友
アクトから、5つの国について聞く。
山賊が現れて25日目。この日からクウは、地理についての勉強は夜だけにし、朝から夕方までの時間を武術に励むことに変えている。
いつものように村から離れ、少し小高い丘へ向かった。そこには巨大な大木がある。そこを拠点に狩、武術、剣術に励んでいるのだ。だが、この日は先客がいた。木の前に白銀の毛を纏った獅子が横たわり、その獅子を枕代わりに使って寝ている青年がいたのだ。年は、クウと同じくらいである。髪は茶色で、肩まである。顔立ちはよく、かなりの美青年だ。その青年も、白銀の獅子も気持ちよさそうに寝ているのだが、獅子に横たわっているのが、なんとも危なく目に映る。もし獅子が起きたら・・・。クウはそんなことを考えつつも、何もできないで、そこに立っている。見守ることしかできない自分に腹が立ち、今までしてきたことが、意味のないように思える。小動物は狩ることはできても、あのような大型の動物は狩ったことがない。
どうするかと迷っていると、風が吹いた。その拍子に、大木の枝に乗っていた枯れ枝が落ちる。青年の頭にジャストミート。さすがに起きる。
「ん〜〜。なんだぁ。枝・・・・・。落ちてきたのか?ん?もしかして、君が投げた?」
青年はクウが居る事に気づき、クウが投げたと思ったのだ。
「違う。俺じゃない。風が吹いて・・その、落ちてきた。でさ、その獅子危なくないの?かなり危ない気がするんだけど。」
そう言われた青年は獅子の方を見て、「ん?」と一言。
「ん?って、おい。それだけかよ・・。」
あきれて聞き返すクウである。
「ん?・・ああ、こいつ?大丈夫。見てて。」
と言うと、獅子の頭を小突く。獅子は、身体を大きくゆすり、目を覚ました。その目は鋭く、どう考えても、大丈夫には思えない。だが、獅子は大きく欠伸を掻いて、顔を青年の顔に近づけた。青年は怯えるわけでもなく、逆に笑顔になり獅子の頭を撫でている。
「な!大丈夫だろ。こいつの名は灰白俺の家族。俺が12の時から7年間一緒にすごしてる。」
「そうなんだ・・。カイハクは人を・・襲わないのか?それとも・・、襲うのか?」
クウの正直な気持ちが口から漏れる。少し青年の顔が曇る。それはそうだろう。今まで一緒に過ごして来たカイハクを、そこらの肉食動物と一緒にされたのだ。無理もない。
「ごめん。悪かったよ。その白い獅子、カイハクって言ったっけ、そんなに君に懐いてるんだ。そんな事しないよな。」
「・・いいよ。そう思うのが普通だろうしさ。でも・・、こいつは人は襲わない。襲った事はない。」
そう言う青年の顔は、まだ曇っている。
「あのさ。そっちに言っていいかな?」
「いいけど・・。」
「どうも。」
何故か礼を言う自分に笑いながら、一人と一匹の傍に移動する。青年の言うとおり、カイハクは何もしてこない。
「さっきは本当にごめん。悪気はなかったんだ。気にしてる?」
青年の顔は少し明るくなる。
「してない。もういい。」
「あのさ、君名はなんて言うの?」
クウがいきなり名を聞く。会ったばかりの青年に、いきなり名を聞く人は居るのだろうか。「う〜ん。いきなり名を聞くか。」
当然の反応である。
「やっぱダメか。そりゃまあ、いきなりはきついよな。」
クウは自分の言葉に無理があったと思い、苦笑いが出てしまう。
「確かに。でも、いいんじゃない?そういうのも。教えてやるよ!俺の名。イーシン。イーシン・ハイラ。で、君も答えるよな?人に聞いたんだから。」
「もちろん。クウ。それが俺の名。よろしく、イーシン。」
「よろしく。こっち一つ聞いていいかな?君はここに来てたみたいだけど、何しにきてたのかな?」
「う〜ん。特訓・・、かな。もう、からこれ2週間前からかな。」
「その、手に持ってるもので?」
青年の視線がクウの手に持っているものに注がれる。クウが持っていたものは形の悪い木刀。
「ん。ああ、これで。」
「そんなもので特訓できるのか?他に何かないのか?」
本当にできるのだろうか。誰もがそんな風に思うに違いない。
「ないな。在ったんだけど・・ね。」
「在った?今はないのか?」
「ああ。ない。約一ヶ月前にあの村にね、山賊が現れたんだ。」
クウの指が村のほうを指している。
「山・・・賊・・が?」
イーシンの口調が変わった。クウは何故か気がつかないでいる。
「そっ。それで、村人を助けに入ってしまい、ロシュアって奴と怠慢張ったわけ。で、持ってた剣ごと真っ二つってわけ。でも生きてた。死んだと思ったんだけど・・。」
今になって何故生きているのか分からなくなってくる。
「それで・・、山賊は?」
「どっか行った。でも・・・、また来るってさ。もうすぐかな、次来るのは。だから・・、強くならないと。今度は倒せるように。」
クウの決意がこもっているのか、言葉に重みがかかっている。
「そうだ。そんな奴ら、倒してしまえ!でも・・、武器がな。あ、そうだ。明日もここに来るんだろう?」
「もちろん来るよ。こないわけがないじゃないか!」
「わかった。じゃあ、明日から特訓につきやってやる。今日は無理だ。こっちには武器も何もない。君は・・それがまだあるけどね。」
「え、つきあってくれるのか?」
「ああ。だから、山賊倒せよ。必ず!」
「わかった。必ず倒すよ。」
意気投合する二人。その後ろで大きく欠伸をするカイハク。なんともいえない光景である。
「じゃあな。」
そう言うとイーシンはカイハクに乗り、森の方へ移動していく。
翌日、昨日の場所にいつもの様に向かった。そこには、イーシンがすでに来ていた。
「よう。来た来た。これ、やるよ。」
イーシンが渡したものは細い長剣である。
「武器在ったほうがいいだろう?」
「本当にいいのか?これ、かなり細工がしてあるぞ。」
本当にすごいものだ。取っ手の中央には綺麗な緑色の宝石がはめ込まれている。刃の部分は、スラット長く、顔が移るほど光っている。
「いいんだ。俺のは他にあるし、家にあっても誰も使わない。黄身みたいな人が持つのが方が言いと思う。だから、受け取ってくれ。」
「ありがとう。」
「じゃあ、はじめようか。」
その日から、二人で特訓が始まる。
遅くなりましたが、お礼を申し上げます。
1番最初にコメントを書いてくださった方、本当にありがとうございました。書いていただけていなかったら、挫折しています・・。「た」減りましたか?
2番目に書いてくれた○○さま、見てくれでわなく、見てくれないかと言った気が・・。まあ見てくれてありがとう。
3番目に見てくれた方、朝感想を直に行ってくれたけど、話が飛んだのはプロローグから1・2話ぐらいで、君が中で読むのをやめた、夢?真実?は、ちゃんとつながってる。感想書くなら最後まで読んでくれ、○○○よ!しかも他人行儀に書かないでほしい・・。