラは二。七海は深呼吸を一つして、配牌を開けた。


二三六八④⑥⑧233東北白


 とりあえずはタンピン系であろうか。しかしカンチャンが多い。ドラがあるとはいえ待ちが両面にならなければどうにもリーチは掛け辛い。こうなれば上手くタンヤオか平和に伸びてくれることを祈るだけだ。

 七海は五をツモると、北を切った。


 それなりに有効牌を引くことが出来、四巡目に以下の形になった。


二三五六八④⑤⑥⑧2334 二


 ドラを重ねて二向聴。こうなればドラ側の三を切っておくのが得策だ。筒子の⑦を引ければラッキー、それか索子の好形を活かしての平和だ。

 七海は予想外に好い手の進捗具合に面喰らったが、ドラ表にある一引きは考慮しないことにし、三を切り飛ばした。

 中野は七海の三切りを一瞥し、下家が切った後ツモると、わずかに考えた後、四を切った。

 八巡目、七海はテンパイした。


二二五六④⑤⑥⑧23345 4


 タンピンドラ二の好テンパイ。リーチを掛けずとも満貫だが、先制が取れればリーチでプレッシャーを掛けるのも好い。ツモるか裏ドラが乗ればハネる。七海は相手の出方を窺う意味でも、リーチを掛けることにした。

「リーチです」

 ⑧で曲げ、千点棒を卓に置いた。

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