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六本場8

 東一局、ドラ①。親は和坂。

 雀界のアイドル(笑)彩葉を交えての対局には秘かに熱が籠っていた。各校の麻雀部だけあって囲んでいる面々はどちらも腕自慢だと察するが、彩葉は特に色めき立った様子も無く、部内で対局する時と変わらずわずかに笑みをたたえた表情で配牌を取っている。

 彩葉の配牌は以下の形。


一四①①②②③⑤⑥⑧⑨南發


 配牌でドラ対子、一盃口や平和はもちろん、染め手の大物手も見える。飛鳥台の和坂は9切り、天條学院の牧田は北切り、そして彩葉のツモ、ツモった牌は⑦であった。

 いきなり偏張の鬼ヅモ、彩葉は迷う事なく一を切った。

 部活の対局に於いて、彩葉が大振りのプルヒッターになる事はあまりない。特に条件戦でもなけいのであれば、無理に倍満を狙うよりは満貫二回の方が現実的だからである。

 この手で言えば無理に染めるよりも四にくっ付いての平和や、あるいは發が重なっての役發ドラドラの方が和了れる可能性でいえば高い。

 しかしどうした事か今日の彩葉は強気に引っ張りの姿勢を見せており、三巡目に南を重ねた。


四①①②②③⑤⑥⑦⑧⑨南發 南


 この手格好から四を切った。メンホン一向聴、③が入れば絶好であるが、それは中々に厳しい。そろそろ他家の手も方向性が決まって来ている事だろうし、ドラソバの③はまず鳴けまい。

(三巡目に四切り?もう手がまとまってるのかな……)

 彩葉のファン飛鳥台高校の和坂は対面に座る彩葉を警戒しているようであった。警戒というよりは恭順に近いかも知れない。

 そして七巡目、彩葉は②を切り出した。ドラの隣を手出し、これは聴牌ではないにしても一向聴はあると見て好い。

 和坂だけでなくさすがに他の面子も彩葉を警戒しているようである。皆一様に小考し出し、牌を絞り出した。

 次巡、彩葉はドラの①を手出しした。

「リーチです」

 彩葉はしなやかな指先で千点棒を供託した。ドラ含みの偏張落とし、これは間違いなく高打点か好形の待ちであろう。

 一巡目に一切り、三巡に四切り、そしてツモ切りを挟んで①②落とし。考えられるのは上の三色か、または索子の染め手である。多少危険でもギリギリまでドラ塔子を残しておき、偏③をズバリ引ければそれで好いし、それが叶わなさそうならば役を追えば好い。

 例えばこんな手が想定される。


七八九①②⑦⑧⑨⑨7889


 こんな手に7を引いたとすれば、手広いのは⑨切りだが、平和を確定させた上でドラの重なりも見られる②切りは有り得る。そこに高めの⑨を引けたとすれば、当然①切りの聴牌に取るだろう。四の出が早い為タンヤオは考えにくい。

 彩葉の下家、聖陽高校の向井は彩葉の手を警戒し、現物の①を切った。これでドラが二枚見えた事になる。

 そして和坂がツモった。


四五五六七八④⑤⑤⑤678 三


(聴牌しちゃった!五か八、④切りでどっちも三面張の聴牌……)

 萬子切りで③―⑥、④、四切りで二―五―八の三面張。普通ならタンピンになる萬子切りである。しかし四が早めに切れているとはいえ決め打ちも有り得るし、裏スジは切りにくい。

 となると、⑤を壁にしての④切りだ。①は切れているし、ほぼ安全であろう。ドラを切っておいて七対子の④待ちなどするまい。ドラも二枚無いのなら打ってもせいぜい満貫だろう。

 和坂はそう考え、④を切った。

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