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二本場9

 東三局、ドラ2。親は中野。

 これまで中野はほとんど仕掛けていなかった。となるとこの親番で差を詰めて来るのだろうか?先程の彩葉のスコアを上回らなければサシウマの負けになってしまう。

 彩葉は七巡目に以下の形になっていた。


五五六②③④⑤⑥234中中


 同巡に紳士風が中を出したため、もったいない手ではあるが彩葉はサシウマ相手の親を流すためにその中を鳴いた。

「ポン」

 六切りで①‐④‐⑦の三面張である。テンパイ直後、中野が①を切ってきた。

「ロン、中ドラ一で二○○○点です」

「ん、張ってたか……」

 中野は悔しげな表情を浮かべ、点棒を差し出した。どうやら好手だったらしい。これでサシウマ相手の親を流せたし、後は早和了りで勝ち抜ければ好い。余程のことがなければ勝利は安泰である。

 オーラスを前に、四人の点棒状況は以下の通り。


紳士風 二三○○○

彩葉  三○○○○

中野  二○○○○

老人  二七○○○


 トップは彩葉である。仮に中野に跳満直撃を喰らってラスになっても▲32、一回戦の貯金と合わせれば+24である。中野が+42、一回戦が▲23であるため+19である。

 つまり跳満までなら振ってもサシウマで勝てるというわけである。

(どうやらサシウマの勝ちはもらったようです……)

 彩葉は内心ほくそ笑んだ。

 東四局オーラス、ドラ五。親は老人。

(後は配牌が好ければ……)

 早和了りの配牌を願い、彩葉は手を開いた。


三三六七九③④⑥468東發


 絶好ではないが平和系の配牌である。もしくは喰いタンでも好いだろう。彩葉は八をツモり、東から切り出した。

「ん……リーチ」

 迎えた十巡目、この店に入って初めて中野がリーチを掛けて来た。彩葉は思ったよりも手の進捗度が悪く、そこでようやく一向聴であった。


三三六七八九②③④⑥678 ⑦


 紳士風が切った後、彩葉はテンパイした。六か九切りで⑤‐⑧待ちのタンピンである。彩葉は中野の捨て牌に目をやった。


西發①3白⑨

二9東(リーチ)


 とりあえず極端な色の偏りもなく、タンピン系の捨て牌に見える。リーチ牌はドラである。

(ドラ切りリーチ……二はツモ切りだったから、恐らく萬子の上目が怪しい。スコアで勝つには倍満が必要だけど、最高に入っていたとしてもメンタンピン三色一盃口、裏ドラが二枚乗らない限りは逆転は出来ない。六九は思いっ切り裏スジですが、ここは勝負です)

 彩葉は勝つために、勝負牌の九を切った。

「ん……一発」

 中野は言いながら、手を倒した。

(やはり九は当たり牌……でも跳満までなら)

 中野の手は以下の形であった。


四四七八⑤⑥⑦234567


「リーチ一発平和……裏はナシだな。三九○○だ」

 一応安めに振っていることになるが、彩葉は捨て牌の違和感に気付いた。

「これは八を切ってリーチすればタンヤオ三色ドラ一だったのでは……」

 彩葉はそう言ったが、中野は返事をせず、アリスを開くため王牌に手を伸ばした。

 一枚目が、何と八。二枚目が四、三枚目が⑤、四枚目が⑥、五枚目も⑥、六枚目が3、七枚目が2、八枚目が北であった。

「一、二、……計八枚だな。アリスは四千円だよ、部長」

「なっ……」

 彩葉はさすがに驚いた。もし三色に受けて八を切ってリーチしていればアリスはなかったことになる。

「アリス八枚なんてそうそう見んなあ」

「これは幸運ですな、三色に受けていれば乗らなかったということですからな」

 他の二人も驚いているようである。しかし、さすがにこれは幸運で片付けられるような簡単な話ではない。明らかに何らかの作為を感じるが、とりあえず二回戦は終了となった。

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