第5話 迷宮てなんだ
猫族のミリアの追跡能力は高い。
「ミリアの追跡能力のおかげで助かったよ。 首都の移動先の目安は有ると言っても広いからね。 」
「まあな 犬族には及ばないが、この程度の追跡ならワケも無いさ。 」
確かに、猫族と犬族は犬や猫を比べる様に比較される事が多い。
獣人の中でも数が多く、高い能力を持っている事が知られているからだ。
そして、犬族の獣人の方が追跡能力は高い……… 、しかし人間と比べたら、猫族のが格段に高い追跡能力を持って居るのだ。
モンスターとの戦闘を避けながら首都に到着した。
移動都市スキタイだ。
「テントだらけですね……… 」
リクの、率直な感想だ。
「移動都市ならでわだな、海や川の移動都市は、船ばっかりだし。 まあ、内陸部なら、規模は違えどこんなもんだ」
「そうなんですか? 塀も石垣も無いと、 他国に攻められたら、直ぐ終わりそうですが……… しかも内戦中なんでしょ? 」
「逆だよ!! 」
遊牧民は、守る物が無く常に放浪生活をしていて、隣国の力が内戦などで弱まると見るや押し寄せて、略奪して逃げるか、占領してしまう。
後方支援も、軍の近くで待機して居るから戦線を広げやすい。
攻められても、都市は簡単に移動して拡散してしまうし。
畑も家も無く、もちろん高価な物を持たないから、占領しても旨味が無い。
わざわざ、遠くまで遠征するより、近くを開拓した方が、結局良いので、弱くても攻められ無いのだ。
主に警戒しなくてはいけ無いのは、モンスターだけと言うことになる。
規模の大きな、山賊や海賊と基本的に変わらない戦略と言う事だ。
逆に言えば、拠点が無ければ作れ無い様な、家具類等、民芸品などが発展せずに、個人で作れる範疇に収まる。
経済性の高いモンスターの討伐で、金銭を稼ぐか、高値で売れる家畜を育てるかの選択になり、リクの言う様に、経済は弱い。
「とりあえず、テントを張りましょうか」
俺たちは、当たり障りの無い場所を探して、テントを張り、ロープで馬を放牧出来る場所を作った。
「意外に広く作れましたね」
「此処までの広さは、要らないと思うけど、まあ普通のサイズらしいよ」
「馬二頭ですし、広く感じますね 」
放牧して居る動物が、町に居るわけで無いのだが、普通に皆の移動手段が馬なので、人数分の馬のスペースを確保出来高わけだ。
「私は、潜入捜索に入るから、皆さんは、ケンタウロスでも狩ってきて下さい」
ケンタウロスとは、上半身は人間・下半身が馬のモンスターで、かなり手強い部類のモンスターでになる。
「分かった。 あそこに見える森に行けば、ケンタウロスが居るはずだから、何匹か狩ってくるよ。 」
指をさす、その先には丘の様な山が見える。
草原の中にある、山がそのまま森になった場所で、この森の中心から、冬場の首都を支える水源の川が始まっている。
今回は、森に近い位地に首都が移動してきが、例年は、もっと南に首都を作るので、すぐに町を見つけられたのはミリアのおかげだ。
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「この森に来るのも久しぶりね」
「ミリアさんも、ソラさんも、着た事が有るんですか? 」
「ああ、自然迷宮だから薬草の質も種類も豊富だからな、薬師の三神さんが居たころに、何度かきたぞ 」
自然迷宮とは、厳密には迷宮では無い事もあるが、土地の魔力が高く、モンスターが多くいる場所で、この様に魔力が高い場所では魔力を吸った植物やキノコが薬草化したり、毒草化する。
因みに、俺たのギルドは、人工迷路で、魔力は流れては居るが、薬草化するほどでは無い。
迷宮を管理する物が永く居なくなれば、迷路が暴れだし、自然迷宮になる事もある。
失われた都市の跡地に迷宮が多いのもそのためだろう。
更に最悪なのは、生きた迷宮で、管理者に近い存在のモンスター、通称ボスモンスターが一匹以上存在しする迷宮で。
ボスモンスターを倒すと次に強い個体が成長してボスモンスターになる。
ボスモンスターは、迷宮核から力をもらい、迷宮の成長と共にドンドン強いモンスターへと成長を続けるのだ。
迷宮が成長すると10~20階に一匹の割合でボスモンスターが生まれ、最下層以外のボスモンスターを階層モンスターと呼ぶのが普通だ。
コレら生きた迷宮は、魔族が迷宮核から作ったとされている、この迷宮が成長すると、迷宮核の種を飛ばして殖えるので、もっとも厄介な迷宮である。
「へー、おじいちゃんと、来てたんですか」
「薬草の三神さんは、薬草ハンターだったからな。 迷宮の深くへ行くほど、薬草の質が上がるから、色々な迷宮に一緒に潜ったぞ」
「私が入った頃は、確かにそうだったな。 しばらくして、薬草の研究すると言って、引退してしまったが。 」
「結局、何の研究だったんだ? 」
「私が知るわけないだろ……… 聞いたとしても、分からない自信があるぞ!! 」
「リクは、研究について、聞いてるのか? 」
「私は、おじいちゃん子だったけど、薬草の基礎と手話しか習って無いです。 」
「手話て、薬草に関係無いだろ? なぜ手話なんだ? 」
「知りませんけど、重要だって……… 」
とりあえず、森で手早くケンタウロスを仕留める事にした。
「居ないな」
「居ないですね」
「前きた時は、沢山居たんだけど、まさかコブラの連中に、こんな真似出来るとも思えんし……… 」
「他のモンスターの数は、多いぐらいだし、適当に別のモンスターを狩るべきじゃ無いか? 」
「そうするか」
結局、ハンマーヘッドを二頭ほど仕留めて、戻る事にした。
弓を射るだけの簡単なお仕事を終えて戻った。
「リクには、ちょうど良い訓練になったんじゃないか? 」
「初めて、自然迷宮に入った感想は? 」とリクに訪た。
「緊張したけど、まだ大丈夫です」
無理してるのだろうが、まだ元気そうだ。
多少ゆっくり歩いたとはいえ、俺とミリアについて来れただけでもたいしたもんだ。
「そうか、無理はする事は無いから。 良く体をほぐして疲れをとりな。」
そういって、アップティーの準備をした。