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一本場19

 東四局一本場、ドラ白。親は中野。中野にここまで目立った仕掛けも和了りも無く、その打ち筋には技量の高さが窺えるもののこれでは負けてしまう。

(いくら巧く打てても負けるのが麻雀……それは仕方がないのですが)

 彩葉は脚を組んだ状態のまま、膝の上に肘をつく体勢を止め、今度は両手を胸の前で組んだ。さすがに同じ体勢を取り続けるのは疲れるらしい。

(この親番で何か見せて欲しいものですね?)

 彩葉の期待が込められた中野の配牌は以下の形である。


一三④⑥⑥⑧3399南發中 東


 お世辞にも好いとは言えない三向聴である。ドラも無く、喰い仕掛けを行うにもせいぜい対々和くらいである。七対子にしても好いところ一向聴まで辿り着けるかどうかだろう。

(先ほどから見ていて思いましたけど……中野くんには流れが無いのでしょうか?手成りで打って親に打ち込み、好いところをツモったかと思えば回さざるを得なかったり……)

 配牌やツモに寄り添って気持ち好く打てる流れが来ていない。典型的な不ヅキの症状である。

(いえ、むしろこの悪い流れをどうするか……そっちの方が見物かも知れませんね)

 彩葉の思惑を乗せて、中野は南を切った。

 二巡目にドラである白を引いた。中野はほぼノータイムで一を切った。同巡、夕貴が切った9を迷わずポンした。

(七対子は放棄、タンヤオも無くなった……対々和でしょうか)

 それにしても三対子から対々和とは少々強引過ぎるのではないか。中野は三を切り、夕貴の捨てた9を拾って晒した。

 中野の無理仕掛けを受けて、手を止めたのは七海であった。

(あの巡目で9ポン?一三と切っているからチャンタでもない……ドラの白を抱えている?)

 七海の手牌はこう。


三三四四②④④⑤667白發 五


(さっさと字牌を切りたいところですが……まさかまだ張ってないとは思いますが、万が一を考えて七対子も見ておくしかないですね)

 七海は嫌々ながらも②を切った。

(及川さんが受けに回った……なるほど、役牌を絞らせて手を遅らせるのが狙いなんですね。確かに競技ルールでは役牌の絞りがキツい。それを利用したわけですね)

 和了りを取るまでの過程より振り込まないための過程を見ている方がはるかに面白い。彩葉はまた、組んだ脚の膝の上に肘をついて頬杖の体勢になった。

 中野は十三巡目に⑤を④⑥で鳴き、最後のツモで形式テンパイの形に持っていった。


⑥⑦⑧33南白(④⑤⑥)(999) 南


 ここから白切りで流局である。

「テンパイ」

「ノーテン」

「ノーテン……」

「……ノーテン」

 結局七海も他の二人も下ろされたらしく、中野の一人テンパイで東四局は流局した。下ろされたことに気付いた七海は先ほどよりも表情が険しくなっている。手の内が読めるにしても、あくまで状況から導き出した推測に過ぎないためそれが本当なのかブラフなのかまでは見抜けない。七海は好いようにやられているのが気に喰わないらしい。

 中野の一人テンパイで東場は終了、一周して南場に入った。

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