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【完結】年下夫は妻の訛りが愛おしい ~ただしヤンデレ風味~  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
本編

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67.暗殺未遂も夜這いも人聞きが悪い

 私達が食べ物の情報交換に勤しんでいる間に、サルセド王国の使節団との話し合いが行われた。私はショックで寝込んだことになっており、シリル様は付き添いね。夫婦の寝室へ勝手に入り込んだのだから、暗殺未遂を適用したらしいわ。


 透け透けのネグリジェだから、夜這いを主張したと聞くけれど……一国の王女様がそれもどうかと思うわ。話に来てくれたお兄様も、全く同じ感想だった。


「他国の王族に嫁ぎたい、までは理解できる。だが公然と拒まれたうえ、アル殿は妻帯者だ。その人に言い寄るために、深夜、寝室へ夜這いを掛ける王女? どこの国でも眉を顰める案件だな」


「名誉や誇りを天秤にかけて、命を選ぼうとなさったのでは?」


 小首を傾げて、見解を口にする。王族の暗殺未遂なら、国によっては死刑が適用されるわ。でも夜這いなら、情状酌量の余地があると思った可能性はないかしら。自国へ姫を連れ帰るため、使節団の方も知恵を絞ったのよ。今後他国との交渉に出さないなら、王女の名誉は後回しでいいし。


「マリーは……いや、そのままでいいよ」


 隣に座るシリル様が苦笑いする。向かいでお茶を飲むお兄様は「やれやれ」と首を横に振った。


「マリーの教育を間違えたかな?」


「いえ、義兄上殿。マリーはこのままがいいです」


 なぜかしら。私が阿呆と言っているように聞こえるわ。むっとした私に、二人は顔を見合わせて笑う。楽しそうだし、仲良くなってくれたのはいいけれど。


「王族は、命より矜持を優先すべきだ。母上にそう習わなかったかい?」


 お兄様の指摘に、はっとした。そうだわ、たとえ理不尽な目に遭っても、殺されそうになっても見苦しく慌てて国の名を汚さない。確かに教わっていた。


「それでいくと、暗殺未遂もまずいのではありませんか?」


 夜這いも暗殺未遂も、他国で噂になったら恥だわ。こてりと首を傾げたら、ソファーの後ろに立つダレルがくすくすと笑った。睨んだら「失礼」と詫びるのに、まだ笑っているわ。


「だから外交問題になっているんだよ。どちらにしろ、兄上は許す気がないだろうね」


 シリル様は断言した。国の体面を重んじるなら、許す選択肢はない。カルロータ王女が十歳未満なら、寛恕(かんじょ)を請うこともできた。その年齢までは、子供と見做されるからよ。ある程度の無礼も罪を軽くできる。


 判明したカルロータ王女の年齢は十五歳、もうすぐ十六歳の誕生日だと聞いた。当然、大人扱いされる年齢よ。他国に嫁いだっておかしくない年齢だもの。サルセド王国はどうするのかしら?

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