悲しくても・・・。
いきなりクウ達と一緒に行けと言われた、「カイン」と「シュラ」。そんな彼等は・・・。
二人は長老、ロウハイがいなくなった方を、目に焼きつく程眺めている。その二人を眺める三人は何とも言えないような顔である。
そんなことは知らないカインは言う。
「あの・・・。里に帰って良いですか?一度だけです。戻って着ますから・・・・。」
「それはならん!」
木の葉でできた暗闇の向こうから、ロウハイの声が聞こえる。
気配はしないのだが、まだ近くに居たのだ。
「それはならぬぞ。もし戻れば、里のものに裏切り者として・・・・、お前たちを討たせる。わかったな!」
ロウハイも戸惑いながら、と言うより、悲しみながら言うのであった。
だが、それ以上に・・・、悲しむ者もいた。
カインたちである。
この二人には、今日という日が、最低な一日であることは間違いない。
いきなり「道具」だの「裏切り者」などと言われたのだ。そう考えないほうがおかしい。
そんな二人に何と声をかければ良いのかわからない。
何もできずに見ているだけしか。
「あの、今後迷惑をかけるかもしれませんが・・・、よろしくお願いします・・・・。」
「・・・・お願いします。」
悲しくても、寂しくても、辛くても、そう言うしかないのだ。この二人には・・・。
行くあてもなく、何をすることのできなくなった二人には・・・・。
そんな二人のことを考えると、クウモイーシンも、疑うことを忘れ、同情してしまうのだった・・・。
「それじゃ・・・、行こうか・・・。この森を抜けよう・・・。」
キスカは、ゆっくりとそう言う。
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