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七本場14

 しばらく階段を降りると、不意に話し声が聴こえて来た。階段を降り切った先は若干の長さの廊下になっており、その突き当たりにドアがあり、その脇に人影があった。どことなく見覚えのあるその体格から、夕貴はその人影が中野である事を悟った。

「おっ、先輩来たな」

「あっ、後輩クン……好かった、ここで合ってたんだ」

 中野が立っている場所には、壁に入り込むようにしてスペースが設けられており、『OPEN』の文字が光る卓上電飾看板が置かれているそこは受付のカウンターとなっているようだった。その中にいる人と中野は談笑していたようである。

「先輩、さっき渡したチケットここで渡してもらえるかな」

 中野に促されるまま、夕貴はスクールバッグのポケットに入れておいたチケットを取り出し、受付に座っているスキンヘッドの筋肉質な男性に差し出した。

「はい確かに。中野くんトコのバンドで好いのかな?」

「はい、お願いします」

 スキンヘッドの男性は夕貴から受け取ったチケットを伝票差しに突き刺し、代わりにカウンターから小さなキーホルダーのような物を取り出して夕貴に差し出した。

「これを中のバーカウンターに渡したらワンドリンクもらえるから」

 それは正三角形の形をした、ギター演奏に用いるいわゆるギターピックと言うヤツで、それに穴を空けてボールチェーンを通してあった。表面には『insideHEAVEN』とロゴが銘打たれている。

「俺の出てるバンドは三つ目だから、あと一時間くらいだな。まあ他のバンドも観てってくれたら好いさ」

 扉の上にはネオンサインが光っており、筆記体で『insideHEAVEN』と書いてあるようであった。中野は夕貴に先立ち、受付横にある重たそうな防音扉を開いた。その瞬間中から爆音とも取れる音が流れ出して来て夕貴を圧倒した。

 中野は構わず中に入り、夕貴も遅れないようにと中野の背中に張り付くような距離でライブハウスの中へと足を踏み入れた。

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