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四本場25

 沙夜のパンテーラはさておき、沙夜が階段を昇り終え、木村に案内された部屋の中には、何と全自動卓が据えられていた。規模の大きい公式の大会ともなれば配牌まで完了する最高級の自動卓で打てるが、その部屋にあったのはやや旧式の卓であった。しかし家族麻雀ならば充分であろう。

「自動卓……」

「中野くんに頼んでね、安いヤツで好いから探してもらってたんだ」

「ちょうど好い出物があったからな」

 沙夜のスカートの中を守るために遅れて中野が階上にあがって来た。確かに中古であろうが、大きな傷みもなく上物のようだ。

「僕も本格的に覚えようと思ってさ」

 なるほど、昼間に姿が見えないと思ったらこれの据え付けのためであったのだろう。

「あらあら、皆お揃いね。ようやく打てますね」

 階下から木村の奥方が現れた。やはり四人目は奥方らしい。

「ん……ルールは……?」

「うーん、僕はよく分からないんだよね……どうするのが好いかな?」

 そう、打てはするものの木村は細目について疎く、経験者の二人に意見を求めて来た。

「アリアリの東風か半荘戦で好いんじゃないかな?なあセンパイ」

「ん……それが好い……と思う」

 ナシナシにすると慣れない者がチョンボしてしまう可能性が高くなるため、初心者でも動きやすいアリアリルールが妥当なところであろう。

「ところで……賭けるかい?」

「そうですね……俺は賭けた方が盛り上がると思いますが……センパイはどう?」

「ん……勝負には必要……」

 沙夜は物静かながらも闘志を見せているようだ。

「どのくらいにする?」

「まあ点五のワンツー、御祝儀一枚二百円がとこが妥当じゃないですかね」

 トップで三千円ほどである。

「じゃあ東風か半荘のどっちにするかだね。半荘にすると終わらせにくくなるから、東風戦にしようか」

「分かりました」

「ん……分かった……」

 アリアリ東風戦、点五のワンツー、一発赤裏ドラで御祝儀一枚というルールでスタートとなった。


 中野の勧めで御祝儀用のチップも購入していたらしく、やや厚手の上等なチップが一人頭二十枚配給された。席順は起家が中野、後は奥方、沙夜、木村の順番である。前回は奥方が風邪を引いたという事で同席が出来なかったが、手付きを見ている限りでは特に初心者というわけでもなさそうである。

 東一局、ドラ③。親は中野。

 わざわざ自宅に自動卓を購入してまでも麻雀を覚えたいという木村の気概には、沙夜もある意味感動していた。いくら中古とはいえポンと買える額でもないだろうし、普通なら手積みでも構わないはずだ。

 まあ買ったのは木村であるし、沙夜は細かい事を気にせず、麻雀に意識を戻した。

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