ダイエットは明日から 【月夜譚No.415】
ダイエットは明日からにしよう。
テーブルの上に溢れんばかりに載った、色とりどりなスイーツの数々。瑞々しいフルーツのケーキに、ブルーを透かしたゼリー。焼き立てのスコーンが香ばしい匂いを漂わせて、動物を象ったクッキーは可愛らしくて食べるのが勿体ない。
こんな光景を見てしまったら、ダイエットなんて言っていられない。今日は目一杯食べて、カロリーを気にするのは明日以降にすることにした。
早速、私は手近にあったフォークを手に取り、ケーキの端を崩して口に運ぶ。甘くて幸せな味が口一杯に広が――
(らない!?)
私は慌ててクッキーを摘まんで齧ったが、まるで味がしない。生クリームもフルーツも、甘いどころか香りすら感じない。
一体全体どうなっているのか、訳が分からず棒立ちになる。こんなに美味しそうなスイーツが目の前にあるのに、味がしないだなんて。
絶望に膝を折った瞬間、私ははっと目を覚ました。
(……夢?)
ぼんやりする頭でそう考えて、はあっと溜め息を吐く。夢ならば、味がしなくて当然だ。
ベッドの上でカーテン越しの朝日を暫く見つめてから、のっそりと起き出した。
(ダイエットは明日からにしよう)
あんな夢を見て、スイーツを食べるなというのは無理がある。
私は身支度を整えて、近くのデパートに向かうことにした。




