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【完結】年下夫は妻の訛りが愛おしい ~ただしヤンデレ風味~  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
本編

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87.謝罪と後悔で終わらない手紙

 裁判が終わって、使節団の人達から謝罪の手紙を受け取った。見知らぬ言語で書かれた文面を、ダレルが翻訳する。国境を接しているから、覚えたと笑う。きっと国を守るために、他国の言語を学んだんだわ。努力家なのね。


 書き直してもらった文章には、今回の騒動を止められなかった後悔と謝罪が並んでいた。受けた刑罰は当然で、しっかり務めて償うと。暗い言葉で締め括られなかったのは、すごくいいことだと思うわ。


 彼らが向かう土地は開墾前の荒れ地で、開拓した分は使用が許される。いつか国の家族を呼び寄せたいと書いた彼らに、明るい未来がありますようにと願った。私が書いた返信をダレルが翻訳して、渡してくれるよう頼む。


「ではお預かりします」


「お願いね」


 この後はシリル様とお茶の予定だ。午後の会議が予定通り終われば、ここへ来てくれる。ふと窓の外へ目を向けた。明るい日差しが降り注ぐ庭は、様々な色の花が咲き乱れている。


「お庭でお茶も素敵ね」


 クリスお義兄様とディーお義姉様は、他国からの使者と話がある。シリル様が来たら一緒に庭へ、もし無理ならアーサーやダレル、ラーラの三人とお茶にしましょう。ラーラに準備を頼んだところで、シリル様が戻ってきた。


「アーサーやダレルとお茶? 侍女も含めて……いいよ、僕達のお茶会は堅苦しくないから、君の好きなようにして」


 咎めるどころか許してもらえたので、嬉しくて頬にキスをした。手を繋いで歩きながら、サルセド王国使節団の人の手紙の話をする。お返事を出したことは言いそびれてしまったけれど、頷いて穏やかに聞いているシリル様は、まるで私より年上みたいね。


「マリーは僕の宝物だ。ずっと手元で愛し続けたい」


「あら、素敵。私もシリル様を愛し続ける予定よ」


 くすくす笑いながら、庭の花が良く見える木陰を選んだ。アーサーが担いできた絨毯を敷いて、野営用のテーブルをダレルが運ぶ。置いたテーブルにラーラが手早くセッティングした。綺麗な花柄のクロスを掛けて、茶器や菓子が並べられる。


「サルセド王国の話が出たついでだけど、国内で何か事件があったらしいよ。国民が逃げ出しているってさ」


 焼き菓子を食べたシリル様は、お茶を飲む前に教えてくれた。


「今回の使節団に与えた荒れ地だけど、きっと人が足りないだろうから……サルセド王国の民がたどり着くといいね」


 アーサーとダレルが頷きあう。きっとご子息達に話して、そちらへ誘導してくれるわ。皆が少しずつ相手を思いやれば、幸せは必ず掴めるはずなの。神様達が気まぐれに祝福してくれるようにね。








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