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四本場26

 沙夜の配牌は以下の形。


三三八八①②②4455南發


 ドラは無いが何と配牌で七対子の一向聴である。早めにテンパイ出来れば、余り易い字牌や②が薄いため①での出和了が期待出来る。

 しかし、である。

 沙夜は七対子を狙って和了った経験がほとんど無かった。攻守兼用の役である事は分かるが、どの牌を残せば好いかを考えるのは苦手だからである。

 メンツ手であれば基本的には両面を選んだり役の付く方を選んだりすれば好いのだが、七対子だけは運である。他家の捨て牌から山にある牌を読む事は多少可能であろうが、それも中盤に差し掛からなければ難しい。

 沙夜は第一ツモで④をツモり、ツモ切りでも字牌切りでもなく①を切った。

 そして四巡目、一向聴となった。


三三八八②②③④44556


 七対子でもメンツ手でも一向聴である。そうこうしている内に木村から八がこぼれ、沙夜はすかさず鳴いた。そして②を切った。これでタンヤオドラ一のテンパイである。

 そしてすぐに沙夜は3をツモった。

「ツモ、五○○・一○○○(ゴットー)……」

「おっ、早いなセンパイ」

 沙夜は得意の速攻でわずか六巡で和了ってみせた。七対子に行けば跳満も狙えただろうが、それでは時間が掛かる。自分にしてみれば、鳴いてテンパイなのであればそれが好い。

「うーんこっちも好い手だったけどなぁ」

 木村は残念そうな雰囲気で手を伏せた。東風戦なのだからあまりの長打狙いは不利である。そういう意味で、東風戦は沙夜の得意分野ともいえるであろう。

 東二局、ドラ八。親は奥方。

 奥方は所作が美しく、姿勢も好く見ていて雅やかであった。こんなはんなりな麻雀を打てるのは、沙夜が知っている限りでは麻雀部部長の彩葉くらいのものである。

「リーチしますね」

 七巡目、奥方はしなやかな指先で千点棒を供託した。親リーを掛けた奥方の捨て牌は以下の形。


西六⑧四發8

(リーチ)


 真ん中の出が早いため、チャンタか七対子のように見える。索子の偏張を払っているという事はチャンタよりも七対子だろうか。親リー一発目というプレッシャーだが、沙夜は落ち着き払って安牌の西を切った。木村も中野も安牌でリーチに合わせている。

「あら、ツモりました」

 九巡目、奥方は手を倒した。


一二三①②③④()⑦⑧⑨99 ⑥


「裏はありません。六○○○と一枚オールですね」

 赤を使った見事な平和一通である。

「89が手出しって事は、純チャンテンパイだったんじゃ?」

 中野は手を伏せながらそんな事を訊いてきた。

「純チャンに受けると赤が余ってしまうので……不確定な純チャンよりは、赤を活かしたいと思ったんですよ」

「へぇ、優雅ですね」

 六○○○と一枚オールである。物静かな奥方だと思っていたが、いや、むしろ物静かだからこそ単なるイケイケではない麻雀が打てるのだろう。

 沙夜も少なからず感動を覚え、点棒と一枚を差し出した。

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