五本場37
今の親かぶりはかなり痛い。このままの点差で終了すると中野とはまた果てしない差がついてしまう。現在の点棒状況は以下の通り。
日和亭二二六○○
七海 二一三○○
ノノ 三○五○○
中野 二五六○○
ラスとクビあり二着では少なくとも八千円以上の差がつく。そうなると、これまでの差を合わせて一万円近くまで差が広がる。そうなると最終戦でトップラスにしなければ逆転は無理である。
(このままではいけない……)
東三局、ドラ5。親はノノ。
「うむ、リーチ」
八巡目に日和亭がリーチを掛けて来た。
(まだ二向聴、全然追い付けない)
一三三八八④④⑤⑧⑧456 西
七海の手は遅く、しかも遅さを補う為に手を肥らせ過ぎた為に危険牌だらけである。とりあえず一発目は現物の西が引けた為そのままツモ切りしたが、この手格好では引くも押すも出来ない。
ノノは安牌が無いのか、しばらく悩むと、手出しで1を切った。
「ロン」
四五六九九九①①23456
「裏ナシだな。まあ二六○○でクビが繋がるなら好しとするか……」
日和亭は浮き狙いらしい。この二六○○で七海以外は皆クビが繋がった事になる。一人沈みではビンタだけで▲三千円になる。
(自分はクビを繋げるだけでも三九○○が必要になる。トップは二七九○○持ち、差は六六○○だから、五二○○のツモなら二着……)
七海は瞬時に計算を巡らせた。満貫があればどう和了ってもトップになれる。しかし満貫となると、奇跡的なドラ対子でも無い限りある程度の手作りは必要になってくる。
上位三人は僅差である為、足枷のあるこちらに比べて、ただ一直線に和了りを目指せば好い。
東風ビンタは単なる早和了りでは無いと会得したが、それでもやはりルールに対する熟練度の差はある。恥ずかしい話ではあるが、こうなれば配牌頼みなのである。
東四局、ドラ南。親は中野。
明暗を分ける、七海の配牌は以下の形。




