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六本場2

 放課後、彩葉が部室に出向くと、中野が一人で二角取りをしていた。既に何種類かの牌を取り除いているようだ。

「お疲れ様です」

「おっ部長か、お疲れ」

 中野はじっと牌を見つめており、かなり集中しているようだ。

「ここの白が取れれば……うーん」

 中野は悩んでいるようであるが、彩葉は取り除ける箇所がある事に気付いた。それが取れれば一気に進む。

 彩葉は必死に(あれあれ!)とテレパシーを送ってみるが、中野は気付かないようだ。自分は気付いているのに他人が気付いていないという事は実にもどかしい。

 彩葉は昼間に堂河から受け取った高麻連からの通知の関係を話そうかと思ったが、二角取りをしている中野を見ていたらタイミングを失してしまい、結局中野が自力で先に進んだと同時に他の部員達も部室に現れた。

「えー、今日は高麻連から通知が来ています。認定店の一覧ですね」

 いつものようにミーティングが始められた。彩葉は堂河から預けられた用紙をコピーしており、それを部員全員に配布した。

「県下では五店舗、一番手近なところでは商店街の中の『さくら』という店ですね。高校生の入店可能時間帯は午後四時から八時までとなります。高校生として節度を持ち、互いに尊重し合い、正々堂々と競技にのぞむ事……」

 店舗一覧の最後には御大層な金科玉条が書き並べられている。どれほどの抑止力があるかは定かではないが、とりあえずこういった事は高校生活のどこにでもまとわり付いて来る事である。

「他校の生徒と打てるようになりますので、地区予選やインターハイ本選の予行練習にもなります。入店の際はこの許可証を店員の方に提示して下さいとの事です」

 彩葉は用紙と共に堂河から預かった、パスケース程の大きさのラミネートされた許可証を取り出した。

「皆さんには改めて言う必要はないかと思いますが、トラブルは絶対に避けるようにして下さい。入店する際は少なくとも二人以上で行くようにして下さい。ここで問題を起こすと地区予選への出場権を失うどころか停部の可能性もあります。よろしいですか?」

 彩葉の念押しには気魄がこもっている。それを察して、部員全員が真剣な表情で返事をした。

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