四本場28
中野の仕掛けが効いているのか誰もリーチを掛けたりせず、淡々と局が進んでいく。このまま流局かと思われたが、不意に木村が手を倒した。
「ああ好かった、ツモったよ」
六六六七八九①②③678北 北
「ツモドラドラ……一○○○・二○○○かな」
木村はドラ単騎をツモったようだ。
「中野くんにドラは切りにくいなって思ってたら上手くツモれたよ」
「うーんダメだったか。今日は木村さん夫婦が絶好調だな、センパイ」
「ん……」
中野は沙夜に振って来たが、沙夜は特に返事もせず牌を流した。
東四局オーラス、ドラ東。親は木村。
現時点での点棒状況は以下の通り。
中野 一四九○○
奥方 三七四○○
沙夜 一六九○○
木村 三○八○○
木村夫婦の独占状態である。木村は二○○○オールをツモるか三九○○の直撃で逆転トップになる。経験豊富な麻雀部の二人はかなり厳しい状況にある。沙夜は跳満ツモか満貫を木村に直撃で二着、トップを取るためには倍満を直撃するしかない。
沙夜が狙える現実的なところとしては、木村に満貫直撃の二着だろうか。
「ポン」
三巡目、不意に中野が奥方が切った9をポンした。ポンして切ったのはオタ風の西である。
(9ポン……?ドラの東がある……?それか二○○○点の手でラス抜け……)
中野と沙夜の点差はちょうど二○○○点であるため、中野は二○○○点のロン和了りでも上家取りで三着になれる。
捨て牌からして染めてはいないようである。となると三元牌の暗刻プラス赤ドラ、あるいは東が枕、または東の刻子で満貫狙い、といったところだろう。
「⑦チー」
その二巡後、木村が切った⑦を⑤⑥でチーした。やはりこうなれば役牌での和了が濃厚である。まだ場に二枚以上見えていないのは、ドラの東と中である。
そんな切羽詰まった状況で、沙夜の手牌は以下の形になっていた。
四四五五七八②③③23東中 2
メンタンピンを仕上げたいこの状況でよりによって東と中が浮いていた。もちろんこの二枚を叩き切って和了りに賭けるという手もある。
しかし、4や六辺りではなく2のツモである辺りが胡乱である。
沙夜はわずかに考えた後、仕方なく七対子に移行するため自分が二枚使っている③の外側である②を切った。
(七対子……)
沙夜は②を切りながら、自分の思考に面喰らった。




