人形遣いと??の話(7)
「いかにも、私は人形だ」
次の日の放課後、彼女と来ているのはまたもや昨日と同じ高級カフェである。
「とあるお金持ちの夫婦がいた。ところが彼らは子宝には恵まれなかった。彼らはそれを心底残念に思っていた。しかしだ」
彼女がブラックで飲んでいるコーヒーはエスプレッソと言うらしい。名前は聞いたことあったがものすごく苦い。
砂糖入れまくりたかったけどそれでは意味がないらしい。
「彼女らの持っていた人形がまるで人間のようになっていたのだ。驚いた彼らは彼女を自分の子供のように大切にしましたとさ」
「それが社さんなの?」
「そゆこと」
なるほど。まあそれなら血は出ないだろう。素材は知らないけど、きっと重量はすごいだろうからパンチもああなるわけだ。
社さんに右手を上げさせる。
「人形ねえ。そりゃあ人間になりたいわけだ」
「当たり前だ。みんなには隠しているからな」
人間のようといってもそれは見た目と心のみで、体は肉で出来ていないし、ぶっちゃけ成長もしないらしい。思えば社さんと同じ中学という人を見たことがない。
うん。
それは、辛い人生だろうな。
「仕方ない協力くらいはしてあげるよ」
「おお、これで五人か!まあこれだけ集まれば大丈夫だな。早速みんなで普通の人間になるために頑張ろうではないか!」
目を輝かせながら言った。
全く、打ち切り臭のする異能力学園バトル漫画は嫌いだというのに。
私たちの戦いは、これからだ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
これを持ちまして「人でなし」シリーズ完結です。最後の挨拶は明日あたりに小説で出すことにします。
本当にご愛読ありがとうございました。