第1話 ギルドと闇ギルド
ギルドとは、各国の協力の下に作られた国際機関であり、国際ギルド連盟に加盟した団体だ。
その目的は、際限なく湧くモンスターの襲撃当による、国民の被害を最小限に抑えると共に、正規軍の損失を減らす事にあり。
更には、モンスターの素材や希少植物等の安定供給・価格抑制・流通管理をする事による、産業の発展を促す事にある。
ギルドシステムは、モンスターに対抗する為の人員の確保に、貧困層等を積極的に採用する事で、犯罪者予備軍が減少し、治安の安定、更には監視と管理が容易におこなえる様に考えられた組織だ。
こうして新たな人材の発掘・育成・補充へのサイクルが出来上がっていった。
ギルドシステムの成功は、新たな国の参加も相次ぎ、今では世界の八割の国にギルドが存在する。
多くの国が、ギルドを受け入れたもう一つの理由には、自国内のギルド長の任命権を国とギルド連盟がそれぞれに有する事で管理しやすく。
そして、一つのギルドの人員は最大でも、正規戦士30人・予備戦士20人までとされ、この他に事務員が数名で運営される。
実質的には、この半分程度の規模で運営されており、反乱が起きた時の鎮圧の容易な事と、事務職を国が管理する事でギルドを監視可能な事が上げられる。
では、闇ギルドとは………
政府の監視が入って無いギルドの事で、人数などの規制も当然ない。
そして必然的に、合法・違法に拘わらず、どんな仕事の依頼でも受ける事が出来る。
もっとも、実際に依頼を受けるかどうかは、全くの別の話しなのだが。
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世界最大級の歓楽街の外れにその店はあった。
周りのビルより、少し低めの三階建てで、レンガ作り雰囲気のあるビルだ。
ピンク色の光の粒が集まると、文字を形作りは消えていくその看板を眺めると、Liebender・リーベンデール・Liebender・リーベンデール・Liebender・リーベンデール………
リーベンデール、この店の名前だ、
中に入ると少し薄い店内を見回しますと、まだ客はまばらで、多くの女たちが暇をもて余していた。
「ソラちゃん、ギルマスが読んでるわよ。 」
と俺に話しかけてきたこの女性は、もう30年以上の付き合いになる、闇ギルドの創立メンバーの1人で、情報戦を得意とするインキバスの(手志田 カナ)自称18歳だ………
インキバスは、魔族の仲間で有りながら、人間界で特定知的保護魔族などと言う良くわからない肩書きで、魔族の中で唯一、討伐対象から外れている。
エロは偉大である。
店の奥へと進んで行くと、階段の横に設置された魔法陣の上へと、彼女が乗ったのを確認して、魔法陣を発動さる。
その先は、同じ様な階段の隣だが、明らかに違う雰囲気の場所にでた。
このビルは、一見すると三階建ての普通のビルだが、本来は地下など無いのだ。
地下に見えるこの場所は、ギルドマスターの魔法で作られた迷宮で、俺たちの本拠地であり、家でも有る。
その地下21階、迷宮の最深部には、すでにメンバーが集まっていた。
正面に座る、人形の様に美しい少女こそ、死者の王たるリッチにして、我らのギルドマスター、死に損ないのクロエだ。
永遠の命を授けると言う火の鳥の生き血と間違えて、ブラックフェニックスの生き血を飲み、永遠の死者になった、おばさんである。
その斜め後ろに立つメガネの人物は、彼女により特別な製法で作られたデスナイトのセバスチャンだ。
セバスチャン、その名が示す通り、完璧な執事である。
変わって、ひときわ大きなヒゲもじゃのハゲは、巨人族とドワーフのハーフで、巨体とパワーを生かした戦いと、トラップのプロだ。
巨体に似合わず、以上に器用で武器や防具だけで無く、家具やキッチン周りの器具まで何でも作る。
上の店では、赤鬼のマスターとしたわれ、店の料理からカクテルまで作る始末だ。
更に、手間に居る女は金庫番のマリア様だ。
神様はお金が大好きと言って教会を首になった元アルキエピスコプスらしいが、余り昔の事は、語らない。
しかしその実力は本物で、治癒魔法や神聖魔法を得意とし、自身にアンチエイジングの魔法をかけ、ただの人間で有りながら、いまだに若い頃の姿を保っている。
その前に立つ人物は、見ての通り、猫族の獣人で高速剣のミリアだ。
二本の剣を高速で走らせ、あらゆる敵を切り刻む、俺に、剣の勝負で負け、約束通り、ギルドメンバーに加わっている。
今では、彼女の方が、剣の速度だけなら上かも知れない。
最後に……… 知ら無い女だ???
「マスター 彼女は?」
「ああ、その件でみんなには、集まって貰ったんだ。 」
「マスター、私から説明しましょう。 」
メガネの位地を確かめながら、説明しはじめた。
「彼女は、創立メンバーの一人で、薬師の三神さんのお孫さんです。 理由はまだ判明してませんが、何者かに狙われた様でして、彼女の保護とメンバーへの加入を審議したいと提案します。 」
「保護は、全面的に賛成だけど、将来のある彼女を闇ギルドのメンバーにするのは、不味くないか? 」
「私も、そこが気になりますね。 お金の事なら何とでも成りますよ。 セバスチャンは何故メンバーに推移するか、理由を聞かせて。 」
「ハイ、メンバーに推移する理由は、彼女が強く希望している事、保護が長期間になる可能性が高いと考えられる事、この2つの理由から、彼女自身にも戦う術を身に付けて貰うのが、最善と考えました。 」
「それが良いかも知れんのう。 で、誰を教育係りにするつもりじゃ? 」
「マスターとして、それはもう決めさせて貰うけど、依存は無いね? 」
少し強引な気もするが、誰から依存は出なかった。
「では、マスター権限で、ソラに任せるよ。 すでに、君の床に、彼女の荷物を送って部屋を作ったからよろしくね。 じゃあ解散。 」
「え………? マスター、彼女の自己紹介もまだですが。」
「あぁ、忘れてたけど、ソラ以外とは、自己紹介も終わってるから、部屋で色々聞いてくれ。 」