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四本場10

 店内には西日が射し込んでいた。オレンジ色に染まった室内はどことなく玄妙な印象を受ける。

「ルールはアリアリの東風戦、レートは点五、ウマが1‐2、一発と裏ドラ、門前赤でご祝儀百円……役満は五枚の十枚。場代はサービスだ」

「分かった、大丈夫だよ」

「いつものルールですね」

「……」

 葉山のルール説明を受け、四人はそれぞれに了解したようであった。場決めの結果、葉山、中野、沙夜、木村となった。

 木村から頼まれて今日この場を訪れた沙夜であるが、木村がどの程度打てるのかは一切知らなかった。和了り形も知らないというほど素人ではないと思うが、普段世話になっている手前あまり勝ち過ぎるのも考え物である。

 それより問題は、中野がこの場に参加するという事であった。

 先日の麻雀で沙夜の中に中野への苦手意識が刷り込まれてしまい、何となく敬遠がちに思ってしまうのである。

 配牌のとりかたを見る限り木村は対局の流れは把握しているらしいが、手付きは素人そのものであった。

「久しぶりだねぇ牌を握るのは」

「木村さんよ、ケーキと違って、自分の思い通りには作れんぜ?」

 葉山は笑いながら冗談めかして皮肉を言った。中野も声こそ上げなかったものの口元は笑みを浮かべていた。

「ははは、手加減頼むよ皆」

 普段の温厚な木村の表情のまま、対局がスタートした。

 東一局、ドラ③。親は葉山。

 葉山はほとんど悩む事なく第一打に9を切った。中野も理牌する様子もなく、ツモってすぐに北を捨てた。

 沙夜の配牌は以下の形。


一二二四()②⑧⑨57東東南


 微妙な配牌である。東の対子は好いとして、順子の入り目がかなりキツい。鳴くにしろ門前にしろ、よほどツモに恵まれないと和了れまい。沙夜は④をツモり、少し考えて一を切った。

 木村はというと、まだ理牌に手間取っており、ようやく終えて山に手を伸ばした。

「ゴメンゴメン、並べないと分からなくて……」

 木村はツモった牌を見て、更にそこからまた考え出した。

「うーん、これかな」

 たっぷり八秒は考え、切ったのは白であった。

 いきなり役牌切りとは、セオリーならばそれなりの手が入っていると読む。しかし手付きからして、単純に浮いている牌を切ったという程度ではないか。

 店長には世話になっているが、こと麻雀に関しては接待するというわけには行かない。

 沙夜は四巡目に葉山が捨てた東を鳴いた。そのおかげか、入り難いと思われていた急所を上手くツモる事ができ、七巡目でテンパイした。

「ツモ、五○○・一○○○……」


二二四()⑦⑧⑨567(東東東) 三


 テンパイして即ツモる事ができた。初っ端の流れとしては上出来である。

「ええと、いくら払うんだっけ」

「木村さんは五百点だよ、緑色の点棒一本」

 木村は葉山から指南を受けてようやく点棒を出した。どうにもペースが狂ってしまう。沙夜は全員から点棒を受け取りながらそんな事を考えていた。

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