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【完結】年下夫は妻の訛りが愛おしい ~ただしヤンデレ風味~  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
本編

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65.神殿も認めた正式な夫婦です

 詳しい話はあとで聞くことにして、私とシリル様はディーお義姉様のところへ向かった。問題の王女は牢に隔離したけれど、使節団の人が何か騒動を起こすかもしれない。他国からの来賓も警備を固めているし、私達は一か所にまとまって休むことにしたの。


 万が一襲撃があっても、現王妃であるディーお義姉様の部屋は安全よ。最高の警備がされているもの。徹夜だったアーサーは、ダレルと交代で休みに入った。扉の外で待機するダレルは、剣術より槍の扱いで有名な武人らしい。今も槍を手に護衛任務に就いていた。


「大変だったわね、二人とも……この部屋で休んで頂戴」


「ありがとうございます」


 ディーお義姉様も部屋に戻ったところで騒ぎを聞きつけ、寝ていないから仕事が手につかないと苦笑いした。隣の部屋で休むと聞いている。用意されたベッドに乗り、シリル様と並んで横になる。


「ちょっと疑問なのだけれど、二人はその……正式な夫婦よね?」


「はい、神殿も認めています」


 するりと答えが出た。神殿で一夜を過ごし、正式に認められたはず。なんのための確認かしら? もしかして、夫婦じゃなかったら隙ができるから? 話で聞く限り、サルセド王国の対応は怪しいでしょうし。確証が欲しかったのね。


「もちろんです」


 シリル様も念押しのように同意した。何も嘘はないわ。神々に祝福され、きちんと神殿で夜を過ごした。届け出も受理され、誰も文句のつけようがない夫婦よ。笑顔で肯定したのに、ディーお義姉様は「そう」と赤い顔を逸らした。


 首を傾げるも、それ以上のお話はなし。扉が閉まって、私は横になる。すぐに眠気が訪れた。ふわっと欠伸が出る。手で隠したら、指先を絡められた。


「シリル様?」


「マリーがここにいると安心したい」


「はい……」


 答えながらも、ほとんど寝ていた。なんて返事をしたか曖昧なまま、シリル様の温もりに頬を緩める。温かいし、心地よい。問題が起きているけれど、サルセドの王女がいくら騒いでも覆らない。二つの国から抗議したら、周囲の国も理解してくれるでしょう。





 数時間後、目が覚めたらすっきりしていた。寝不足のぼんやりは嘘のように消え、ぱちりと目が開く。正面には整ったシリル様の顔があって、照れてしまった。先に目が覚めてよかったわ。今のうちに顔を洗って、化粧を直してもら……あら? がっちりと手を掴まれているわ。


 胸元に引き寄せる形でシリル様が抱き込んでいて、手が抜けそうにない。これは、乙女の一大事では? 寝起きで化粧が崩れた顔を見せることになる! 汗で崩れていないかしら? あたふたしながら、手を抜こうとした。


「ぷっ、あははっ。マリー、おはよう……かな?」


「起きていたんですね? もう!」


 唇を尖らせたら、宥めるように触れるキスをもらった。私のほうが子供みたいだわ。

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