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六本場3

 彩葉以下、三人の女子部員達は皆、制服を中間服へ移行していた。冬服はワイシャツにブレザーであるが、夏服へと完全に移行する前、まだ気温が変化する時期に着用する中間服が存在する。

 といってもワイシャツは変わらず、ブレザーがニットのベストやカーディガンに替わる程度である。

 彩葉達の通う高校ではローアンバーのトップスが採用されている。彩葉と七海はベストを、夕貴と沙夜はカーディガンを着ていた。

 中野はというと、相変わらず冬服のままである。

「───何か質問はありますか?」

 一通りの講義は終わり、彩葉はぐるりを見渡した。

「……無いようですね。ではこれで今日のミーティングを終わります」

 彩葉は手持ちの書類をバインダーに挟み込んだ。


 結局その日は認定店への遠征は行わず、いつものように部内で半荘二回を打ち解散となった。帰宅する際に、彩葉が中野に声を掛けてきた。

「すいません、中野くんちょっとお時間よろしいですか?」

「んー?」

 彩葉は他の部員が帰った事を確認した後、下駄箱からちょうど下履きを取り出した中野を捕まえた。

「いえ、ちょっと訊きたい事があって」

「シャボ待ちを何故バッタ待ちというのか、って?」

「はい、気になって夜も……って、違います」

 ついうっかりノってしまった彩葉は赤面すると咳払いをし、中野と並んで玄関から出ると、改めて話し出した。

「今日のミーティングで、近傍の認定店の『さくら』というお店を挙げましたけど、そのお店についてご存知でしたら詳細を教えて欲しいんです」

「商店街の店なら大概分かるけど……何でまた?」

「いえ、その……何も知らないよりは前情報があった方が好いかと」

「ふーん、部長ならどこでも物怖じしないと思ってたけどな」

「……私も緊張くらいします」

「まあ部長が慌てるところを部員には見せられないよな」

「いえ、決して、そういう訳では。違います」

「好いよ、教えよう」

 中野は時々、いや、実は全てお見通しであるような態度を見せる。こればかりは部長として部員だけでなく対外的な経験が豊富な彩葉も喰えなかった。

 ちなみにバッタ待ちの由来は、シャボ待ちは一応待ちが二つあるが、純粋な両面待ちではない。『偽物』の事を『バッタもん』と呼ぶ地方もあるので、『純粋な両面待ちではない』→『バッタもんの両面待ち』→『バッタ待ち』と呼ぶようになったのである。どっとはらい。

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