表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/193

三本場7

 東一局、ドラ發。親は高橋。

 夕貴はいささか緊張していた。言うまでもなく雀荘に来ることが初めてであり、見ず知らずの人間と実際にレートの上で打つのである。中野が気を利かせてこの場をセッティングしてくれたのはありがたいが、やはり止めておけば好かったかも、と多少後悔していた。

 まあ雀荘デビューはともかく、赤ドラを使って打つのも初めてであった。要するに、単純にドラが三枚増えているわけで、しかもそれに付随するルールもある。

 部活で打つルールはほとんどの場合素点が物をいうが、このルールでは一体どんな打ち筋が有効なのだろうか。

 きっと彩葉辺りはすぐに要領を掴むのだろうが、自分はまだ点数計算すら万全ではないのだ。その辺りを考えて打つという器用な事はできない。

 とりあえず感覚を掴まなくては、と、夕貴は深呼吸をして配牌をめくった。


一二六八③⑤⑨67東南西白


(うわ、バラバラ……役牌頼みだよこれじゃあ)

 タンヤオや平和も厳しい配牌である。役牌が重なれば鳴いて行けるが、恐らくは好いところテンパイまでであろう。よしんば和了れてもドラが無いのであればノミ手である。

 夕貴は重要な対局であるにも関わらずツキの無さに落胆した。第一ツモは四、夕貴は⑨を切った。

「リーチです」

 八巡目に村上がリーチを掛けてきた。捨て牌はこう。


9南西白②①

リーチ


 筒子と一は手出しである。一をギリギリまで持っていたということは、二か三の対子がある可能性が高い。①②の偏張よりも⑨を後に出しているということは筒子の上目がメンツになっているのだろう。となれば、索子の真ん中か、萬子の上目が怪しい。

 とりあえず一発を避けるため、夕貴は溜め込んでいた字牌を切り崩した。

 そして三巡後、村上は手を倒した。

「ツモ、リーチ赤で一○○○・二○○○の一枚オールです」


三四()六七八九⑦⑧⑨345 九


 待ちの読みはほぼ正解であるが、一切りでリーチということは一通テンパイしていたのではないだろうか?恐らく⑧⑨⑨とあるところに⑦をツモって⑨を切ったのだろうが、索子は早い段階から完成していたようだし、⑦をツモ切って萬子の引きを待てば嵌二待ちで一通だったはずだ。それを捨てての三面張。

 確かに和了るだけなら三面張の方が有効なのは言うまでもないが、一局目なのだから後々の展開を考えれば打点を高く狙った方が好いのではないだろうか。

(うーん、東風戦ってやっぱり打点よりも速さ、なのかな)

 夕貴は点棒を差し出した。

「センパイ、チップも出さなきゃ」

「あ……」

 テレビなどで好く見る、カジノで用いるチップがサイドテーブルに置かれていた。五百円玉より一回り大きいそれを、夕貴は一枚差し出した。

(あ、なるほど……なんで一通捨てたのか分かった。ツモってチップを三人からもらう為なんだ)

 ピンのワンスリーならトップは五千円か六千円くらいだろうが、チップ一枚五百円なのだから十枚程稼げばラスを引いてもチャラになる。

(ここに来る前に後輩くんが言ってたな、チップをいかに稼ぐかのルールだって……)

 となると、やはり単純な素点狙いでは最終的に金額で負けてしまう可能性がある。この辺りの押し引きに妙味があるらしい。

(一発と、赤ドラと、裏ドラを、ツモで狙って行く……か。となると)

 夕貴は考えを巡らせながらサイを振った。

(まず目に見えて狙えるのは赤ドラ……一発と裏ドラは自分ではどうしようもないし、赤ドラを上手く使わなきゃ)

 東二局、ドラ4。親は夕貴。


四五()①②④⑤⑦⑧35西白 ②


 先程とは一転して好配牌である。タンヤオも平和も狙えるし、赤ドラが一枚あるためチップ狙いも可能である。

 夕貴は西を切った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ