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一本場23

 南四局オーラス一本場、ドラ九。親は中野。

「チー」

 局面が動いたのは三巡目であった。七海が捨てた一を中野がチーした。

(チャンタか混一色?親は二九○○和了ればトップ……あるいは役牌とドラ、そんなところでしょうか)

 どちらにしても両面で鳴いたのならば早いに違いない。七海は少々焦り出した。

 そして十一巡目、夕貴が捨てた五を中野がポンした。ポンして切ったのは發である。

(發切りということは混一色?さすがにテンパイしてるはず……)

 それを受けて七海は手牌を確認した。


三四五六八九⑤⑤⑥⑦68白 七


(出来れば九か白を切ってタンヤオにしたいのに……いくらなんでもドラは……仕方ない、手は遅れるけど一通狙いで……)

 七海は8を切った。

「……ポン」

「えっ?」

 思わず声をあげたのは七海であった。8をポンすれば混一色はなくなってしまう。後考えられるのは役牌のみになってしまう。

 場に見えている役牌は、東が二枚、發が一枚、中が一枚である。白は手持ちに一枚、南は全く見えていない。

(あるとすれば南の暗刻?もし対子であったなら出た時点で鳴いているはずだから三元牌のシャボは考えにくい……南暗刻で、待ちはどこかの単騎……もしかしてドラ?)

 南が暗刻だとしても南のみでは二○○○点、積み棒を考えてもツモられなければ逆転されない。しかし字牌はマークされているだろうし、それを上回る程の迷彩が効いた単騎待ちがあるのだろうか?

 それよりも考えられるのが、南と何かのシャボ待ちの可能性である。例えば南と白のシャボ待ちであればどちらをツモっても逆転である。つまり、本来ならば先に役牌を鳴いてどこかの両面待ちという形にしたかった、というのが本線ではないだろうか?

 しかし中々鳴けないため和了れる形に持っていくのが精一杯だった……どちらかというとこちらの方が自然である気がする。

 もし先に役牌を鳴けたなら恐らくはドラが使える待ちで待とうと考えていたはずである。三十符一翻では積み棒を入れても一八○○点にしかならないため、直撃しない限りは逆転は出来ない。やはりドラが必要になる。それを更に引き伸ばして考えれば、南暗刻だとしてもやはり待ちはドラ近辺になるのではないか。

 連荘狙いと考えられなくもないが、役牌以外を三副露もして一翻を狙うだろうか?

 やはりこの局で決められる手が入っていると考えるのが妥当だ。

 となると、やはり南暗刻のドラ近辺待ち、あるいは役牌同士のシャボ待ちでツモ狙い、このどちらかであろう。

(それなら……)


三四五六七八九⑤⑤⑥⑦6白 ④


 七海は6を切った。そして十四巡目に白を重ねた。

(これは当たれない牌……)

 七海は五を切った。中野がポンしているため単騎待ちは有り得ないし、順子の待ちなら役がない。

(このまま流局させれば……)

 もう少し耐え切れば流局である。和了り連荘だからテンパイしているだけでは終了である。

 七海がそう考えていた終了間際、中野がいきなり手出しで中を切って来た。

「あっ、ポン!」

 二枚目の中を鳴いたのは、夕貴であった。ここに来て夕貴はテンパイを取りに来ているようである。そして夕貴が切ったのは、初牌の南であった。

 これには七海も緊張し、中野の表情を窺うが、中野は眉一つ動かさず、代わりに指先を動かした。

「……ポン」

 そして切ったのが、ドラ側の八であった。

(ここで手出し?南南八中に何かをツモって中を切った?まさか南を出させるために……)

 しかしいくら裸単騎に受けてももう和了れるはずはあるまい。七海の思った通り、中野は和了れず、そのまま流局となった。

「テンパイ」

「テンパイ!」

「ノーテン……」

「ノーテンです」

 テンパイしていたのは白の単騎の親の中野と、中を鳴いた夕貴であった。

「ならこれで終了ですね。ノーテン罰符を払って、点数を申告して下さい」

 彩葉に促されるまま、全員点数を数え始めた。


 夕貴が三○○○○点ちょうどの±0、沙夜が二八五○○点の▲1.5、七海が三○七○○点の+0.7、そして中野が三○八○○点の+0.8であった。

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