六本場7
彩葉は夕貴や中野ほどではないにしろ背が高い方である。加えて脚の長さが身長の50%以上ある為、確かに映えるスタイルをしている。
ソファで待ち合いをしていた三人の他校の生徒達と空いている部屋へ入り、彩葉は通学鞄からクリップボードを取り出し、中野に手渡した。
「すいませんが、採譜をお願いします」
「心得た」
同卓するは男子二人と女子一人、更に中野を含む採譜者が四人、各打ち手の後ろについている。場所決めをしようと彩葉が風牌を手に取った時、同卓しているボブカットの女子が彩葉に声を掛けてきた。
「あのっすいません私、飛鳥台高校の和坂っていいます。柊彩葉さんですよね?」
「え?ええ、そうです」
「やっぱり!私、いつか柊さんと打てる事を楽しみにしてたんです。よろしくお願いします!」
「それはそれは……こちらこそよろしくお願いしますね」
彩葉はにこりと笑顔を返した。男子だけではなく女子にも人気のある彩葉である。インタージュニアチャンピオンの七海もそれなりの知名度であるが、単に雑誌に載った事のあるというだけでなく、静かな実力者である彩葉も人気がある。
「聖陽高校の向井です」
「天條学院の牧田です」
「矢上南の柊です」
一通りの顔繋ぎも済ませ、いざ場所決めと相成った。
彩葉、中野擁する矢上南高校の麻雀部はまだ設立してから僅か三年ほどであり、七海の入部前は個人戦等で実績のあった彩葉が多少知られている程度であった。
一方で現在彩葉が同卓している三校は大会への出場も多く、特に設備投資に予算を回せる私立校の天條学院は強豪として名を馳せている。
(この面子ならインターハイ本選と遜色ない対局が出来ます……他校の生徒と練習が出来るこのようなシステムは画期的ですね)
まだ発展途上とはいえそれなりに競技人口が増えている麻雀競技である。このようなシステムが更に発展して行けば、もっと競技人口も増えて行くだろう。
場所決めの結果、起家が飛鳥台の和坂、後は天條学院の牧田、彩葉、聖陽の向井となった。




