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【完結】年下夫は妻の訛りが愛おしい ~ただしヤンデレ風味~  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
本編

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71.いわくつきの屋敷でしたのね

 王宮で騒動を起こした以上、王宮内にある離宮に置いておけない。国王として下したクリスお義兄様の判断は正しいわ。監視のために騎士を配置した貴族の屋敷へ移動させた。その際、現在は使われていないお屋敷を借りたそうよ。


「使っていないお屋敷なんて、近くにあったのね」


「以前、国の情報を漏洩したバカな貴族がいてね。一族で罪を贖ったから、屋敷や財産、領地は没収になったんだ」


 疲れたとぼやきながら戻ってきたシリル様は、軽い口調で教えてくれた。一族で罪を贖うって、全員死罪になったという意味よね? たぶん、貴族だから自害を許されたかもしれない。ヴァイセンブルク王国なら毒杯を賜る感じかしら。


 まだ十歳のシリル様が良く知っていたのね、と思ったら二年前の話だった。それなら覚えているのもわかるわ。国境付近の辺境伯家に関する情報を漏洩したんですって。アーサーやダレルはもちろん、隣の公爵家も被害に遭った。


 漏れた情報は家族構成や備蓄量などから始まり、軍備や兵力、他領地との連携に至るまで。あらゆる情報が含まれていた。そのため、再編成するのに大騒ぎだったとか。軍備を強化する費用は、没収した財産をあてて、足りない分は王家が支払ったみたい。


「大変だったんですね」


「そういや、なぜあの屋敷を使ったのかな」


 シリル様は考え込んだ。空いていた屋敷を使ったと仰ったけれど、別に理由があったのかしら? こういう複雑なお話はわからないわ。私は末姫で、どこかへ嫁ぐことが決まっていた。王家に残らないから、軍事や外交の重要な情報に触れなかったの。


 知らなければ、外で漏らす心配もないわ。疑われないためにも、知らないほうがいいのよ。


「逃げたサルセド王国の方々は、ぞろぞろと移動なさったの? それなら目立つから、行き先がわかるかもしれないですね」


 にこにこと話したら、シリル様が「マリーはそれでいいよ」と肩を叩いた。こてりと首を傾げる。変なこと言ったかしら?? アーサーもダレルも笑顔だから、大丈夫よね。


「姫様、逃げたのはあの王女様と数人の偉い人だけです」


「……ほかの方は置いて行かれた? なんてひどい」


 残った人の心配もしないなんて。もし腹いせに殺されたらと想像するだけで、ぞっとするわ。外交で他国を侮辱したのに、当事者だけ逃げるのは失礼よ。彼らが残って責任を取るべきで、無関係な従者を逃がすべきだったわ。


 ぷんぷんと怒りを露わに話したら、皆の笑みが一層深くなった。


「マリーは今のままで最高だ、変わらないでいてくれ」


「王弟殿下は、最高の姫君と結ばれましたな。羨ましい限りです」


 シリル様の重ねての呟きに、ダレルが相槌を打つ。褒められているのに、変な気分だわ。

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