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五本場20

(部長が怒ってる……私が遅れたせい……?)

 七海は彩葉の打ち筋を見てそう感じた。勝ち負けの関係無いこの状況なら彩葉は2ツモの時点で7を切って一向聴にするはずだ。それを二向聴戻してまで出和了り可能の形に持って行くとは、オーラスでトップを追撃している時の彩葉である。

「あっツモ」

 不意に夕貴が手を倒した。


四五六③⑤⑨⑨⑨345中中 ④


「うーん三色も役牌もならず……四○○・七○○」

 場は安く流れてしまったが、後ろ見していた七海だけは、その局の熱さを感じ取っていた。


 七海も来た事であるし、対局を切り上げて五人は彩葉を議長に据えオーダーを決める会議へと移った。

「えーそれでは……昨日伝えていた通りオーダーを決めたいと思います」

 彩葉はホワイトボードに向かい、A4のファイルを片手に相変わらず凛とした声で会議を仕切って行く。七海と沙夜はホワイトボードに近い自動卓の椅子に、背の高い夕貴と中野は二人の視界を遮らないよう後ろのソファに座っている。

 彩葉はホワイトボードに五人制の順名を縦書きにして書き並べた。

「まず戦略的に考えて、二通りのオーダーが考えられます」

 彩葉は言いながらファイルをめくった。

「団体は五人の総合得点で勝敗を決めます。序盤で点数を稼いでおき後半でそれを守る、水際作戦。序盤は様子を見ながら失点を抑え、後半での立ち回りを決める縦深防御。それぞれ長短はありますが……」

 彩葉はファイルの紙面に目を落とし、続けた。

「地区予選とインターハイ本選はワンスリーのウマがあります。オカが無いのでこのワンスリーのウマは素点よりも重要度が高くなります。序盤でトップを一回でも取れれば後は三着が三回でもほぼトントンで済む為、序盤はどんなに差が無くともトップを取る事を目標とします」

 なるほど確かに彩葉の言う事は自明の理である。序盤に30ポイントのウマを得る事はその後の展開を有利に運べるようになる。

「それを踏まえた上で、私が考えたオーダーは──」

 彩葉はマーカーを手に取り、ホワイトボードの先鋒から名前を書き出した。

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