覚醒?
見知らぬ土地で青年は若い男にあった。・・・
クウ達は寝ようと横になっていた。すると、近くの茂みから数人の男たちが出てきた。男達は腰に挿してある、剣を抜き襲い掛かってきた。襲い掛かってきた男たちは皆、鎧や盾などで武装している。何処かの正規の軍人だろう。何故襲ってきたのかは分からないが、命を狙われていることだけは、いやでも分かっていたキスカは、男たちの攻撃を防ぎ、避けながら牽制していた。ふと、クウの方に目が行った。クウは何もできず、座り込んでいた。そんなクウを、1人の男がクウめがけて剣を振り下ろした。風を切り、頭上に振り下ろされた刃は、間違いなくクウを捉えていた。だが、その刃は何一つ切ることはできなかった。キスカの剣が直撃の寸前で受け止めたのだ。キスカを攻撃していた者達は、油断していたのか、隙を衝かれ、蹴り飛ばされたのだ。そして、間に合うか間に合わないかの寸前でとめたのだ。
「何をしている!死にたいのか!」
キスカは叫んだ。が、その拍子に、キスカは膝をついて倒れてしまった。今の無理な戦闘が傷ついた体にひびいたのだ。男達は、目線だけで合図しあい、標的をキスカに切り替え、襲い掛かった。キスカは絶体絶命だった。いくつもの剣が、縦横無尽に襲い掛かった。だが、振り下ろす前に、数人がその場に倒れてしまい、残った者は何が起こったのか分からずにいると、男たちの後ろにクウが血のついた剣をかざし、立っていた。
「ク・・・クウ・・・。」
キスカは、小さく驚きの声を洩らした。無理もなかった。先ほどまで何もできなかったクウが、一瞬のうちに数人の男を切り伏せてしまったのだ。クウの目は数人もの男たちを他界させたにもかかわらず、臆するでもなく、怖がるでもなく、ただ、何処か遠くを見ているような目をしている。「何処を見ているのだ!前の敵を見ろ」とキスカは言いたかったが、いえなかった。代わりに
「危ない!」
と、一言出てしまった。男達がクウに刃を振り下ろしたのだ。ぐさっ。鈍い音がしたが、クウはそこにはいなかった。逆に1人、また1人と男達が倒れていき、男達全員が倒れた中心に、クウはいた。が、クウの体はふらつき、クウもその場に倒れこんでしまった。